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ハイリスク・ハイリターン社会

2019-09-01 | 安全、安心、
06・6・6




ハイリスク・ハイリターン社会
           ———危険だが便利、便利だが危険
● リスク(risk )とは
 リスクとは、「生命の安全や健康、資産や環境に、危険や傷害など望ましくない事象を発生させる確率、ないし期待損失」である(日本リスク研究学会)。数学的な表現をするなら、リスクは、危険の発生確率と損失の大きさの積の期待値(平均値)として定義される。
20世紀の科学技術の進歩は、ハイリスク(high risk)・ハイリターン(high return)社会を作り出し、多彩なリスクを受容しながら多大の便益を享受する社会構造を作り出した。これは、今後も止まることのない強力な社会的力として地球規模で展開されていくであろう。***注1

●ハイリスク・ハイリターン社会
駅まで徒歩で行くより、車で送ってもらったほうが、ずっと楽で時間も有効に使える。しかし、車のほうがはるかに事故を起こしてしまう可能性が高くなる。これが、身近でのハイリスク・ハイリターンの実践である。
しかし、よくよく考えると、徒歩と車では、どちらがハイリスクかは一概には言えない。犯罪の多いところ、あるいは歩道の整備されていないところでは、徒歩のほうが、はるかにハイリスクになることもある。
この例からもわかるように、ハイリスク・ハイリターンと言っても、リスクの多彩さとリターンの内容の多彩さにまで立ち入ってみると、そして、ハイリスク・ハイリターン社会を支えている社会的な基盤や考え方にまで思いをはせてみると、それほど事は単純ではないことがうかがえる。
やや話が散漫になるが、図のような3つのケースについて考えてみることで、このあたりについての認識を深めてみることにする。注1****

●ハイリスク・ローリターン
こんな事をめざすことは普通はあまりないのだが、ところがよくよく考えると結構ある。なんのリターンも期待できないのに、というよりむしろ莫大な損失が予想されるのに、信念や心情、憎しみや競争心などに駆られて負けるかも知れないリスクの高い争いや冒険をするようなケースである。
社会も人も利害得失だけでは動かないがゆえに起こるケースである。

●ローリスク・ハイリターン
ここに属するケースの典型は、臆病者のギャンブルであろう。一攫千金を夢みはするが、かといって、大金を投資して一文無しになるリスクは避ける。こうしたややずるがしこい心性は、誰の心にも潜在している。
またハイリスク・ハイリターン社会では、ハイリターンのままリスクだけは低下させる努力をすることがおこなわれる。これをリスク補償と呼ぶ。安全対策やリスク管理**注2**がその最たるものである。安全対策やリスク管理が必要な機械やシステムは使わないという選択をすると社会の効率が落ちてしまうので、リスク低下だけを限定的におこなおうというものである。
安全、安心が今日本社会のキーワードの如くなっているのは、それほどハイリスク・ハイリターン社会になってきていることの証とも言える。

●ローリスク・ローリターン
ハイリスク・ハイリターン社会の典型を狩猟採取社会とすれば、ローリスク・ローリターン社会は農耕社会になるであろう。この対立軸は比較的あちこちにある。たとえば、原子力発電に対して太陽光発電、グローバリゼーションに対してローカリゼーション、ハイテクに対してローテクなどなど。
この対立軸を外側から支援しているのが、今の日本では、コスト、環境、人権の三大テーマである。つまり、そんなにコストがかかるなら核融合発電は考え直そうとか、環境に悪いからローテクでいこうとか、人権を侵害しそうだからIT化はやめておこうということになる。

4つの象限に分けて思いつくままに話をしてきたが、実は、この4象限は、アプリオリに決まっているものではないことに留意されたい。リスク認知は人によってまったく異なるからである。無謀運転をする若者にとって、車は、ローリスク・ハイリターンと認知されているであろうし、慎重運転を心がけている人にとっては、ハイリスク・ハイリターンと認知されているであろう。

