保津川下りの船頭さん

うわさの船頭「はっちん」が保津川下りの最新情報や、京都・亀岡の観光案内など、とっておきの情報をお届けします。

「空手とは何か?」 一修行者の伝統武道空手への回帰からみる

2010-10-06 23:59:51 | 空手・格闘技
2000年の新世紀を向かえて以後、空前の格闘技ブームに沸いた日本。

K-1にはじまり「プライド」など総合格闘技などなど・・・

でも、その中心的役割を果たしたのは「空手」や「柔道」そして「柔術」
といった日本古来の武術だったといっても過言ではない。

いまや日本の武術は世界中に普及し、心身を練磨する「武道」として
多くの愛好者を有する文化的側面を形成し発展を遂げてきたが、
この格闘技ブームを背景に、興行化商品価値が高くなり、
技術的にも精神的にも一種、奇形化して里帰りしてきた感がある。

日本武道として忘れられた存在であった「柔術」はともかくとして、
「強さ」をあまりにも強調するあまり、今の空手界も商業主義と
勝負偏重の大会至上主義の肥大化が極端に進み、「空手」本来の
武道的価値を貶める結果になっているのではないかと危惧する。

沖縄という小さな島で生まれた空手は、日本文化として同じ武道の柔道や
茶・華道、歌舞伎などの伝統文化・芸能と共に、 世界中に普及が進み
人々にも認知される存在にまで成長してき訳だが、空手に至っては
世界150ヶ国、5000万人という愛好者人口を抱える 他の日本文化の追随を
許さない、日本が誇る「最大の文化」なのだ。

沖縄という独自の軽武装主義の風土のもとで歴史的変遷を遂げた空手は
他の日本武道以上に心身の鍛錬・修養・礼法を目的とする
しっかりした武術思想と伝統的技術体系を確立したものとして
発展してきたはずだ。

その貴重な文化遺産ともいえる空手が現代、プロ化や大会・勝負偏重に走るあまり、
安易な商業的主義に乗っかり空手本来の伝統的技術・文化的精神価値から
かけ離れる形で変化してきている。

武術である以上、強さは大切だが、ルールある競技性の中での相対的な強さのみに
絶対的価値があるのではなく、文化的価値も含め武道としての空手を追求する過程において、
自らの心身を磨く人間的‘強さ’の 涵養にこそ意義がある信じる。

そこで、生涯空手を修業する一実践者として、知性だけに偏るのではなく、
自らが体感した経験を元に「空手」とは何か?という
本質に迫るための考察を試みたいと思う。

考察のポイントとしては
①空手の源流から歴史的・文化的検証 
②歴史的変遷からみる技術的な変化 
③急速な普及により国際化したことでの功績と問題点 
④空手の武道性と現代的価値

この4つに絞った考察により、純粋な空手の伝統的武道文化を認識し
、修行者の人生的意義はもちろん、人類的価値にも問いかけ、
これからの空手修行のライフワークとしたいと思っている。

「ふるさと清掃運動会IN保津川2010」が今年も開催されました。

2010-10-04 09:18:36 | プロジェクト・保津川
「地域の‘住民力’で日本中をきれいにしよう!」

という趣旨のもと10月1日から1ヶ月間をかけ、日本中を美しくする
国民的清掃イベント「ふるさと清掃運動会IN保津川」が3日、今年も亀岡市の
保津大橋上流の河川敷で開催され、地元亀岡をはじめ関西地域から120名を超える
参加者が駆けつけ賑やかに行われました。

この清掃運動会は、王貞治元福岡ソフトバンク・ホークス監督が委員長を務める
「ふるさと清掃運動会~環境アクション2010~実行委員会」が全国各地の
美化活動をされてる団体等に呼びかけ、北は北海道から南は沖縄までの日本中を
掃除する全国的清掃イベントで、京都会場として「保津川」が選ばれています。
今年で4年目。

午前9時から始まった清掃運動会。

今年もNPOナルクやガールスカウト亀岡の皆さんや保津自治会、篠自治会など様々な地元団体の
方々も参加くださいました。また、亀岡市の職員の方々、そして毎月保津川の清掃に来てくださる
桂川孝裕府会議員さんなど行政や政治家の方も積極的に参加くださいました。

