保津川下りの船頭さん

うわさの船頭「はっちん」が保津川下りの最新情報や、京都・亀岡の観光案内など、とっておきの情報をお届けします。

出航直前、強風による運航中止へ!

2010-10-09 22:21:02 | 船頭
今日から京都は秋の観光シーズンの到来を告げる連休の初日。
ということで、気合を入れて遊船の乗船場まで出勤したはっちん。

だが、出航目前となったその時、運航中止のアナウンスが事務所から流されました。

理由は乗船場に設置されている風速計が安全規定を超える「強風」を観測したことに加え、
渓谷内の状況を観測しに行った担当者からも「強風」との現場報告が届けられたことによります。

舟の用意をして、まさに今、出航せんとした矢先の運航中止命令。
しかも、雨足も次第に激しくなってきました。川の水位も上昇してきています。
緊急の「川止め」もやむなしか・・・
※川止め・・・船頭用語で天候条件等で運航を中止すること。

すでに乗船場にお越し下さっていたお客様には大変申しわけない訳ですが、
安全な運航は何よりも優先されなければなりません。

お客様は遊船のバスで嵯峨野観光鉄道の亀岡駅とJR嵯峨嵐山駅駅まで
送らせていただきました。

さて、出航が取りやめとなり乗船場につないである舟ですが、
雨による河川増水での流失を防ぐ為、舟の舳先を上流方向へ
転換しておかねばなりません。


長いロープで舳先のハリに解けないようにしっかり固定。
船尾をつないでいたロープを解いて、川の流れにまかせて舳先を中心軸にして
舟を半回転させるのです。
これは舟を乗船場に着岸後に川止めになり、増水が予想される場合は
昔からこの形にしてつないでおくのが保津川流です。

舟を半回転させる時に、中心軸となる舳先部にかなりの力が掛かるので、
ロープの切断やハリの損傷を防ぐ為に船頭数人が固定したロープを手に
持って回すことが必要なのです。

これも舟の構造と川の流れの抵抗を肌で知り尽くしている船頭の知恵が生んだつなぎ方なのです。


しかし・・・です。本当に船頭に仕事がなかなかできないですね~

今日も、家を出たときはまったくなかった風が、乗船場に着くと
吹き出し、辺りの木々も激しく揺れ、川の水面にも波が立っていました。

川の水位は只今、増水して川止めの水位を示しています。
今夜から明日の日中まで、雨が降る予報が出されています。

せっかくの連休なのですが、お休みということになるのでしょうか・・・

いつも感じることですが、自然と共に生きるということは、
自然条件に人間があわせて仕事をするという極めて原始的な生き方。

現代の時代ではまれな、この暮らし方。

身の丈にあわせて、与え喜び、楽しむしかないですね。