保津川下りの船頭さん

うわさの船頭「はっちん」が保津川下りの最新情報や、京都・亀岡の観光案内など、とっておきの情報をお届けします。

台風10号

2004-07-30 21:42:15 | 船頭
太平洋岸をゆっくり西に移動している台風10号。いよいよ明日は近畿に接近しそうな気配です。どうやら今年は台風の当たり年なのか、近畿に接近するのは早や3度目です。この調子で進んで来ると、明日は保津川下りの運行ができるか心配です。保津川下りでは、風力の強さに応じて乗り込む船頭の人員を増やして運行します。通常の3人体制を、1人増やし4人体制にし、安定した進路の確保に勤めているのです。増員される箇所は櫂の漕ぎ手。2人で漕ぐことで風に負けない速度と勢いを倍増させ,舟に安定感をもたせる事ができるのです。しかし、あくまで人力に頼る完全手漕ぎ船なので限界はあります。風速15mを超えると安全面を考慮して中止となります。遠くから保津川下りを楽しみに来られた方には本当に申し訳ありませんが、安全運行は観光船の最重要条件ですのでご理解のほどお願い申しあげます。私達船頭にとっても週末は絶好の稼ぎ時、運行中止(私達は川止めと呼んでいます)は本当に痛いことです。また台風通過後の河川の増水も心配です。水量の引きが長引けばやはり仕事に支障がでるし・・・今後の進路から目が離せないです。
 しかしこの台風10号はおかしな台風ですね。いまの時期、東から西へ移動するのも変ですが、こんなにゆっくりとしているのも非常に珍しいですね。おかしな張り出しかたをしている太平洋高気圧の影響らしいですが、今年の猛暑も海水温の異常な高さもこの高気圧が原因だそうです。明らかに地球環境がおかしな変化を示していると指摘する識者も多いようです。文明が発達した今日でも、人が自然の力で生かされていることは紛れも無い事実でしょう。その自然は人に多くの恵みを与えてくれる反面、一度牙をむくと脅威になって人に向かってきます。自然の中に身を置く私達船頭はその事を身をもって体験する事も多いです。今一度、人は謙虚になり自然について考えてみたいものだと感じるはっちんなのでした。この台風により、被害・災害が何処にも無いように祈っております。
 写真は4人体制で運行している様子です。櫂の漕ぎ手が2人いるのがわかりますか?