創作日記&作品集

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源氏物語・大塚ひかり著 四十九の巻 宿木

2010-03-04 15:05:34 | 読書
巻の最後に最後の女主人公の浮舟の登場です。「走って現れる紫の上、歌いながら現れる朧月夜、別世界から橋を渡ってくる浮舟」と、大塚さんの素晴らしい解説です。むきだしの腕を見せる浮舟の妖艶さ。それを食べる女房のとの対比で際だたせる。宇治十帖も間違いなく紫式部の手になるものだと確信しました。それともう一点。八の宮のエゴさが物語を急展開させます。隠し子を作り、そんなの関わりたくないと、俗聖に逃げてしまう勝手さ。二人の娘がいるので出家できないとうじうじ言う。作者は容赦なく描きます。