五年程前に、小学生の時にならったわらぐつの中の神様という本をよんだ。
あらすじはだいたい下のような感じ。
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小学校のスキー旅行で「スキー靴」がほしいとねだる母にねだるマサエ。それを聞いた祖母が、わらぐつをすすめる。嫌がるマサエ。 そんな祖母はわらぐつのよさをマサエに教えるべく、とあるエピソードを話し出す。
ちいとむかし、おみつさんという、特別かわいいわけではないけど、よく働く器量よしの娘さんがいた。その娘さんが、とある朝市に出かけたときに目に止まったのは、綺麗な雪下駄。だけど、おみつさんの家に雪下駄を買うようなお金はない。
おみつさんは、一年発起し、わらぐつを作って売ることを決心した。おみつさんは、わらぐつをなれない手つきで一生懸命つくる。「丈夫に長持ちするように、使いやすいように」そのような思いで作ったわらぐつをつくり、そのようにできあがるが、決してみばえはよくない。朝市で売るも、見栄えはよくないわらぐつは酷評の嵐。「どろまんじゅうだ」と言う声も出る始末(買わないのにそこまで言う人ってちょっと変わってる気もしますが)。
おちこむおみつさんに、救いの手をさしのべたのはとある若い大工さんだった。「わらぐつひとつおくれ。」と。 そして、次の朝市も、またその次も、その若い大工さんはわらぐつを買っていく。いつの間にか、おみつさんはその若い大工さんに会うのが楽しみになる。
そんななか、おみつさんはとある疑問が浮かぶ。「なぜ大工さんは何度も見栄えの悪いわらぐつを買うのか。」その疑問をある日おみつさんは大工さんにぶつけると、知り合いに譲っているという。「でも みったぐない(みっともない)わらぐつですよ。」とさらに疑問をぶつける。
大工さんは真面目な顔で、「俺も職人だから、仕事の善し悪しは分かる。このわらぐつはみかけはよくないけど、履きやすく丈夫に長持ちするようにと、いい仕事がしてある」
そして、こんなわらぐつをつくる君と結婚したいと。
そのおみつさんが、実はマサエのおばあさんで、大工さんがおじいさんで「めでたし、めでたし」となりました。
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その作品の主題は、「みかけよりも中身」、「失われた大切なもの」といったところだと思う。
この作品はどこかでありそうなフィクションを装っている。が、じつは、このような話は絶対にありえない。なぜならば、わらぐつを丈夫で長持ちするように、使いやすいように作ると、わらぐつのみばえはよくなってしまうからである。
作者さんはもしかしたら、あまり縄をなったり、縄で細工をするような経験がないのかもしれない。そのような人が昔の生活にファンタジーをもとめてつくられたのが、「わらぐつの中の神様」なんだと思う。
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