ようやくの土曜日。あいにく朝から雨模様だ。けれど今日は大事な予定がある。少しだけ寝坊をしてベッドで朝の連続テレビ小説を見た後、雨にもめげず自宅を後にした。それは酷い降りで、最寄り駅に到着するまでに既に全身濡れ鼠となった。
2008年から2011年まで、再発以来4年連続で参加してきたのだが、それ以降は日程が合わずに参加を見送ってきた「かながわ乳がん市民フォーラム」。
今回のパネルディスカッションは、私の主治医と以前取材でお世話になった記者さんが司会をされる、ということをごく最近HPで知った。手帳を見れば特に動かせない日程が入っているわけでもない。これはもう行くしかないではないか!と、早速参加の申し込みをした。
5年ぶり5回目の参加となる第15回のテーマは『高めよう患者力!~情報に流されないために~』である。
患者歴11年半の私にとって、このトピックはとても興味のある分野だ。以前「賢い患者になりたい」という記事を書いたのだが、患者力というのは賢い患者になる智慧の力ということではないか、とも思う。
朝日新聞の医療サイト・アピタルで「これって効きますか?」の連載を持っておられる大野 智先生が、今回、パネリストとして参加される。
その大野先生が、アピタル最新号で患者力について触れておられ、“ヨガなどの補完代替療法に関する情報の見極め方や向き合い方についても紹介する予定です。”と書いておられたので、今の私にとって欠かすことの出来ないお話だ、とワクワクして会場に向かった。
以前参加した時は、みなとみらい地区の1000人規模の大ホールだったが、昨年からは500人規模の、駅にほど近いホールに会場が変わっている。舞台との臨場感ありフロアとの一体感あり、このくらいの大きさはとても良いと思う。今日は450人の方が参加ということで、ほぼ満席。参加者たちの学ぼうという熱気、主催者側の伝えようという熱い心が伝わってくる。
内容は従来どおり開会挨拶の後、第一部が教育講演。
まずは『乳がん治療の最新トピック』というテーマで、ここで改めてご紹介するまでもないあの勝俣範之先生が登壇された。
自己紹介のスライドから始まってコンパクトに20分間、治療のポイントが紹介された。初めて聞く制吐剤もあり、化学療法の進歩を実感する。Q&Aも実に的を得たもの。腫瘍内科医は(Blind runnerの)がん患者さんと一緒に闘っていく伴走者です、という最後のスライドに心を強くする。
続いて、『正確な情報の見分け方~補完代替療法は効果あるの?~』 を大野 智先生が。情報を科学的に見極めるクイズから始まったが、資料袋の中に入っていた表がピンク、裏がブルーの団扇が優れもの。参加者がクイズに答えるためのグッズを兼ねているのだ。エビデンスのランキングからスタートして、ランダム化比較試験等、普段コラムで拝読しているお話が、クイズと連動しながら実に分かりやすく展開されていった。医療の不確実性とエビデンスがないということはイコールではなく似て非なるもの、ということにとても納得する。
補完代替療法では、これらに関する正確な情報(臨床試験の結果)の入手方法として厚労省の「統合医療」情報発信サイトが紹介された。その利用マニュアル冊子も配布して頂き、ラッキー。情報の見極め方10か条がとても分かりやすく掲載されている。ヨガが倦怠感や睡眠障害を軽減するというエビデンスはあるが、やってはいけない時があり、やってはいけない人もいるとのこと。いずれにせよこうした補完代替療法に関する情報にはあやふやなものが多いからこそ、情報の取捨選択、知恵(情報リテラシー)が必要ということでお話を結ばれた。
前半ラストは来場者にとっては一番気になる『体験談』。Hさんは4年半前に温存手術をされ、先日左鎖骨に転移が見つかったとおっしゃる。自分は患者だとは思っていない、がんという闘いに絶対に勝つということだけを考えている、と。がん細胞も自分の細胞なわけだし、ずっとファイティングポーズを取り続けるのはしんどいので出来るだけ長く共存しようと思っている私からすれば、とても真似のできないアグレッシヴなお話をされた。
インターバルに席を立ってロビーに行くとちょうど大野先生とバッタリ。図々しくも思い切って「いつもコラム拝読しています。今日はいいお話をありがとうございました。」とご挨拶をしてしまった。
