ロッキングチェアに揺られて

再発乳がんとともに、心穏やかに潔く、精一杯生きる

2010.9.8 ハーセプチン109回目、ナベルビン1クール1回目

2010-09-08 20:27:58 | 治療日記
 台風が近づいているということで朝から本降りの雨。幸い電車は遅れず、病院にも時間通りに入ったが、びしょ濡れ。内科受付後、15分ほどで診察室に入る。
 先週末に頭痛で2日ほど痛み止めを飲んだこと、それ以外の肩甲骨や胸部の痛みは特に気にならない程度とご報告。前回の心エコーのレポートは「前回とほぼ変わりなし。心機能の数字は変わらず」という結果だったそうだ。また、腫瘍マーカーは先週帰る時にもうお聞きですね、ということでごく若干の上昇。今日から治療スタートでいいですね、と最終確認。ナベルビンは白血球が下がる人は下がるので、来週は採血で白血球のみ確認して、下がっていなければ今後は1週目のみ確認する、とのこと。また下がってもタキソテールのようにグラン(G-CSF)の注射で白血球を上げることはしない。休薬週の3週目で下がっても次週までに上がるのを待つ。それでも下がっている場合には1回の量を減らして続けていく、とのことだ。
 「今月末美容院に行きたいのですが、パーマやカラーはよくないですか。(もしだめだとすると今後ずっと出来ないので・・・)」とお尋ねしたところ、ナベルビンは他の抗がん剤に比べて髪へのダメージは少ないが、22日の休薬の週に最終確認をして、カットだけにするかどうか決めたらどうですか、ということになった。

 そして処置室へ。今日は心電図をとりながら点滴をするので、ベッドかナースステーションに近い内側の点滴椅子で、とのことだったので、内側の点滴椅子でお願いする。針刺後、モニター装着。血圧測定も検温も指先の酸素量測定も点滴開始前、点滴中、点滴終了間近と3回にわたって計測した。血圧はだんだん下がり、体温はだんだん上昇。酸素量は変わらず。

 前回でハーセプチン投与は108回を数えた。
 奇しくも大晦日の除夜の鐘の数、人の煩悩の数と同じだ。煩悩の根源(人間の諸悪の根源)は貪欲(とんよく・「どんよく」ではない)・瞋恚(しんに・しんい)・愚痴(ぐち)の三つとされ、これをあわせて三毒と呼ぶそうだ。三毒の中でも特に愚痴、すなわち物事の正しい道理を知らないことが、最も根本的なものなのだという。煩悩は、我執(自己中心の考え、それにもとづく事物への執着)から生ずる。

 今日はハーセプチン109回目。これまでのさまざまな煩悩は捨てて、初心に戻って治療に臨む時なのだと思う。これからは愚痴を言わず、自己中心の色々な執着を捨て、ナベルビン上乗せ治療で心機一転、新たな患者人生をスタート、という気持ちで臨んでいこう。(と、自らに言い聞かせている。)

 先週、身長と体重を測定し直し、新しい体表面積で初の投与だ。ハーセプチンはいつものとおり1時間40分、その後グラニセトロンという制吐剤を35分、3本目ナベルビンと最後の生理食塩水は10分程度で全開で落とす、とのことだったが、結果としてナベルビンは30分、生食は20分かかり、3時間を超えてしまった。
 看護師さんいわく、ポートが詰まったりトラブルがあると心配なので、次回レントゲンやCTで確認してもらうようにする、とのこと。
 ポート留置手術の時には半永久的に使える、と安心していたのだが、2年も経たずに詰まって使えなくなる可能性がある、という説明は聞いていないし、死ぬまで使えるつもりでいたのにまた切開して取り出し、新たに留置するというのでは納得がいかない、と訴えた。そうはいうものの、本当に詰まったり何らかのトラブルがあれば諦めるしかないのは判っているのだが・・・。あのアンギオでの留置手術をもう一度、と思うとかなりブルーになる。(結局愚痴を言っている自分が情けない。)

 今日は2冊読んだ。
 1冊目は本田良一さんの「ルポ 生活保護 貧困をなくす新たな取り組み」(中公新書)。「もうひとつの貧困大国 その現状と未来 現在、生活保護受給者は全国平均で80人に一人。雇用、教育、年金制度など社会の様々な矛盾が貧困の連鎖を生み、厳しさを増す地方財政がその困難な生活に拍車をかける。自立プログラム『先進地』釧路など数多くの例を引きながら、本来の自立とは何かを問い、貧困をなくすために何が必要かを探る。」という裏表紙。貧困の連鎖を断つために何ができるのか、そもそも私は福祉行政に携わりたくて公務員になったのだった、と今更のように思い出した。
 2冊目は門田隆将さんの「なぜ君は絶望と闘えたのか 本村洋の3300日」(新潮文庫)。光市母子殺人事件―事件はまだ終わっていない、という帯。9年に及ぶ綿密な取材が明らかにする一人の青年の苦闘の軌跡、と裏表紙にあるとおり、3300日を被害者とともに歩んだ渾身の記録だった。途中各種の測定がうっとうしいと感じるほどのめりこんで読んだ。(ダメ患者である。)愛する妻と娘を惨殺された被害者・本村洋さんが司法の壁に挑みながら、その顔つきをどんどん変えていったのが本当に胸掻き毟られる思いだった。洋さんと殺された弥生さん(奥さん)との交換日記『天国からのラブレター』を読んだのも記憶に新しい。

 特に処方された薬もなく、看護師さんに確認すると、発熱があれば電話連絡を、とのこと。タキソテールの時と比べてちょっと拍子抜けである。
 結局、会計を済ませるともう3時間近。プチ虹のサロンの皆さんに無事1回目の投与終了の報告メール。ついていないことに、外はバケツをひっくり返したような雨。それでも雨宿りなのか院内のレストランが混雑していたので、意を決して外に出て最寄り駅の途中のレストランで遅いランチに滑り込む。わずか5分ほど歩いただけで惨めなほどの濡れ鼠。上から下までびしょ濡れで靴の中までカポカポになった。
 自宅の最寄り駅に着いても相変わらずこの降りだったらタクシーで帰ろうと思ったが、幸い小止みになっていたので早足で帰宅した。なんとなく体がぽっぽとする感じだが、吐き気もなく変わりない。

 今日でようやく息子の前期試験も終了。すっかりリラックスして夕方からは一人で映画を観に行っている。
 結果は明日以降のお楽しみである。試験開始前の休み時間で即席に(一夜漬けにもならない「休み時間漬け」)やった科目もあるらしいのに、「今回は『アチャー』というほどものはない。」とは本人の弁。なんとも強気・・・。
 昨日は泊まりの出張だった夫も今日は普通の帰宅の予定だ。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする