散日拾遺

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クモはコミ、蝶はナビ

2020-09-27 09:41:00 | 日記
2020年9月10日(木)
 以前、「ヘビ」という言葉について素人談義を書いてみたことがある。
HxByは何の徴? https://blog.goo.ne.jp/ishimarium/e/3e88f2dbff1895da02cbb9117675a206

 「H_B_」は南方系の言葉で、毒性の強いヘビ一般を表わすのではないかと当て推量した。従ってまた、半島ではヘビを表わす言葉はまた別であるに違いないと考えてみた。
 実際には、
 韓国・朝鮮語で、ヘビを 뱀 (ペム)と呼ぶらしい。案外似ているではないか。

 人が怖がるものと言えば、ヘビでなければクモということになるが、こちらは 거미(コミ)という。K_M_ という子音がぴったり重なっている。関連がないとは思えない。

 蝶はどうか?
 これが残念なところで、韓国・朝鮮語には 나비(ナビ)という固有語があり、今でも使われている。然るに本朝では、ハエ・ハチ・バッタ・トンボ・セミなど昆虫を表わす固有語の豊かなコレクションがあるのに、蝶・蛾に関してはナゼか漢語に置き換わってしまった。
 古くは「かはひらこ」「ひひる」「ひむし」といった固有語があり、「てこな」「てんがらこ」「かはびらこ」などとも言ったとインターネットの安直情報。
 「てこな」は「真間の手児奈」の「てこな」だろうか、可憐な美少女の儚い運命に似つかわしい名であるけれど、万葉集には蝶を詠んだ歌が一つもないという指摘が載っている。「てこな」という言葉そのものが、少女とともに消えてしまったとでもいうことか。
 蝶という生き物にはトンボなどと違って、どこか舶来もののバタ臭さがある ー ようにナゼか感じてしまう。同じ感性が古代人をして、舶来語である「蝶」を選ばせたのだとしたらおもしろいことだ。
 
Ω