東京電力管内で明日6時20分からエリアと時間を区切って計画的に停電させる輪番停電を行うことになりました。これは東京エリアで必要な4100万kWに対し、1000万kwが不足しているためとのことです。
現状について簡単に解説します。
[電力会社間の融通]
電力会社間の電力融通は限界があります。日本の商用電源に50Hzと60Hzとがあることが大きな理由です。50Hzで供給しているのが東京電力・東北電力・北海道電力で、60Hzで供給しているのが関西電力・中部電力・北陸電力・中国電力・四国電力・九州電力・沖縄電力です。
連系の送電線が整備されていますので、同じ周波数同士であれば(沖縄を除き)簡単に融通ができます。一方、50Hzと60Hz間では周波数変換(交流を一旦直流変換し、さらに別周波数の交流に変換する)が必要で、変換所は静岡県佐久間など3カ所のみです。その容量は東京電力のサイトによると合計で120万kWしかありません。不足する1000万kWの12%分にしかなりません。
また、同じ50Hzであっても北海道と東北の間は津軽海峡を海底ケーブルで結ぶために海峡部を直流で送電しています。上記の周波数変換同様の設備で、その制約により60万kWの容量しかありません。被害の大きい東北電力に融通能力はなく、他の電力会社からの融通は合計180万kWが限界です。
60Hz地区各社の発送電能力に異常はないものの、上記の制約により120万kWしか融通することができません(各社で十分供給可能な数値です)。そのため関西電力の公式サイトにある通り、60Hz地区では特別な節電のお願いは行っていません(もちろん自主的な節電を妨げるものではありません)。東京電力・東北電力のエリア内で節電をするしか方法がないのが現状です。
[他の発電所から供給できるのか?]
このほか電源開発という発送電専門会社があり、只見川の水力発電などで電力を供給していますが、ここも恐らくフル発電を行っていると考えられます。このほか製鉄所などの自家用発電所が企業向けに電力販売を行っています。これらについても供給要請が来ていると思いますが、その能力は限られ、不足する1000万kwを全て賄えません。
[交通機関への影響は?]
大量に電力を使う鉄道では、JR東日本には自前の発電設備があり、自家発電を優先して使うことになると思われます。私鉄や地下鉄については現時点で影響がはっきりしません。ご利用の会社のサイトか各社のお客様センター、もしくは最寄り駅で確認をお願いします。
空の航空管制は自家発電がありますので管制ができなくなることはなく、安全は保たれます。ただ、空港のチェックイン機などがどうなるかは不明です。ご利用の航空会社に問い合わせてください。
主な関係各社のサイトをご紹介します。情報が各所で錯綜していますので公式情報を確認して対応していただきますようお願いします。