卍の城物語

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無罪モラトリアム/椎名林檎

2011-02-08 01:01:47 | ロック
ロック100選。第25回。

99年作品。
椎名林檎のデビューアルバム。


椎名林檎は稀に見るカリスマミュージャンである。
音楽センスはもちろんだが、何より自己演出が巧みである。

そんな彼女のデビューアルバムだが、もちろん名盤である。
セカンドアルバムの「勝訴ストリップ」と甲乙付け難いところだが、やはりインパクトや先進性から取ると本作が上回るか。


1. 正しい街
文学性感じる詞を歌謡曲に乗せ、それをパンクに昇華させる見事な楽曲性とアレンジ。
激しく尚且つ綺麗なこの曲でアルバムは始まる。

2. 歌舞伎町の女王
リリースした当時は「渋谷系」といった軟弱な音楽が流行していたが、椎名林檎は自分の音楽ジャンルを「新宿系」といったのが思い出される。
ストーリー性のある独特の世界観とこれまた歌謡曲ベースのロックナンバーだ。

3. 丸の内サディスティック
この詞は完全にぶっ飛んでます!
これをシラフで歌う彼女は異常者か、確信犯か。

4. 幸福論(悦楽編)
シングル「幸福論」を純然たるパンクに変化させたバージョン。
面白いとは思うが、個人的にはシングルバージョンの方が圧倒的に好きである。
愛ある詞がなかなか泣かせるのである。

5. 茜さす 帰路照らされど…
これも純文学の様な詞世界。
バラード歌わせても天下一品のオリジナリティに感服。

6. シドと白昼夢
彼女の情熱的な愛がレッドソーンに振り切れた時の心象が表現されているようなそんな歌です。

7. 積木遊び
琴が奏でるCメロが面白い。

8. ここでキスして。
このアルバムで唯一まともな曲である。
この曲から椎名林檎は世間に評価され始めたわけである。
なんともキャッチーで素晴らしいメロディであることは間違いない。

9. 同じ夜
ギターとバイオリンでアコースティックにしっとりと歌い上げるが、それでもパンクたど思います。

10. 警告
素敵な失恋ソングと思いきや、ここまでパンクに仕上げますかね?

11. モルヒネ
最後にしてこれまた訳のわからん世界観ですが、なんか知らないけどこの曲聴くと胸が締め付けられるのはどういう心理状態なのかは自分でもわからん。


やはりこの作品は亀田誠治のプロデュース力が全面に発揮されているのが大きい。
もちろん椎名林檎の楽曲が問答無用に素晴らしいが、アレンジの幅の広さ、娯楽性、冒険心が椎名林檎とこれでもかとマッチしている。
今現在の東京事変としてバンドで一緒に活動しているのは揺るがない信頼感からきているのであろう。


次作の「勝訴ストリップ」ももちろん名盤である。
余談だが、Mステにナース服で登場した時は度肝を抜かれた。策士だなぁ。

三枚目の「加爾基 精液 栗ノ花」は全く持って好まない。
根強いファンには愛聴されているようだが。

そして休業を経て「東京事変」を組み、今に至る。


椎名林檎は現在「東京事変」のボーカリストである。
そんな事は誰でも知っている。
何が言いたいかというと、第一線で仕事しているのは「椎名林檎」ではなく「東京事変」だということだ。

私は東京事変をあまり好まない。
作詞作曲の多くは椎名林檎がしているし、ボーカルはもちろん椎名林檎である。
あくまで椎名林檎はバンドのボーカリストとして位置している。

かといって東京事変活動期を挟む1年半前にソロアルバムをリリースしているが、あまりに半端な作品に落胆したものである。


去年青森で東京事変のライヴがあったが行かなかった。
椎名林檎に思い入れがあっても東京事変には無いからだ。

東京事変が今のバンドと捉えている世代、そして椎名林檎の昔からのファンがライヴに訪れるのであろう。
椎名林檎を一時期の流行の一つと扱っていた輩はとにかく、自分と同じ理由でライヴを見送った人ははたしているのか?

ライヴに行った知人達の話を聞いても別段羨ましくなかった。
椎名林檎を好みの問題でリアルタイムで聴いていない友人と東京事変世代の10代の女子。
どちらもリアルタイムの椎名林檎の絶頂期を知らないわけで、自分のこのモヤモヤした気持ちは未だに発散できずにいる。

このわだかまりを取り除くには、椎名林檎のソロライヴを観ないと解消されないのであろうが、その予定は当分無いと安易に推測できるのが何より悲しい。


過去にバンドを組んで栄華を誇ったにも拘らず、ソロになった途端にヒットを飛ばせないでいるアーティストは山ほどいる。
椎名林檎はソロからバンドになった珍しいパターンであるが、ソロ初期の素晴らしい楽曲をまた作れるとは悲しいかな思えない。

現在活動中の東京事変のアルバムを全く聴かず、10年以上前のこの「無罪モラトリアム」と「勝訴ストリップ」を聴き続けているのが全ての答えではある。


オススメ度(ロック評価)・☆☆☆☆

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