保津川下りの船頭さん

うわさの船頭「はっちん」が保津川下りの最新情報や、京都・亀岡の観光案内など、とっておきの情報をお届けします。

幻想空間・朝霧の保津川下り

2005-11-14 19:22:37 | シリーズ・保津川を下ろう!
保津川の秋の風物詩といえば朝に出現する深い霧です。

乗船場辺り一体は白い雲海に包まれ幻想的な空間が広がります。

こんな日に、船に乗ってもらうと、数m先すら見えない
この幻想空間の中へ吸い込まれ、異次元の世界へいざなわれて
行くような不思議な感覚が味わえるのです。




この現象は以前にも書いたように、盆地である
亀岡の地形が原因となっています。

盆地の底の温度が、放射冷却により一気に下がりだし、
地表の温度より低くなり、この冷却温度が保津川水温
よりも低くなる事で、蒸発現象が起こります。

この蒸発した水蒸気も冷やされ、水滴に変わり
深い霧が発生するというシステムです。


峡谷の入り口も深い霧で覆われています。
深い谷と深い霧、幻想空間へと船は吸い込まれて行きます。
遠くにうっすら浮ぶ山も、本当に実在のものなのか?
それすら分からなくなるような風景。

ここは保津川なのか?現実感も薄れる風景なのです。


しばらく幻を見ているような錯覚に見舞われながら船を進めると、
身を切るような冷たい風が水面を勢いよく滑ってゆきます。
この風こそ、私達を幻想空間から現実の空間へと導く川風なのです。

風に乗り霧は勢いよく上昇し始めます。
すると!視界に透き通るような真っ青な空が姿を見せます!
まさに夢・眠りから覚めたような爽やかな‘青’です!
霧の上がる時に見える、青と灰色のコンストラストは圧巻で
何度見ても素晴らしい!

自然が生きていると感じる‘息吹’を確かに感じる瞬間です。



上昇する霧の隙間から暖かい日光が差し込みます。

霧が晴れるごとに水面が明るく照らされ、その太陽の光に
反射して山々が水面に映し出されます。
これが‘水鏡’です。

ぽかぽかしたお日様に照らされて、霧が出ていた頃の
寒さがうそのように、辺りは暖かくなってきます。

太陽の出現で峡谷の空は晴天です。
あまりにも極端に一変した風景に、確かにさっきまで
見ていた霧空間自体が、幻だったのでは?
変な錯覚に見舞われる秋の保津川下りなのです。

こんな体験ができる1時間40分の船旅。

是非、一度ご覧になっていただきたい幻想空間・保津川下りです。

晴れた日の朝、9時~10時までの船なら
この様な幻想体験ができます。
その代わり、太陽が顔を覗かせるまでは
相当寒いので、暖かい格好やカイロなどの
防寒対策をしっかりしてお乗りくださいね。

それと乗られる前には必ず‘トイレ’をお済ましに
なってからご乗船いただくことお願い致します。

大自然の素晴らしさをまたひとつ発見できますよ~

秋の保津川下りは‘紅葉と幻想の霧の競演’で、
お越しいただく皆様の目を楽しませてくれることでしょう。

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2 コメント

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不思議がいっぱい! (Honko)
2005-11-15 06:01:24
 はっちんさん、おはようございます!



 今回は、これまた「不思議な世界」ですよね~ ついさっきまで前を行ってた船が、白い霧のなかに「す~っ・・・」って消えてしまったら・・・

 何だかどこまでが「この世」で、どこからが「あの世」なんだかわからない、そんな「迷いの空間」を感じます。



 こんな「迷いの空間」へといざなうはっちんさんは、「仙人」なのでしょうか・・・?





 きのうは、ユーモアたっぷりのコメントありがとうございました。

でも、はっちんさんがおっしゃると、「本当」のようにも思えてきちゃって・・・

 わぁ~ん、自分で書いておきながら何だかこわ~いよぉ~

 「源氏物語」みたいになっちゃったら~

きっと「自分」がおそろしいかも・・・

あ~ でもHonnkoは、人畜無害(自分で言うのも変ですが)なのでご安心くださいませ。

 
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迷いの空間 (はっちん)
2005-11-15 23:58:33
Honkoさんへ。

霧深い保津川を「迷いの空間」と

仰ったのはHonkoさんが初めてですね。



そうか・・・「迷いの空間」なんだか

わかるような気がします。



今、目の前に見えているのが現実に実在するのか?

実在するものでも見えなければ実在しているとは

いえなのではないか?

現実と思っている世界は実は、思考の世界のみで

存在しているだけで、実在ではないのでは?

などとおかしな思想の迷路に迷い込みますね。



まあ~そもそも人生自体が、一寸先がわからない

霧の中を歩いているようなもですからね。



一切の過去もこれからの未来も‘今この時’のみ

に存在し自己同一しているという事ですかね。



でもHonkoさんが「源氏物語」の六条の御息所と

いうことは私はっちんが「光源氏」ということですか・・

あんないい男だったら、少し羨ましいけど・・・
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