再び席に戻る前に今度は勝俣先生の後ろ姿が。もうこんな機会は二度とないかも!とこれまた図々しくお呼び止めし、「再発8年半ですが、いつも先生のコラムに本当に励まされています。」とお礼のご挨拶。先生は白い手袋をしていた私に「手はどうされましたか。」と気遣ってくださる。もうすっかり感激して舞い上がってしまった。大満足して席に戻る。
後半の第二部はパネルディスカッション。このテーマこそ今回の「高めよう 患者力!~ 情報に流されないために~」である。
パネリストには勝俣・大野両先生の他、県立がんセンターのがん専門薬剤師さん、患者支援センターのがん認定看護師さんに加え、体験発表をされたHさんともうお一人の体験者Oさんが加わった。
私も協力させて頂いた事前アンケートには、今回188名が回答を寄せたとのこと。司会の有岡先生がその結果を的確にまとめ、パネリストに発言を求めていく。ここでも参加者が手にした団扇が活躍。治療を決めるにあたり主治医の話以外の情報を参考にしたことがある、と答えた方が3分の2、代替療法を行っている、または行ったことがある人のうちサプリや食品など口から入れるものを行っている人が3分の2、2割はそれ以外の療法を受けたことがあるという結果だった。
後半ではもうおひとりの司会の三輪さんがプロポリスやフコイダン、アガリクスといったものについて患者の気持ちも踏まえて質問され、最後のまとめとして、パネリスト各氏から患者力についてそれぞれの考えを引き出された。
閉会の辞が述べられ、あっという間に3時間が経過。これまでは内容が盛り沢山過ぎて最後は駆け足、消化不良のまま終わった感じがあったが、今日のタイムキーピングは素晴らしかった。
このところ勉強会や講演会にはすっかり足が遠のいていて、他のことに時間を費やしていた私だが、やはりたまには勉強もしないとな、とちょっと反省。自らの患者力は進化すべきもの。常にブラッシュアップしておかないといけないと改めて思った。
いつもコラムを拝読している先生方からも良い刺激を受けて、メモを取りながら心地よく疲れた。外に出ると青空なのに天気雨。ちょっと名残惜しく大観覧車や帆船を後にした。
JRの乗換駅まで迎えに来てくれた夫と駅ビルで買い物と食事をし、素敵な1日が終わった。
2008年から2011年まで、再発以来4年連続で参加してきたのだが、それ以降は日程が合わずに参加を見送ってきた「かながわ乳がん市民フォーラム」。
今回のパネルディスカッションは、私の主治医と以前取材でお世話になった記者さんが司会をされる、ということをごく最近HPで知った。手帳を見れば特に動かせない日程が入っているわけでもない。これはもう行くしかないではないか!と、早速参加の申し込みをした。
5年ぶり5回目の参加となる第15回のテーマは『高めよう患者力!~情報に流されないために~』である。
患者歴11年半の私にとって、このトピックはとても興味のある分野だ。以前「賢い患者になりたい」という記事を書いたのだが、患者力というのは賢い患者になる智慧の力ということではないか、とも思う。
朝日新聞の医療サイト・アピタルで「これって効きますか?」の連載を持っておられる大野 智先生が、今回、パネリストとして参加される。
その大野先生が、アピタル最新号で患者力について触れておられ、“ヨガなどの補完代替療法に関する情報の見極め方や向き合い方についても紹介する予定です。”と書いておられたので、今の私にとって欠かすことの出来ないお話だ、とワクワクして会場に向かった。
以前参加した時は、みなとみらい地区の1000人規模の大ホールだったが、昨年からは500人規模の、駅にほど近いホールに会場が変わっている。舞台との臨場感ありフロアとの一体感あり、このくらいの大きさはとても良いと思う。今日は450人の方が参加ということで、ほぼ満席。参加者たちの学ぼうという熱気、主催者側の伝えようという熱い心が伝わってくる。
内容は従来どおり開会挨拶の後、第一部が教育講演。
まずは『乳がん治療の最新トピック』というテーマで、ここで改めてご紹介するまでもないあの勝俣範之先生が登壇された。
自己紹介のスライドから始まってコンパクトに20分間、治療のポイントが紹介された。初めて聞く制吐剤もあり、化学療法の進歩を実感する。Q&Aも実に的を得たもの。腫瘍内科医は(Blind runnerの)がん患者さんと一緒に闘っていく伴走者です、という最後のスライドに心を強くする。
