創作日記&作品集

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シシリエンヌ

2005-11-06 15:19:23 | 読書
新潮10月号の嶽本野ばら「シシリエンヌ」がなぜか気になって、9月号の前編を読んでみようと思った。こういうところから始まっていたんだと納得しながら、何故か三島由紀夫の「仮面の告白」を思い出した。トーンが似ている気がしたからだ。本棚から、「三島由紀夫集」を埃を払いながら取り出し、数ページ読んで愕然とした。まるっきり違う。具体的な事象やストリーを描写するための言葉とまるっきり違う。今は小説というジャンルで、まるっきり違う小説を読んでいるのではないかと、不安になった。「シシリエンヌ」を非難しているのではない。結構よい作品だと思う。ただ文体が抜け落ちているのだ。正直、抜け落ちてしまった小説を読んで、「文体」とは何かがおぼろげながら分かった。