これまた何度もご紹介している朝日新聞医療サイト・アピタルの連載から長尾和宏先生のコラムの最新号である。興味のある内容だったので、以下、転載させて頂く。
※ ※ ※(転載開始)
「町医者だから言いたい! 女性にもある男性ホルモン(男はつらいよ 医療編)」(2013年12月11日)
日常会話の中で普通に「男性ホルモン」とか「女性ホルモン」という言葉が使われています。
男性ホルモンの代表はテストステロン、女性ホルモンの代表はエストロゲンです。
ところで女性にテストステロンは無いか?と聞かれたら、答えはNOです。
反対に男性にエストロゲンも同じです。
実は、男性にも女性にもテストステロンもエストロゲンもありますが、その割合が違うのです。
若い女性のテストステロンの量は、男性の3分の1程度ですがなかには男性より値の高い女性もいるそうです。
男性のテストステロンの95%は睾丸の中にあります。
女性のテストステロンは副腎、脂肪、卵巣などで産生されます。
男性は加齢に従い、テストステロンは減少するだけですが、女性では閉経後に上昇するので逆転することになるのです。
実際、シルバー世代で測定すると、夫婦間でテストステロンの量が逆転しているケースも珍しくないそうです。
同じ男性でもテストステロンの量は年齢によって大きく変わり、同じ年齢でも、かなりの個人差があります。
私は、うつ傾向の中年男性が来院されたら必ず測ります。
実に、いろんなレベルの方がおられます。
テストステロンが多い人と聞けば、どこか野性的で時に喧嘩早くて野蛮な印象があるかもしれません。
私もそう思っていました。
しかし実際はその逆で、他者と共存してその中で自分を表現する「社会性」こそがテストステロンの作用だそうです。
一般社会には、いろんな人がいて気配りをしながら関係を構築し、仕事を前進させるのがテストステロンの働き。
また、災害時にボランティア活動をする人や弱者を助ける「利他的」行為も、まさに、テストステロンのなせるワザ。
一方、エストロゲンにも他人を思いやる作用があります。
テストステロンが、「社会のため」「不特定多数の利益のため」。
エストロゲンは、「我が子のため」「家族のため」、「愛する人のため」といった自分に近いものを対象になるそうです。
こんな話を聞いたら、自分のテストステロン値を知りたくなりますね。(続く)
(転載終了)※ ※ ※
それにしてもホルモンの働きは本当に不思議。人間の体はなんと神秘的に出来ているのだろう・・・と感心するばかりだ。
私のがんは女性ホルモンの刺激によって増殖する「ホルモン受容体陽性乳がん」(エストロゲンを餌にして増殖する)だから、既に9年近くに渡り強制的に女性ホルモンのエストロゲン(プロゲステロンも)の産生を止めている。うーん、そうすると我が子や夫を思いやる作用はどこかへ行ってしまったの・・・、とちょっと切ない感じだ。
かといって、男性ホルモン・テストステロンが持つという“気配りをしながら関係を構築し、仕事を前進させるという社会性”がなくなってしまっては、とても困る。女性として、よりも社会人として、である。
同じように、前立腺がん等は男性ホルモンの影響を受けるもので、治療法として男性ホルモンの分泌を抑制する女性ホルモン薬を投与する、と聞く。体に丸みを帯びたり乳房が膨らんだり、という副作用があるようだが、それはそれでどうなのだろう。
がん細胞の増殖を抑えるために強制的に化学閉経させられ、女性ホルモン受容体に手錠をかけている私は、自然に任せて閉経した時(実際この病気にならず、ごく普通に更年期を迎えていたら果たしてどうだったのかはわからない。思えば、実家の母は、当時、高校生だった私から見ても更年期がかなり辛そうで、涙もろく情緒不安定で寝込んだり、と大変だった。が、乗り越えた時にはそれこそ憑き物が落ちたように元気になった。)よりも男性ホルモンが多くなっているのかしら、まあ社会性がアップしているということなら有難いことだけれど、・・・と微妙に考え込んでしまう。
もちろん個人差はあるというけれど、目に見えないものだから確認すべくもなく、何とも言いようがない。
いずれにせよ、何も外部からの力を加えずして自然のホルモンバランスにだけ任せることが出来れば、病気にならないのか、といえばそうでもないらしい。
人間の体は不思議だけれど、ことホルモンの働きは本当に不思議だと思う。ごくごく微量であるのに、一度バランスを崩すとなかなか元に戻せないような気がするのは私の気のせいだろうか。
(続く)とあるので次回のコラムも楽しみだ。
今週もあと1日。昨日は都心会議でほぼ一日が潰れ、いつものことながら体力消耗。会議の開始時間が遅くなったので前泊せずに済んでいるのが有難い。冷え込みも厳しく昨日からロングのダウンコートに登場してもらった。
