『影に対して』遠藤周作著 2021-03-16 14:32:19 | 小説 遠藤周作の未発表作品が発見されたとのニュースは知っていた。 若い頃夢中になった作家だが、いつの間にかその熱は冷めていた。 読み始めるとその頃の熱気が蘇ってくるようだった。 独白に「僕もそうだよ」と一人頷く。 作者が反発した父親の「平凡が一番いい」の言葉もよく分かる。 これは年寄りになると身に沁みる。 小説を読みながら、親鸞の言葉を思い出していた。 「善人なおもって往生を遂ぐ いわんや悪人をや」