保津川下りの船頭さん

うわさの船頭「はっちん」が保津川下りの最新情報や、京都・亀岡の観光案内など、とっておきの情報をお届けします。

澄んだ空と渓谷美に、船頭の心を乗せて。

2011-11-08 14:58:57 | 船頭
今朝は青く澄んだ空が広がる秋晴れです。

亀岡名物といわれる秋の朝霧も出ていないところをみると、昨夜の
冷え込みはそれほどでもなかったということか。

こんな日は秋独特のまぶしい陽光に山々が照らされるから、木々の緑に
少し色づいてきた葉が映え、奥行ある風景が見られる一日です。

今日は北海道から来られた高校生さん。

共学の学校らしいが、3隻の先頭となった私の舟には男子学生ばかりが。

本音を少し言わせてもらえば、この年頃の男子学生さんをお乗せした場合、
場を盛り上げ、楽しんでもらうのは難しいです。

歴史や自然の話をすると退屈そうだし、苦し紛れにくだらないギャクなど
発しようものなら、舟の中が凍りつき、その後の挽回はかなり厳しい。

私のやり方といえば、渓谷までは前列の生徒さんたちを中心に、何処から来たの?、
また旅行に行程は?など自分たちの事を話して貰う様にしています。
そして、その話される内容を膨らませて会話をつなげ打ち解けていける様に心掛けています。
そこに、後列からツッコミなどが入ると舟の雰囲気は一変司和やかムードです。

渓谷に入ると激しい落差のある急流や川壁スレスレコースなどのスリルある場所を
舟が通過する、その時を逃さず「前方、大丈夫か?当たるかも!」とアクション付きで煽り
無事に通過すると「セーフ!イェーイ!!」と右手を高々と突き上げる。すると
みんな、私のテンションについてきて「イェーイ!おぉ~!」と盛り上がってくれます。

ここまでくると、やはり若者たちです!自分たちで思い思いに盛り上がり、
笑い声が渓谷にこだまする楽しい船旅へとなって嵐山を目指すします。

そして時折「顔を上げて、空を見上げてごらん」
「青く澄みわたった空に、雲が綿菓子の様に浮かんでいるやろ~」
と自然の風景案内などをすると「凄い!CGみたくない?」とみんな
そのよさに気づき、感激してくれます。

伝え側の工夫ひとつで、保津川下りの魅力と保津峡の自然環境の
素晴らしさがしっかり理解され伝わるのだと感じます。

そして、降りる時は大きな拍手と元気のいい挨拶を返してくれました。

悠久の自然が広がる保津峡の景観と舟の乗り心地に支えられて
400年続いてきた保津川下りの舟ですが、その魅力をさらに
光り輝く様に磨くのは船頭の腕次第であります。

お客様に喜んで満足していただける船旅を演出できるように
さらなる勉強と創意工夫、そしてなにより‘おもてなし’の心を
高めていける様に精進してまいりたいと思います。

今日も楽しく仕事をさせて下さったお客様、どうもありがとうございました。