続いて、『正確な情報の見分け方~補完代替療法は効果あるの?~』 を大野 智先生が。情報を科学的に見極めるクイズから始まったが、資料袋の中に入っていた表がピンク、裏がブルーの団扇が優れもの。参加者がクイズに答えるためのグッズを兼ねているのだ。エビデンスのランキングからスタートして、ランダム化比較試験等、普段コラムで拝読しているお話が、クイズと連動しながら実に分かりやすく展開されていった。医療の不確実性とエビデンスがないということはイコールではなく似て非なるもの、ということにとても納得する。
補完代替療法では、これらに関する正確な情報(臨床試験の結果)の入手方法として厚労省の「統合医療」情報発信サイトが紹介された。その利用マニュアル冊子も配布して頂き、ラッキー。情報の見極め方10か条がとても分かりやすく掲載されている。ヨガが倦怠感や睡眠障害を軽減するというエビデンスはあるが、やってはいけない時があり、やってはいけない人もいるとのこと。いずれにせよこうした補完代替療法に関する情報にはあやふやなものが多いからこそ、情報の取捨選択、知恵(情報リテラシー)が必要ということでお話を結ばれた。
前半ラストは来場者にとっては一番気になる『体験談』。Hさんは4年半前に温存手術をされ、先日左鎖骨に転移が見つかったとおっしゃる。自分は患者だとは思っていない、がんという闘いに絶対に勝つということだけを考えている、と。がん細胞も自分の細胞なわけだし、ずっとファイティングポーズを取り続けるのはしんどいので出来るだけ長く共存しようと思っている私からすれば、とても真似のできないアグレッシヴなお話をされた。
インターバルに席を立ってロビーに行くとちょうど大野先生とバッタリ。図々しくも思い切って「いつもコラム拝読しています。今日はいいお話をありがとうございました。」とご挨拶をしてしまった。
再び席に戻る前に今度は勝俣先生の後ろ姿が。もうこんな機会は二度とないかも!とこれまた図々しくお呼び止めし、「再発8年半ですが、いつも先生のコラムに本当に励まされています。」とお礼のご挨拶。先生は白い手袋をしていた私に「手はどうされましたか。」と気遣ってくださる。もうすっかり感激して舞い上がってしまった。大満足して席に戻る。
後半の第二部はパネルディスカッション。このテーマこそ今回の「高めよう 患者力!~ 情報に流されないために~」である。
パネリストには勝俣・大野両先生の他、県立がんセンターのがん専門薬剤師さん、患者支援センターのがん認定看護師さんに加え、体験発表をされたHさんともうお一人の体験者Oさんが加わった。
私も協力させて頂いた事前アンケートには、今回188名が回答を寄せたとのこと。司会の有岡先生がその結果を的確にまとめ、パネリストに発言を求めていく。ここでも参加者が手にした団扇が活躍。治療を決めるにあたり主治医の話以外の情報を参考にしたことがある、と答えた方が3分の2、代替療法を行っている、または行ったことがある人のうちサプリや食品など口から入れるものを行っている人が3分の2、2割はそれ以外の療法を受けたことがあるという結果だった。
後半ではもうおひとりの司会の三輪さんがプロポリスやフコイダン、アガリクスといったものについて患者の気持ちも踏まえて質問され、最後のまとめとして、パネリスト各氏から患者力についてそれぞれの考えを引き出された。
閉会の辞が述べられ、あっという間に3時間が経過。これまでは内容が盛り沢山過ぎて最後は駆け足、消化不良のまま終わった感じがあったが、今日のタイムキーピングは素晴らしかった。
このところ勉強会や講演会にはすっかり足が遠のいていて、他のことに時間を費やしていた私だが、やはりたまには勉強もしないとな、とちょっと反省。自らの患者力は進化すべきもの。常にブラッシュアップしておかないといけないと改めて思った。
いつもコラムを拝読している先生方からも良い刺激を受けて、メモを取りながら心地よく疲れた。外に出ると青空なのに天気雨。ちょっと名残惜しく大観覧車や帆船を後にした。
JRの乗換駅まで迎えに来てくれた夫と駅ビルで買い物と食事をし、素敵な1日が終わった。