創作日記&作品集

作品集は左のブックマークから入って下さい。日記には小説、俳句、映画、舞台、読書、など…。そして、枕草子。

銀の街から・沢木耕太郎 風立ちぬ

2013-09-29 18:09:47 | 映画・舞台
朝日新聞2013/9/27(金)の夕刊に掲載された批評に対して書きます。沢木氏は「これは宮崎駿の作品ではない。と」最初に書いている。過去の作品とかけ離れているということだろう。後に続く文もその論証に過ぎない。人は年齢とともに変化する。一つのテーマを深める人もいれば、テーマを広げる人もいる。異なる分野に向かう人もいるだろう。宮崎駿監督はアニメ以外に自分の道を探ろうとしているように思う。次作がないのを一番よく知っているのは監督自身だと思う。終わったのだ。沢木さんは72才の監督に「となりのトトロ」を期待しているのだろうか? 私は「風立ちぬ」を完成させた監督に喝采する。沢木氏の言う「物語の階段」や「段差」を内蔵させることによって物語の悲惨さを際だたせている。私は素直に「風立ちぬ」に感動した。

映画「終戦のエンペラー」

2013-07-29 16:39:00 | 映画・舞台
テーマは、近衛文麿(中村雅俊)とボナー・フェラーズ(マシュー・フォックス)との対話にあるのだろう。戦勝国の戦争責任を静かに弾劾する。「日本は、先進国をお手本にしただけだ」と言う。二時間弱の上映時間もありがたい。大体近頃の映画は長すぎると思う。

映画「風立ちぬ」・宮崎駿作品

2013-07-25 15:26:47 | 映画・舞台
それはどこかで見た光景だった。「モネだ」。気づいた瞬間、突風が吹いた。「風立ちぬ」である。飛行機の話と、堀辰雄の「風立ちぬ」が見事に融合した瞬間であった。見事な描写だった。気持が映画の世界に飛んでいった。至福の時だった。

2012年私が選んだ映画ベストスリー&鴻風俳句教室

2012-12-31 17:50:40 | 映画・舞台
①アメイジング・スパイダーマン
②踊る大捜査線THE FINAL 新たなる希望
③『劇場版 SPEC〜天〜』
順位は関係ありません。私が今年観た映画はこの3本でした。一言。「どうして、テーマを声高に何度も叫ぶのでしょう。観て観客が感じるものなのに」。でも、みんな楽しめました。行かなけりゃ楽しめませんものね。鴻風俳句教室をブックマークに追加しました。私も入ってます。来年は一緒に俳句をしましょう。楽しいですよ。来年もよろしく。

2012年私が選んだテレビドラマベストスリー

2012-12-30 10:03:22 | 映画・舞台
①NHK土曜ドラマ「キルトの家」山田太一
3.11東日本大震災に真っ正面から体当たりしている印象です。誰もが取り上げなかった「傍観者」の引け目をテーマにしているように思いました。私も傍観者だった。3.11。テレビの中はどんな映画よりもスペクタクルだった。その裏で次々に人が死んでいるのだろう。私たちは、つなみで死んで行く人々をコーヒーを飲みながらテレビの小さな二次元の画面で見ていた。もう、ごめんだ。他の番組をやってくれよとつぶやかなかったか? ニュースの即時性は残酷だった。傍観者はリアルからどんどん遠ざかっていくように思う。
②NHK大河ドラマ「平清盛」
一年間楽しめました。名場面も多かった。嫡男重盛の「忠ならんと欲すれば孝ならず、孝ならんと欲すれば忠ならず」の慟哭。忠清の身を挺しての進言。壇ノ浦の時子(わずか数秒のカットですべてを演じきった)。ただ、低視聴率に終わったのはそれなりの理由があると思います。
☆清盛の叔父 忠正を清盛が斬首する場面。ここから、かなりの人が引いたのでは。☆ 後白河法皇の破天荒な登場は後半尻すぼみした印象。☆脇の名演技が記憶に残るのに、主役クラスのがあまり残っていない。 ☆清盛の目指す「武士の世」が最後まで分からなかった。☆後半は平家物語にこだわりすぎたのでは。
でも、楽しめました。来年は……。多分見ないと思う。
③ 月曜ゴールデン「緑川警部VS“33分の勇気”
つい最近の放送でした。気楽に見られるのがいいです。最後の女刑事の「逮捕します」が切なく、素晴らしい。やっぱりドラマは脚本ですね。

