2017年6月21日(水)
コメント: 口噛み酒 by 被爆二世さん
映画「君の名は」で知ったのですが、口噛み酒は、日本にも奉納するお酒としてあったようですね。お米を噛んで、それを吐き出して溜めたものを放置して造るお酒で、「美人酒」とも呼ばれるそうです。
私は、子育て中、3人目ともなると、離乳食を作るのも省いて、自分の口で噛んであげていたのを思い出しました。虫歯菌やヘルペス菌が移るだの、批判されそうですね。でも、市販の離乳食より赤ちゃんは好んで食べてくれた様に感じました。
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『君の名は』にそんな場面がありましたか、大したものですね。そうなんです。「口噛み」は酒造の原型だと思いますが、神事の中にそれが残ったようですね。「美人酒」の名から分かるように噛むのは主として若い女性の役割で、年齢的に若いだけでなく純潔が条件とされたこと、御想像の通りです(・・・と聞いています。)
口噛み離乳食の場合、雑菌やウィルスの感染機会を増やすリスクは否めないと思いますが、だから愚かしいとも思えない ~ マーラーでしたか、発達心理学の伝える例の話を思い出すのです。新生児を感染から守るため、衛生の整った人工的な環境に置いたところ、かえって健康状態が悪化した、少々のリスクには目をつぶって母親の傍らに置いたほうが、発育は良好であったという有名な話です。虫歯菌やヘルペス・ウィルスに関して言えば、どんなに注意してもいずれ感染することは不可避ですしね。
飼ったことがある人は御存じの通り、ハトの場合は親鳥の食べた餌が素嚢と呼ばれる喉の奥の袋にミルク状態で蓄えられ、雛が親に似ぬ長い嘴を親の口から突っ込んで吸うのです。親は目を白黒させて為すに任せており、可笑しみと涙ぐましさがこもごも、ちょっとした自然の名場面です。親が体内に準備したものを子に与えるという構図は似ているでしょう。
そうか、「噛んで含める」という表現はここに由来するのですね。
またひとつ教わりました。次の日曜日の小講演でさっそく使わせていただきます!
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