まちの清掃はまち総がかりで!‘みんな’の力を結集することがなにより大切です。
草莽崛起!この草の根活動で築いた絆の強さが、まちを必ずよくしていく原動力になると確信しています。


今年も川の漂着ゴミを回収するため、ゴムボートが出動しました。

約2時間の清掃活動で、土嚢タイプのゴミ袋が143袋。中身は河川敷・河原ではペットボトルやトレイと
いった漂着ゴミ。また堤防近くの土手の草むらからは農業用の肥料袋と古タイヤなど川系ゴミの常連が顔を揃えます。
中には浴槽が2個 !廃車まで!・・・ここまで捨てに来るまでも相当手間が掛かる不法投棄がありました。
参加した小学生の女の子は「なんで?なんで?こんなところにお風呂があるの・・・」の驚きを隠せない様子で
「大人たちって、偉そうに言うけど、こんなこと平気でするなんてダラシナイ!」と怒りが収まりません。
また別の子は「保津川がこんなに汚れているなんて、なぜ、もっと多くの人が掃除に来ないの?」と
不思議に思っている様子でした。
わたし達のPR不足を反省させられると同時に、私たち大人は子ども達のこのような声を
しっかりと胸に刻まなければいけないと思いました。
前回のブログでも書きましたが、我々は子ども達に重いツケを回してはいけないのだと!



回収されたゴミは、亀岡市環境政策課が用意して下さった2tトラックに満載状態でした。

世界の常識では、ゴミが散乱している姿はそのまま、そこに暮らす人の心の姿を表すといわれています。
特にその中でも、いのちを支える水、その母なる存在の川。まちの象徴といえる川の環境の現状は
住民の心理状態を表します。川が汚れていれば、汚れが汚れを呼び、そこの地域に住む人の心にも
悪影響を与えます。

「その国の人間を知りたかったら、その国の川を見ろ!」というのはまさに真理を突いています。

汚れた姿のまま放置することは、まちにマイナスの磁場を発生させ、その磁場がさらに
住民の心を荒めて、マイナス力を増幅させ、マイナススパイラルを加速させ、まちを衰退へと
向かわせます。まさにブロークンウィンド理論(窓ワレ理論)〔※注1〕そのままです。

そんな思いを強く持つ‘志’ある人たちの協力のもと、今年も保津川が美しくなりました。

清掃終了後は、参加全員で恒例のお楽しみ抽選会が、今年も行われました。

景品としては「保津川下りペアー乗船券」や丹波黒豆、トロッコ列車のクリスタル文鎮、
それに今、亀岡B級グルメ界話題のたこ焼きや「てつ屋」のたこ焼き無料券など。
ご協力いただいたスポンサーの皆さま、おかげさまで、参加者の皆さまはとても
喜んでお帰りいただけました。本当にありがとうございました。

相変わらずの手作り市民イベントでもあり、参加者の皆さまには何かと
行き届かないところがあったこととは思いますが、これからもスタッフ一同
力を合わせて、美しい川・保津川の保全活動に邁進していく所存ですので、
今後も、心強いご支援をよろしくお願い致します。

今回「ふるさと清掃運動会IN保津川」のポスターを貼っていただいた店舗また住宅の
皆さま、お陰さまで多くの参加者に来ていただくことができました。
本当にお世話になり、ありがとうございました。感謝申し上げます。

※注1…1969年、スタンフォード大学の心理学者フィリップ・ジンバルド教授が発表
した理論。まちの比較的治安のいい場所で、ボンネットを開けっ放しした車2台を1週間放置した。
そのうち1台はボンネットの他に窓ガラスを割って放置したところ、ボンネットを開いている車の
方は何も起こらなかったが、窓ガラスが割れている車の方は、10分後にバッテリーが盗まれ、
続いてタイヤがすべて持ち去られた。さらに落書きや破壊行為が行われ、1週間後には完全に
スクラップ状態にまで破壊されたという実験から導かれた理論。

