散日拾遺

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うなりの結び目

2020-09-17 11:07:21 | 日記
2020年9月17日(木)
 「転気」とはわれながら面白い造語だが、何だか落ち着かないと思ったら…
 「転失気(てんしき)」という言葉があるのだった。古典落語の題目にもなっている。一字違いか、やれやれ。
https://www.bing.com/videos/search?q=%e8%bb%a2%e5%a4%b1%e6%b0%97&docid=608027108539105314&mid=D3223857C441AEDA7CDFD3223857C441AEDA7CDF&view=detail&FORM=VIRE

 気を取り直してこの季節を顧みるに、もう一つの標識が大相撲九月場所(いわゆる秋場所)である。初日はまだまだ蒸し暑いのに、千秋楽は肌寒い。15日間にはっきり季節が進むことを体感させる貴重な年中行事であり、その間に風景が一変することについて、1976年頃の鮮やかな思い出がある。
 さて、この「転気」プロセスの中核をなすのが秋分の日。夏至と冬至の間で振動・周回する太陽の運動のヘソみたいなものか、ヘソとは違う、もっと良いたとえはないかと考え、思い当たったのが下図である。いつも当ブログを追ってくれている小豆島の室崎さん、全盲のあなたにこれをどう伝えたものか、悩みながらともかく掲載しますね。

 まず単振動 single vibration:


 数学頭はもちあわせないが、数学に含まれる美しさについてはいくらかの感受性があるものと自負する。その自分に強く訴える美しさの一つが単振動 である。その形が素朴に美しく、単位円の周回が投影操作によって波動に変換され、無限の一形式が他の形式に姿を変える不可思議さに魅了される。

 ついで「うなり」beat:

 こちらは単振動を重ね合わせるところに生じるもので、この形は後に脳波検査において見慣れたものになった。安静閉眼覚醒という条件下で後頭部優位に出現する基礎律動、いわゆる α 律動がこの姿をしている。無数の脳細胞の発信する電気信号が、ランダムな加算の結果として「うなり」を生じることが何とも不思議であった。楽器のチューニングなどに関連づければ非常に面白い話になるが、その件はインターネット上に多々見られる諸家の優れた解説に譲る。
 さて、ここからが物理音痴ならではの飛躍になるのだが、このグラフを見ると決まって、季節の変動というものをこのグラフに重ねてみたい気持ちになるのである。とりわけ「うなり」の振幅が大きくなり小さくなって一瞬ゼロになる、その結び目のような点には呼び名があるものと思われる(たとえば node とか)が、調べがつかない。何しろこのポイントが春分であり秋分であるような、そういう変換ができないものだろうか。
 気象パターンが激変し、異常気象が平年標準になりかわりつつある昨今であっても、九月中旬の転換点は昔に変わらず恒常的に保たれているところに安心を見出している。春秋の equinox は正気を保つための大事な結節点である。その日に生まれたことが少なからず嬉しく、いずれ生涯を終えるのもおおかたその時期ではあるまいかと、期待をこめて思い描いている。

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