センセイの鞄 電子出版補足

2010-11-21 10:32:21 | 映画・舞台
センセイの鞄は川上弘美さんの作品です。とても好きな小説です。小泉今日子主演……。合わないなあと思いました。でも映画を見てびっくり、合ってるじゃないですか。月子さんそのものです。女優さんてすごい。舞台の中心になる居酒屋がいいですよ。こんな居酒屋があったら入りたいですね。寡黙な主人が黙々と料理をつくり、客はくつろいで酒を飲んでいる。チェーン店は一様ですが、主人の個性が出ている居酒屋は少なくなりました。こんな行きつけの店があったらなあと思います。映画も本も超お薦めです。
昨日書きました簡単に電子出版ができるサイトパブーですが、IDが作者名になるのはニックネームを登録しない場合のようです。ニックネーム(作者名)はプロフィールの変更でできます。私は本名で登録しました。

「イキガミ」・映画

2010-09-09 16:26:57 | 映画・舞台
「イキガミ」DVDを観ました。
「イキガミ」DVDを観ました。
国家繁栄のために1000人に1人の若者が政府により強制的に殺される“国家繁栄維持法”が施行されている。死のタイマーが小学校の入学時に行われる強制的な予防注射に仕込まれるというのが怖い。残された時間は24時間というのも怖い。設定に無理があるという意見が多いようですが国家繁栄のために行われた戦争はどうでしょう。それは今も世界のどこかで行われています。国家が非人道的な政策を正当化したとき、何が起こっても不思議ではないと思います。

ヴィヨンの妻ー桜桃とタンポポー

2010-04-30 10:02:32 | 映画・舞台
佳作だと思います。松たか子が素晴らしい。映画を観ながら言葉をつづりました。
タンポポの花一輪の誠実をわたしは信じたい。タンポポの花一輪の誠実……。あの人もっているのかしらとさらりと言う。
けなげ、ユーモア、男の弱さ、女の強さ、母性本能。ゆれる。嫉妬。純粋。小心。苦悩。そのふり。酒乱。不倫。見られていた。つかの間の幸せ(子供と風呂に入る)。心中。そして未遂。愛の不在。死にそこなって、生きていけそうな気がするんだ。女の確執(心中相手と廊下ですれ違う)。娼婦から口紅を買う。からだを売る覚悟。お酒飲みたいんでしょ。心がわかること。勝手。それが愛。世間体。死ぬのも怖い。生きているのも怖い。人に言えないこと。人でも傷つくんです。身勝手。桜桃。人でもいいじゃないですか。生きてさえいれば。

ディア・ ドクター

2010-04-02 15:55:01 | 映画・舞台
西川美和さんはすごい。脚本、監督、原作まで一人でやる。 もちろん映画は一人で撮れませんが。キャッチコピーは「その嘘は、罪ですか。」。医師の立場では 罪ですね。癌告知に似ていますが近頃は原則告知です。私は上手に騙してほしいのですが……。でも主人公は偽医者。それはともかく美しい田園風景の中で描かれる人間描写が素晴らしい。展開も巧みです。人間の素晴らしさも、醜さもきっちりと描かれています。それが今はやりの感動ものと一線を画しているところだと私は思います。

愛を読むひと

2010-02-28 14:35:00 | 映画・舞台
せめぎあい
この映画には戦争が深く関与していると思います。ハンナの罪を軽くする可能性のある彼女の秘密をマイケルが言わないのはハンナの犯した罪を許せないからだと思います。パッシングの嵐を受けるハンナを助けることは自分の保身かもしれませんが。「彼女の名誉のためだ」と言いますが非常に含蓄のある科白です。複雑な葛藤が伝わってきます。面会に行って引き返すのも、手紙をぞんざいに扱うのも、返事を書かないのもその延長にあるといえます。罪と愛がせめぎあい、戦争の深い傷跡が垣間見られます。ただ、本を読むことでしかマイケルはハンナへの愛を表せないだと思います。最後は娘に伝えることにより、次世代へ伝えるメッセージとしてこの切ない物語は終わります。