●人はリスクとリターンのみにて生きるにあらず
人も社会も複雑である。ある単一の観点だけに従って生きているわけにはいかない。リスク対リターンの観点も、今の日本社会ではかなりメジャーな観点ではあるが、そんなこととは無縁な観点に従って生きている人も社会もたくさん存在する。
安全、安心を取り上げている本書では、リスク対リターンは中核となる観点であるが、局所最適化の罠に落ちないためには、それを越えた、あるいはそこからはずれた観点にも思いをはせてみることもあってよい。
(k)

注1 最近は、これに「環境」が加わってきて、社会進歩への展望が複雑になってきた。

注2 リスクとリターンを組み合わせた4つのケース
     ハイリスク

ローリターン     ハイリターン

     ローリスク

注2 職場でリスの管理をすることをリスクマネージメント、その仕事を担当する人をリスクマネージャーと呼ぶ。想定されるリスクを洗い出し、その重要度を査定して、リスクが顕在化しないような手立てを考えたり、ヒヤリハット体験や事故報告を分析して事故防止策を立案して公表することで、エラー、事故を減らそうとするものである。






 


説明力―――わかりやすく説得的に説明する

2019-09-01 | わかりやすい表現

説明力―――わかりやすく説得的に説明する


●日本人の恐縮好き
 次のようなまくら言葉を耳にしたことはないであろうか。
 ・卑近な例で恐縮ですが、--- (具体例を使う)
 ・たとえで恐縮ですが、----  (比喩を使う)
 ・独断と偏見で恐縮ですが、---- (自分なりの意見を言う)
 ・いきなり結論で恐縮ですが、---- (大事なことを先に言う)
 いずれも、説明効果を高めるためには必須といってもよい趣向なのだが、どういうわけか、日本人はそんな趣向を使うときに恐縮してしまう。多分、「わかりやすく話さなくと、聡明なあなたならおわかりだと思いますが、念のため」ということであろうが、そんなまくら言葉を言う時間のほうを節約してほしい。
 グローバル化が進む昨今、表現文化の問題といって片づけてしまうわけにはいかない。我彼の説明力ギャップが厳しく問われる時代になってきている。
 
●わかりやすく説明する
 説明はわかりやすいことがまず大切である。
 そのための基本は、説明したいことの精選である。言いたいことが10あっても、それを3つくらいに圧縮したり、とりあえず大事ではない7つを切り捨てることができないと、わかりやすい説明にはならない。
 その上で、結論や言いたいことの概要を先に示すようにして、相手がこちらの話の受け皿を作れるように支援してやる。
 いつまでも結論を言わないのは、相手をいらいらさせる。概要がないと、今の話しが全体のどこかがわからない不安を与えることになる。
 そして、説明内容は、減り張りをつけて表現する。
 ・一つは----、2つは---、
 ・大事なことは、----
といった類の言い回しに加えて、パネルに要点を書いたり図解して見せるなどの工夫をする。
 最後にもう一度、結論を手短に言う。
 こんなことを実践的に学ぶには、ニュース番組などのコメンテータの説明の仕方を参考にするとよい。短時間でポイントをずばり表現するあの説明の仕方である。パネルや図解も、実に巧みで学ぶべき点が多い。
 
●説明力は相手があってのもの
 やや雑に説明をわかりやすくするための趣向を述べてみた。しかし、説明は相手があっての話である。相手意識を欠いた独り善がりの説明は、闇夜に放つ矢のようなものである。どれほどの趣向を凝らしてみてもむなしい。
 相手が何を求めているのか、どんな知識を持っているのか、どんな状況に置かれているのかに思いをはせる習慣が、真の説明力を養うことになる。
 相手が関連知識が豊富であなたの言うことに強い関心をもっているなら、説明のための工夫より、説明の内容のほうに集中すればよい。
 しかし、相手がその逆のような人々ばかりであることが想定されるときには、説明の仕方のほうを工夫しないと悲惨な結果に終る。

