ロッキングチェアに揺られて

再発乳がんとともに、心穏やかに潔く、精一杯生きる

2011.10.24  若者の夢は自分の夢-「天国からのエール」

2011-10-24 20:18:35 | 映画
 恥ずかしいのであまり公言していないが、実は以前からこの映画の主演男優のファン(!)なので、先日、ひとりでこの映画を観てきた。

 舞台は沖縄県、美ら海水族館で有名な本部町。高校卒業後、上京するも故郷に戻って家族でお弁当屋さんを営みながら、1998年に、音楽の夢を追う高校生たちのために私財を投じて無料の音楽スタジオ「あじさい音楽村」を設立し、2009年11月に再発腎臓がんのため42歳で亡くなった故・仲宗根陽(なかそねひかる)さんの実話を基にした作品だ。
 2006年にNHKでドキュメンタリーが放送され、2010年にはノンフィクション「僕らの歌は弁当屋で生まれた・YELL」として書籍も発刊されたというが、私は、今回映画化されるまで全く知らなかった。

 実際に高校生の母になってみて早や半年。相変わらず我が家の息子が何かに打ち込む姿にさっぱりお目にかかれない。部活に応援団に、と熱い高校時代を送った母としては内心忸怩たる思いがある。こうしてロックバンドであろうとなんであろうと、とにかく一生懸命になっている青春真っ盛りの高校生の姿はやっぱりいいなぁ、と単純に素直にうるうるしてしまう。

 そして大人が真剣に向き合えば、どんな子だって必ず共鳴してくれるのだな、と当たり前のことに気付かされる。ちゃんと叱って、体当たりで真っ当なことを言い続ける。決して夢をあきらめてはいけないと、彼らの力を信じ続ける。ウザイと言われつつも、きっとその思いは届くのだろう。ろくに挨拶も出来ず、勉強はそっちのけだった高校生たちが、次第にきちんと挨拶をし、赤点をとらないために勉強をし、後輩の面倒をみ、日に日に相手の痛みを感じることが出来る存在に変わっていくのが眩しいほどだ。

 主人公は財産を投げ打ち、ひたすら彼らの夢-プロになりたい-を叶えようとする。どうしていいのかわからないままテープを持って売り込みに歩く。高校時代の喧嘩仲間にまで頭を下げて回る。相手に何とか首を縦に振らせようと、電柱に登って蝉のマネまでしてしまうのには、一瞬あっけにとられ吹き出した。
 そう、高校生たちの夢はいつしか主人公自身の夢と重なっていくのだ。というのも、主人公には高校時代の親友がミュージシャンを目指して上京し、夢を叶える直前にバイク事故で亡くなっていたという経験があることがわかる。

 臨終の場面に備えて3日間で7キロの減量をしたという主演男優はげっそりやつれ、ただでさえ大きな眼が落ちくぼんでぎょろぎょろして、例えてみれば「あしたのジョー」で限界まで減量してフラフラになった力石徹のようだった。

 青い海、リゾートアイランドの沖縄ではなく、当たり前のように日々の生活感溢れる沖縄、寂れた商店街など、さすがに現地ロケというリアリティに富んでいた。

 実話とはいっても映画としてのフィクションの部分もあったのだろうけれど、観た後、なんだかほっとして誰かに優しくしたくなる映画だったことは間違いない。

 さて、新しい週が始まった。今日は朝から小雨がぱらつき、一日中ぱっとしないお天気だった。風邪はまだ抜け切っていないので、咳も鼻水も残っている。こういう天気だと、どうも胸部の鈍痛がまたやってくる。ここのところ足や手が頻繁に攣るということ以外、割と調子が良かったのだが・・・。
 無理は禁物、明後日の治療日まで、早寝と行こう。

コメント (2)
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