法務問題集

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民法 > 相続 > 配偶者居住権

2013-12-10 00:00:00 | 民法 > 家族法
【問題】
01. Aが死亡し、Aの妻B、子Cを共同相続人として相続が開始した。相続財産には、AとBの居住建物がある。Aが遺言で「遺産分割協議の結果にかかわらずBに建物を無償で使用収益させることを認める」としていた場合、原則として、Bは配偶者居住権を取得する。

02. Aが死亡し、Aの妻B、子Cを共同相続人として相続が開始した。相続財産には、AとBの居住建物がある。Aが遺言で「遺産分割協議の結果にかかわらずBに建物を無償で使用収益させることを認める」としていた場合、建物が相続開始時にAとAの兄Dとの共有でも、Bは配偶者居住権を取得する。

03. Aが死亡し、Aの妻B、子Cを共同相続人として相続が開始した。相続財産には、AとBの居住建物がある。遺産分割が家裁に請求されたが、Bが居住建物に従前通り無償で居住し続けることを望む場合、Bは家裁に配偶者居住権の取得を希望する旨を申し出ることができ、居住建物の所有者となる者の不利益を考慮してもなお、Bの生活の維持に特に必要な場合、家裁は審判でBに配偶者居住権を付与できる。

04. 配偶者居住権の存続期間は、原則として、配偶者の終身の間とする。

05. 遺産分割協議で配偶者居住権の存続期間を20年と決定した場合、配偶者居住権は存続期間が満了した時点で消滅する。

06. 配偶者居住権の存続期間中に配偶者が死亡した場合、その相続人は配偶者居住権を相続できる。

07. Aが死亡し、Aの妻B、子Cを共同相続人として相続が開始した。相続財産には、AとBの居住建物がある。遺産分割の結果、Cが建物の所有者と決定したが、Bが配偶者居住権を取得した場合、Bは単独で配偶者居住権を登記できる。

08. 居住建物が第三者に売却された場合、配偶者は配偶者居住権の登記がなくとも第三者に配偶者居住権を対抗できる。

09. 配偶者は、居住建物の所有者の承諾を得ずに第三者に居住建物を賃貸できる。

10. Aが死亡し、Aの妻B、子Cを共同相続人として相続が開始した。相続財産には、AとBの居住建物がある。遺産分割協議が調わない間、Bが建物に単独・無償で居住し続けている場合、Cは自身の持分権に基づいて、Bに建物の明け渡しおよび居住による使用利益等に係る不当利得の返還を請求できる。

【解答】
01. ○: 民法1028条(配偶者居住権)1項本文1号

02. ×: 民法1028条(配偶者居住権)1項但書
被相続人が相続開始の時に居住建物を配偶者以外の者と共有していた場合にあっては、この限りでない

03. ○: 民法1029条(審判による配偶者居住権の取得)2号

04. ○: 民法1030条(配偶者居住権の存続期間)本文

05. ○: 民法1030条(配偶者居住権の存続期間)但書、597条(期間満了等による使用貸借の終了)1項準用

06. ×: 民法597条(期間満了等による使用貸借の終了)3項準用
使用貸借は、借主の死亡によって終了する

07. ×: 民法1031条(配偶者居住権の登記等)1項
居住建物の所有者は、配偶者に対し、配偶者居住権の設定の登記を備えさせる義務を負う

08. ×: 民法605条(不動産賃貸借の対抗力)準用
不動産の賃貸借は、これを登記したときは、その不動産について物権を取得した者その他の第三者に対抗することができる。

09. ×: 民法1032条(配偶者による使用及び収益)3項
配偶者は、居住建物の所有者の承諾を得なければ、居住建物の改築若しくは増築をし、又は第三者に居住建物の使用若しくは収益をさせることができない。

10. ×: 民法1037条(配偶者短期居住権)1項本文
配偶者は、被相続人の財産に属した建物に相続開始の時に無償で居住していた場合には、次の各号に掲げる区分に応じてそれぞれ当該各号に定める日までの間、その居住していた建物の所有権を相続又は遺贈により取得した者に対し、居住建物について無償で使用する権利を有する

【参考】
配偶者居住権 - Wikipedia