●ときには説得的に説明する
 説明と説得とは違う。 言いたいことを相手に伝えるのが説明、相手を自分の思い通りにするのが説得である。教師は子どもに説明する、営業マンは顧客を説得することになる。
 しかし、説明と説得の境界は微妙である。時には、説得の技法を説明の中に取り込むこともあってよい。
 説得表現で最も大切なことは、相手を説得するに足る自己主張の内容があることである。これがないと、どれほど趣向を凝らしても、それは騙しや空虚な演説になってしまう。
 わかりやすさが説得の前提となるが、口頭による説得のためには、声の調子や手振り身振りや顔の表情などのパラ言語も大事になってくる。さらに、OHPやパワーポイントのようなプレゼンテーション用具の使用も効果的である。
 文書による説得表現を実践的に学ぶには、広告宣伝で使われているさまざまな趣向も参考になる。

具体的操作(concrete operations>学生が解説すると

2019-09-01 | 心理学辞典

具体的操作(concrete operations>
  具体的操作とは、具体的な場面や実際的な課題における対象について、見かけに左右されずに論理的な考え方をすることをいいます。
  ピアジェという人の思考発達段階説というものによると、人の知能の発達は4つの時期に分けられます。1つ目は感覚運動的知能期(0~2歳)、2つ目は前操作期(2~7歳)、3つ目は具体的操作期(7~12歳)、4つ目は形式的操作期(12~13,14歳)です。
  ここでは具体的操作期に注目して考えます。この時期には、子ども達はある程度論理的に考えられるようになります。ただし、具体的に目の前にあるものに限ります。例えば、1リットルの水を平べったい容器に入れた場合と、ペットボトルに入れた場合、これ以前の段階の子どもは、これが違う量として判断してしまいますが、具体的操作期の子どもは同じ量として判断できるのです。しかし、目の前にないものを論理的には考えられません。「もし~ならば~である」といった仮定的なことや抽象的なものは扱えないのです。(TY)
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 ピアジェ(J. Piage, 1896-1980)は、子どもの知的面の発達の過程を大きく4つの段階に区分しました
1.感覚運動期(0~2歳前後)
2.前操作期(2~6歳前後)
3.具体的操作期(6~11歳前後)
4.形式的操作期(11歳~成人)
このうち、6~11歳前後の具体的操作期にあたる子どもの思考の特徴を「具体的操作」と呼びます。
 具体的操作期では、数や長さ、質量などの保存の概念を身に付けること、部分と全体の関係を理解することやまとめること、また、他人の視点にたって客観的にものごとを考えること、などの具体的な場面や実際的な課題における対象について、見かけに左右されずに論理的に考えたりすることができるようになります。
 例えば、同じ容量だけ入る容器ならば、水面の高さが違っても同じ量の水が入っていることが分かります。
 しかし、眼の前の具体的なものを直接操作することによって考えることができるのであって、抽象的や一般的な形で考えることはできません。(KM)
  

一人マージャンゲーム」10年前の今日の記事

2019-09-01 | 心の体験的日記

 日課というか、趣味というか、パソコンを立ち上げると、まずは、頭を元気にする
ことも兼ねて(言い訳!)、一人マージャンゲームをします。実に楽しいのですが、しかし、勝負なので負けるとくやしい。勝つとうれしい。しかも、いつも勝てるわけではありません。だいたい3,4回に一回くらいしか勝てません。

 ひそかに(別に誰が監視しているわけでもないのですが)、負けたままで仕事モードに入るのは気分が悪いので、勝つまではやると決めています。したがって、仕事モードに入るまでの30分もかかってしまうこともしばしばです。
 たった一人でやる勝負でも、これほど勝ち負けにこだわる自分にときどき笑ってしまいます。
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勝つためには全力を振り絞って,最後まであきらめずに相手を打ち負かす努力を続けるべきです. 

しかし,それは決して,相手の人格や存在まで否定することではありません. 

勝負とは,それを通して相手を尊重することを学び,自分が成長するものです」
(林成之「勝負脳の鍛え方」現代新書より)