バラマキ依存体質と日本、そして保津川下り

2010-10-03 23:59:38 | 船頭の目・・・雑感・雑記
今日、某新聞社のニュースサイトを見ていると、大阪府が、府在住の私立高校生の
授業料について来年度の新入生から、年収約600万円未満の世帯にまで
無償化を広げる方針を固めたとの報道がなされていました。
これは府が既に実施している年収350万円未満の世帯の生徒の授業料無償化
の枠を拡大するもので、その財源には府職員の給与削減を当て込むというものらしい。
実現すれば府在住の私立高校生約7万人の半数程度が無償化の対象になるそうです。
いつもセンセーショナル話題を提供してくれる橋下大阪府知事。
今度も労働組合側と激しい抵抗にあい、交渉は難航が予想されますね。

今、中学生3年生の子供を持つ、私としてはとても関心のある話題ですが、
ちょっと自分の事とは離れて客観的にみると、国も地方もなんでも「無償化」
今の日本国のこの方向性には、国家としての大局観が欠如し、目先だけを
みている感じがしてかなり疑問を持っています。
公務員の給与削減政策は、回復の兆しが全く見えない現在の経済状況の中
でひっ迫する府財政を考えると致し方ない面もありますが、
庶民の不満の矛先を公務員というスケープゴートへ向かわせているだけでは、
今の日本が置かれている現実、根本的な危機的問題を見誤る危険性があり、
論点がずれるような気がします。

今の政府は政策目玉として高速道路の無料化にはじまり子ども手当て、
公立高校の無償化、農家の戸別所得補償など、バラマキ政策のオンパレード。
今、国家が置かれた現実的な状況を省みず、ただ国民に口当たりのいい
場当たり的な政策ばかり打ち出し「サービスの安売り合戦」に精を出すばかりです。

そんな危機感のない政府が、本当に抱える現実はとても厳しいものがあります。
先頃、IMD(経営開発国際研究所)が発表した「2010年度世界競争力年鑑」によると
1999年には「世界第一位」であった日本の国際競争力が「第27位」にまで
転落しました。
かつて技術大国日本の象徴的存在として世界を席巻した「ソニー」や「パナソニック」
などのリーディング・カンパニーは今、束になって掛かっていっても
韓国のサムスン一社に敵わないのが、悔しいですが現実です。

そんな厳しいグローバル化の荒波のなか、政府は今年度予算を
過去最大の92兆円まで膨れ上がらせました。
税収が37兆円と落ち込んでいることから、赤字国債をこれまた
過去最大の44兆円も発行しました。
国債発行額が税収を7兆円も上回るというは異様な事態です。
戦後、どんなに景気が悪いときでも当初予算の段階で税収を上回る額の
新規国債を計上したことは一度もないのです。

それでもこんな異常な財政赤字でも強気でいられるのは1400兆円とも
いわれる国民の金融資産つまり預貯金があるからなのですが、しかし、
それも住宅ローンや保険などを除いた家計純資産でみれば1000兆円まで
目減りしますし、これに対し国債など金融負債から資産を差し引いた
純金融負債は国と地方を合わせて約500兆円にも達するといわれています。

今年、政府が過去最大の44兆円の国債を発行し、来年もマニフェスト通りの
バラマキ政策を続ければ国債発行額50兆円を軽く超えると財務省は試算しています。
今後、このように大量の国債発行を続けていけば、日本はあと「3年」で
純債務国に転落です。
純債務国への転落が近づけば、日本の信用力は著しく低下し国債の暴落を生み、
金利は高騰するでしょう。
金利が高騰すると利払い費は膨大な額に達し、支払い不能となることは免れません。
そうなると日本は債務不履行となり、かつて「世界第6位」のGDPを誇りながら、
政府のバラマキ政策の影響で、僅か数年で財政破綻に追い込まれたアルゼンチンや
IMF(国際通貨基金)やEUの支援により、国家破綻をなんとか免れたものの、
その引き換えとして国民が重い負担を強いられることになったギリシャと
同じ様な運命をたどることになるのです。

私たちの世代は、巨額の借金によるバラマキ依存体質にどっぷり浸かり、
自分たちの子どもたちにその借金のツケを背負わせることになるのです。
1億3000人が国民が乗っている日本丸の船底の大きな穴が開いていて、
今にも沈み行こうとしているときに、借金で取った一等船客で、テーブルに
並べられたバラマキによる見せかけの高級料理を食べていていいのか?
必ず、次の世代の国民からその責を問われることでしょう。

