月刊「祭御宅(祭オタク)」

一番後を行くマツオタ月刊誌

345.電飾悲喜交々 -米田新の自前電飾取り付け- (月刊「祭御宅」2021.5月14号)

2021-05-22 17:30:55 | 屋台・だんじり・神輿-衣装、周辺用具、模型-
●近年購入の高砂市米田天神社米田新屋台
米田新屋台は姫路市の屋台を近年購入しました。神輿屋根屋台なので、神紋を変更し、祭に備えていますが、まだ、新型コロナウイルスの影響で祭には出せていないとのことです。今日(2021.05.22)電飾の取り付けしているところにお邪魔しました。
分かっているようで分かっていなかった神輿屋根屋台のメンテナンスの大変さの一端を垣間見てきました。





 
●名工松本義廣の立体的な彫り
狭間の彫り師は川原啓秀のものが入っています。松本義廣の作品は赤穂浪士の場面で、より奥行きがあるように見せるために、奥の人物はかなり小さく、手前の人物は大きく彫られています。このての遠近法は西洋的手法といえるのかもしれません。
 
 
●げんのつな
祭りのときはサラシをまいていて分からなかったのですが、ターンバックルを使っているところもけっこうあるそうです。
↑サラシをまいたげんのつな。姫路市浜の宮天満宮天神屋台
 
↑米田新屋台のサラシをまいていない状態のげんのつな。ターンバックルを使っています。
 
●電飾取り付けの苦労
豆電球から発光ダイオードへ
そして、電飾のとりつけは、かなりの労力を擁するそうです。プロの方に約150から250ほどの電飾をとりつけると、三桁万円になるとのことで、自らの取り付け作業をしていました。
もともとは従来の豆電球を使用していたのを購入を期に発光ダイオードに替えたそうです。豆電球だとトラックのバッテリーを積んでも祭期間に取り替えが必要だったのが、発光ダイオードだと前夜祭から三日間でももつそうです。
↑以前の所有者か米田新の先代屋台で使用していた豆電球。
 
橙色系統の発光ダイオード
とはいえ、発光ダイオードは多くは青白い光でそれだと電飾にあわないので、橙色系統のものを買ってきたそうです。管理人は、別のところでも発光ダイオードで橙色のものを使用するようになったという話しも聞いたことがあり、主流となりつつあると言えそうです。
違う種類のものがまじったり、明るすぎたり、くらすぎたりするだけで、バランスがおかしくなるので、大阪日本橋の電気街に足を運び、丁度いい案配の同じ製品を大量にそろえたそうです。管理人が見学したときにテストとして、路盤の電飾をつけて見せてくれました。テスト用の電源としては、模型電車のNゲージ用のものが丁度いいそうです。
 




繋ぎ方あれこれ
電源→電球3つ→電源を1グループにして、並列繋ぎでつないでいきます。こうすることで、万が一、どこかの配線がつかなくなっても、別のところは電気がきえなくてすむそうです。
灰色の線が目立たないように、金色のテープを巻いて金具の色にあわせたり、金具の裏に隠したりと、繋ぐのは非常に労力をともないます。先代の屋台は昇り総才が箱打ちで金具の間に隙間があったので、まだ取り付けやすかったそうですが、今のは総打ちで隙間がなく取り付けが大変だそうです。今から半年ほどかけて、祭に合わせて取り付け作業を行っていくとのことです。




編集後記
平屋根屋台文化で生きる管理人にとっては、屋台の電飾はあまり馴染みのないものでした。なので、その取り付けには膨大な労力をともなうことも知りませんでした。そこにある並々ならぬ苦労の一端を垣間見ることができました。
取り付けの情報を教えてくださったM氏、見学と掲載の許可を賜った屋台関係者の皆様に感謝申し上げます。
 
赤穂浪士の狭間の彫り師を松本義廣としていましたが、川原啓秀のものでした。間違いを指摘してくれたu君に感謝。





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