状態依存記憶(state-dependent learning>
状態依存記憶とは、ある心理的、あるいは身体的状態で記憶したことは、同じ状態の時に最もよく思い出せるという傾向のことを言います。たとえば、酒に酔った状態で隠した酒や金を、素面のときは見つけることが出来なかったのに、酔っぱらったとたんに思い出せる、というようなことです。イギリスで行われた有名な実験では、水中で覚えた単語リストは、水中で最もよく思い出され、陸上で覚えた単語リストは、陸上で最もよく思い出されるという結果が出ました。同じような効果は気分にも見られます。楽しい気分の人は快い体験を思い出しやすいのに対し、悲しい気分の人は不快な体験を思い出しやすい、という現象はこの効果によります。これは気分一致効果といいます。(SI)
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私たちはあることを思い出すとき、記憶したときと同じ状況化に置かれると、より思い出しやすくなります。これを状態依存記憶と言います。例えば運動中に覚えたことは、じっとしているときよりも、運動をしているときの方が思い出せるのです。なぜかというと、その状況下で引き起こされる感情やその状況自体が、符号化された情報を検索するときの手がかりとなるからです。(IT)
情報処理アプローチ(information-processing approach>
入力されたいろいろな情報を操作して、操作結果を出力することを情報処理といいます。ここで、情報を見る・聴く・かぐ・触るといった感覚として考えると、人はこれらの情報を頭に取り入れて、何らかの判断をし、それをもとに行動したり、周囲に対して態度をとっていることになります。このことは、人が機械のように情報処理を行っていることと同じく考えられます。とりわけ言葉の情報を使った対話や会話などは、最も高度な情報処理です。
このように、人が五感から感じ取った情報をどう頭の中で扱い、それをどのように行動に出すかという流れを、コンピュータが行う情報処理の流れと同じように考えるというのが、情報処理アプローチです。
情報処理アプローチでは、感覚器から得た情報をどう判断するかということを「処理」、それらを覚えておくことを「貯蔵」といいます。(NA)