創作日記&作品集

作品集は左のブックマークから入って下さい。日記には小説、俳句、映画、舞台、読書、など…。そして、枕草子。

物語のかけら 最終章 6

2007-05-01 12:22:18 | 創作日記
私の旅はそろそろ終わるようです。私は町に残ることにしました。人々は今朝出発していきました。アーシアも一緒に。あなたとアーシアはきっと出会う。それが運命。それから、二人の旅が始まる。


                                       「物語のかけら」完
作者より
いつか全編を書き下ろしたいと思います。写真を多く入れて、ネットで読める楽しい本を目指します。読んでいただいた方にお礼を申し上げます。次の連載は「新・銀河鉄道の夜」を予定しています。

物語のかけら 最終章 5

2007-05-01 12:20:54 | 創作日記
「旅に出て、行方不明になってから3カ月ですか。何か連絡はありましたか?」
「何も」
優は首を振った。
Tさんは優がいれたコーヒーを一口飲んだ。
「なつかしい味だ。先生の味だ」
優はテーブルから離れ、窓際に立った。
「僕は先生の教え子なんですよ。小学校の5年生の時のね」
Tさんはコーヒーカップを持ったまま、優のそばにきた。
二人は夕暮れの街を見ていた。残暑は厳しいが、夕方になると少し秋の気配がした。封筒の中に、この手紙の持ち主にすべてを渡すと書いてあった。「不動産がほとんどですが。売りますか?」Tさんの言葉に優は首を振った。「とても」と優は言った。「とても」Tさんがオウム返しに言った。「とても」もう一度優が言った。
優「旅に出ます」
T「旅に」
優「あの人を捜しに。そこで、誰かに出会うと思う」
T「誰かにですか」