今、大事なのは無償化による甘いアメを舐めさせられることではなく、
国民一人ひとりが自立して生きる強さを持つ事ではないでしょうか。

何でも依存するという思考の肥大化を防ぎ「今さえよくば」「自分さえよければいい」
という考え方と決別して、自らの知恵と技術で「公のために」という先人たちが
持っていた誇り高い志ある日本国の伝統を守り、自由で力強い国を再生させることが
もっとも必要ではないかと思います。

これから日本が歩んでいく道を考えると、我々保津川下りという観光業も
予断を許さない厳しい時代を迎えることは容易に察することができます。

400年続いてきた伝統の知恵と技術を大切に守りながらもその伝統に胡坐を
かくことなく、必要とあれば思い切った改革に踏み切り、自らの力で
生き残っていかねばならないと強く感じています。

我々の仕事は世界情勢に大きく左右され、経済状況が直に影響する仕事
であるという自覚を持ち、先人たちがそうであった様に、方向を間違うことなく
時代の現状をしっかり読み取っていかねばなりません。

今、我々の目前にも大きくうねりをあげた激流が迫っています。
この激流にのまれない為にも、正しい判断にもとづく確かな舵取りが
我々の世代に求められているのです。


渡月橋で「嵯峨中学校・御輿行列」に遭遇!

2010-10-02 00:10:16 | 京都情報
今日の午後、保津川を下り嵐山の渡月橋を歩いていると、後ろからなにやら
威勢のいい掛け声が聞こえてきました。

「えっ、お祭りか?」と振り返ると、イカツイおやじ達に先導され、
子ども達が御輿を担いでこちらへ向かってくるじゃありませんか。

「こんな平日に嵐山で祭りなんてあったかな?」と立ち止まり眺めていると
その行列は御輿のほかに、手書きで書かれた文字が並ぶ、多数の幟を上げ近づてきたのです。

「新手のデモかなにか???」

中国と揉めている昨今とはいえ「しかし、さすが御輿担いだデモなんてないだろう?」
そんなことを考えている私の横を行列が追い抜いていきます。

その行列は御輿も幟もすべて中学生くらいの子ども達のようで、よく聞くと
掛け声も「ファイト!ファイト!」と叫んでいます。

交通整理をしている方に訪ねると「嵯峨中学校独自の祭り」だそうです。


京都有数の観光地・嵐山~嵯峨野周辺の子ども達が通う地元の嵯峨中学校では、
10年前から3年生全員が中学生活の集大成として、みんなで力を合わせて、
この嵯峨嵐山で新たに「自分達の祭」を作ろうと企画し、始まった祭りだそうです。

伝統や歴史を守っていくだけでなく、今の世代で新たな歴史と伝統を生み出していく
という京都ならではの姿勢は、地元中学生たちにもしっかり受け継がれているのですね。

また、先導するイカツイおやじたちは地域組織「おやじの会」の方々で、その行列が
練り歩く沿道の辻ごとにPTAの役員さん方が交通整理のお手伝いをされていました。

まさに「子ども達と学校、地域が一体」となり、この祭を支えているっていいですね!
これぞ、今、その必要性を求められている「地域総がかりの子育て」ですね。

行列は嵯峨中を出発点に嵐山渡月橋から中ノ島公園で折り返し、再び渡月橋を
通り、嵯峨野・広沢の池周辺まで歩くそうです。

世界の人々に愛される京都嵯峨野を歩くことは、自分のルーツを辿ること。
こうして、子ども達はふるさと愛を深めていくのですね~
そして伝統ある京都嵯峨野、そして嵐山を支えていく人材に育っていく。

地域のつながりの深さと人々の絆の強さに支えられて、威勢のいい元気な掛け声と
イキイキとした目を輝かせながら、大勢の観光客の視線を受けながら勇壮にねり歩く
中学生達の姿に、京都、千年の息吹を感じた、そんな「嵯峨中学校御輿行列祭」でした。