Dutch Life 備忘録

オランダのミュージアム、コンサート、レストランなどについて記録するノート。日常的な雑記も…。

クラシックコンサート:Radio Filharmonisch Orkest、Nikolai Lugansky(ピアノ) 、Nationaal Jeugdkoor

2011-09-09 08:10:23 | Concert
芸術の秋、クラシックコンサートに行ってきました。場所は、Vredenburg。このコンサートが、新しいシーズンのオープニングコンサートで、会場は満員でした。
Radio Filharmonisch Orkest(オランダ放送フィルハーモニー管弦楽団)、ピアノがNikolai Lugansky(ニコライ・ルガンスキー)、Nationaal Jeugdkoor(オランダ国立若年合唱団<19歳から29歳までの女性>)のコラボレーションです。
演目は、
Debussy/Escher - Six épigraphes antiques
Ravel - Pianoconcert voor de linkerhand(左手のためのピアノ協奏曲)
Poulenc - Litanies à la vierge noire
Debussy - Nocturnes
でした。
感動したのが、ラベルの左手のためのピアノ協奏曲。この曲の存在は知っていたのですが、きちんと聞いたのは初めてでした。高名な哲学者ウィトゲンシュタインの兄、パウルはピアニストでしたが、第一次世界大戦中に負傷して右腕を切断してしまいました。ウィトゲンシュタイン家は非常に裕福でしたので、当時の作曲家に左手だけで演奏できる曲を依頼し、それに応えてラベルが作曲したのがこの曲です。
今回この曲を演奏したルガンスキーは、ロシア出身のピアニスト。現在39歳で、油がのった感じのとても正確で知的な演奏です。このピアニストを見るのは2回目。前回は、アムステルダムのコンセルトヘバウで、プロコイエフのピアノ協奏曲第2番を聞きました。好きなタイプのピアニストです。
金曜日にVredenburgで行なわれるコンサートは、8時15分開演ですが、7時半から無料の講演がついてきます。当日のコンサートの演目について、30分くらいで簡単な説明をしてくれるのです。私はいつもこの講演も聴くことにしています。また、かなり詳しいパンフレットももらえます。
この講演のために席についたら、舞台のすみに置かれたピアノを弾いている人がいました。調律している人かなと思ったのですが、すばらしい指裁きで素敵な音色。よく見るとルガンスキーでした。練習していたのですね。その時は、赤いシャツにジーンズ姿でした。
ドビュッシーのノクターン(夜想曲)は、第三部の「シレーヌ」で合唱団が歌います。歌うといっても歌詞はなく「アーア」という声で、声を楽器として使っています。シレーヌは、ギリシャ神話に出てくる海の魔物セイレーンですから、その惑わされるような幻想的な感じがよく声で表現されていて、またオーケストラとの音のバランスもよく、とてもよかったです。
指揮者は、Serge Baudo(セルジュ・ボド)。リヨン国立管弦楽団やプラハ交響楽団などの主席指揮者を務めた大御所で、84歳です。小柄ですが、指揮裁きが軽快かつ確実で、独特のリズムがあり、見ていて気持ちよかったです。若い頃には、ルイ・マルの映画の音楽の作曲などもしていたそうです。
体調は良好。血圧が低め。