今週末ももろもろの用事―学校の三者面談や大きなお楽しみ-が控えている。体調を整えて乗り切らなくては。
※ ※ ※(転載開始)
「町医者だから言いたい! 女性にもある男性ホルモン(男はつらいよ 医療編)」(2013年12月11日)
日常会話の中で普通に「男性ホルモン」とか「女性ホルモン」という言葉が使われています。
男性ホルモンの代表はテストステロン、女性ホルモンの代表はエストロゲンです。
ところで女性にテストステロンは無いか?と聞かれたら、答えはNOです。
反対に男性にエストロゲンも同じです。
実は、男性にも女性にもテストステロンもエストロゲンもありますが、その割合が違うのです。
若い女性のテストステロンの量は、男性の3分の1程度ですがなかには男性より値の高い女性もいるそうです。
男性のテストステロンの95%は睾丸の中にあります。
女性のテストステロンは副腎、脂肪、卵巣などで産生されます。
男性は加齢に従い、テストステロンは減少するだけですが、女性では閉経後に上昇するので逆転することになるのです。
実際、シルバー世代で測定すると、夫婦間でテストステロンの量が逆転しているケースも珍しくないそうです。
同じ男性でもテストステロンの量は年齢によって大きく変わり、同じ年齢でも、かなりの個人差があります。
私は、うつ傾向の中年男性が来院されたら必ず測ります。
実に、いろんなレベルの方がおられます。
テストステロンが多い人と聞けば、どこか野性的で時に喧嘩早くて野蛮な印象があるかもしれません。
私もそう思っていました。
しかし実際はその逆で、他者と共存してその中で自分を表現する「社会性」こそがテストステロンの作用だそうです。
一般社会には、いろんな人がいて気配りをしながら関係を構築し、仕事を前進させるのがテストステロンの働き。
また、災害時にボランティア活動をする人や弱者を助ける「利他的」行為も、まさに、テストステロンのなせるワザ。
一方、エストロゲンにも他人を思いやる作用があります。
テストステロンが、「社会のため」「不特定多数の利益のため」。
エストロゲンは、「我が子のため」「家族のため」、「愛する人のため」といった自分に近いものを対象になるそうです。
こんな話を聞いたら、自分のテストステロン値を知りたくなりますね。(続く)
(転載終了)※ ※ ※
それにしてもホルモンの働きは本当に不思議。人間の体はなんと神秘的に出来ているのだろう・・・と感心するばかりだ。
私のがんは女性ホルモンの刺激によって増殖する「ホルモン受容体陽性乳がん」(エストロゲンを餌にして増殖する)だから、既に9年近くに渡り強制的に女性ホルモンのエストロゲン(プロゲステロンも)の産生を止めている。うーん、そうすると我が子や夫を思いやる作用はどこかへ行ってしまったの・・・、とちょっと切ない感じだ。
かといって、男性ホルモン・テストステロンが持つという“気配りをしながら関係を構築し、仕事を前進させるという社会性”がなくなってしまっては、とても困る。女性として、よりも社会人として、である。
同じように、前立腺がん等は男性ホルモンの影響を受けるもので、治療法として男性ホルモンの分泌を抑制する女性ホルモン薬を投与する、と聞く。体に丸みを帯びたり乳房が膨らんだり、という副作用があるようだが、それはそれでどうなのだろう。
がん細胞の増殖を抑えるために強制的に化学閉経させられ、女性ホルモン受容体に手錠をかけている私は、自然に任せて閉経した時(実際この病気にならず、ごく普通に更年期を迎えていたら果たしてどうだったのかはわからない。思えば、実家の母は、当時、高校生だった私から見ても更年期がかなり辛そうで、涙もろく情緒不安定で寝込んだり、と大変だった。が、乗り越えた時にはそれこそ憑き物が落ちたように元気になった。)よりも男性ホルモンが多くなっているのかしら、まあ社会性がアップしているということなら有難いことだけれど、・・・と微妙に考え込んでしまう。
もちろん個人差はあるというけれど、目に見えないものだから確認すべくもなく、何とも言いようがない。
いずれにせよ、何も外部からの力を加えずして自然のホルモンバランスにだけ任せることが出来れば、病気にならないのか、といえばそうでもないらしい。
人間の体は不思議だけれど、ことホルモンの働きは本当に不思議だと思う。ごくごく微量であるのに、一度バランスを崩すとなかなか元に戻せないような気がするのは私の気のせいだろうか。
(続く)とあるので次回のコラムも楽しみだ。
今週もあと1日。昨日は都心会議でほぼ一日が潰れ、いつものことながら体力消耗。会議の開始時間が遅くなったので前泊せずに済んでいるのが有難い。冷え込みも厳しく昨日からロングのダウンコートに登場してもらった。
今週末ももろもろの用事―学校の三者面談や大きなお楽しみ-が控えている。体調を整えて乗り切らなくては。