「(効率優先による)使命の取り違えエラー」
事例3教訓「手順遵守は安全の基礎基本」
事例
2 こうやったほうが効率がよさそう、といいながら、バルブを開けたら蒸気がいきなり配管から吹き出てひやりはっと。
隣にマニュアルが無造作に置いてある。
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「解説」
どんな作業であっても、手順通りに、つまり、いくつかの要素行為を決った順序でおこなうことで、その作業が完成します。
そして、その手順を何回も繰り返していると次第に手順をからだが覚えてしまいます。手順の暗黙化です。「むり、むだ、むら(3む)」なく作業が進行します。日常的な作業のほとんどがこれです。
こんな段階になっても---こんな段階だからということもあるーーー、ちょっとした状況の変化で、手順違反をして、ヒヤリハットや事故に、ということがあります。たとえば、
・終業時間が迫って早く作業を終えたいから、手順の一つを省略 してしまう
・自分なりの作業の手順でやったほうが、効率的
手順はなにかと窮屈です。手順を意識しながらの作業はできれば避けたいという気持ちは痛いほどわかりますが、その中には、事故、災害からあなたを守るために考えられた手順もあります。自分を守るためにも、手順は遵守したほうがよいと思います。
「類似ケース」
○料理のレシピで納得がいかない手順があったので、変えてみたら、とても食べられない料理ができてしまった。
○作業をしたいたら、オフィスに呼び出された。戻って作業を再開したが、どこまでやったかがわからなくなり、結局、終わってみたら、2ステップ省略していた。
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「背景解説」
「手順無視をしないためにはどうしたらよいのでしょうか」
車を動かすときには、ブレーキを踏まないとクラッチ・レバーは動きません。このように手順通りしないと先に進めないインターロックという安全工学上の仕掛けを使うのが一番です。たとえば、
・鍵を開けてからでないと、メインスイッチを始動できない
・すべての道具が戻らないと道具箱が閉まらない
こうした仕掛けはリスクの高いところでは必須です。しかし、いつでもどこでもというわけにはいきません。となると、あとは、マニュアル(手順書)を作り、次のようなことを記載しておいて、折にふれて見てもらうのがよいと思います。
・どうしてその手順でなければならないのかの理由を説明する
・手順遵守が身を守ることを知らせる
・手順を変えるときは、必ず、許可を得る
チェック「あなたの手順遵守度は?」******
自分の思いや行為に「最もあてはまるときを”3”」「まったく当てはまらないときを”1”」として3段階で判定してください。
1)マニュアルはよく読むほう( )
2)機械や道具を使う前に仕組みを考えてみる( )
3)めどうくさいと思うことはあまりない( )
4)決められた通りの仕事をするのが好き( )
5)決まりは護るようにしている( )
*10点以上なら、手順無視の傾向が高いと言えます。
手順通りは、融通のきかなさ、窮屈さにつながりますが、安全確保には、それが一番です。