Jun日記(さと さとみの世界)

趣味の日記&作品のブログ

またの日

2025-03-04 08:49:35 | 日記
 昔習った文章に野分の又の日というのがあったので、今日辺りはひいなの又の日と言ってもよいのだと思いますが、調べ直してみるとこれは枕草子ですね、源氏物語だとばかり思っていました。何かの文章が記憶の中で混じったのでしょう。関連して涙で枕が浮く心地ぞする、というような文章も思い出されるので、こちらは完璧に源氏物語、と、寝殿造が平安時代、古典、と連想させたのでしょう。
 雛祭りが過ぎたのに、何故又雛飾りの話になるのかというと、我が家の雛人形は3日を過ぎてもかなり長く飾られていたからです。或る年など、一月程長く有りました。もう4月の雛人形です。私自身は可愛い人形の事、毎日のように長く愛でる事が出来て、全く何も気にもしませんでした。
 が、或る年の3月、私は同級生の女の子達から聞こえて来た話の中で、3日の晩早々に雛人形を片付けた、内もそうだ、早くしないとね、そうよね、遅れると嫌よね、等、数人が口々に騒いでいるのを耳にしました。
 皆何をそんなに色めき立って騒ぎ合っているのかと、不思議に思った私は、何故早く雛人形を片付けたいのか、綺麗だし可愛いし、 1年に1度の事だから、長く飾って眺めたいでしょう。と尋ねると、話をしていた女の子達は皆一様にシンとして、愕然とした顔をした物です。その後、ヒソヒソ声と共にその子達に呆れ返られる中、漸く彼女達の中にいた一人の女の子が、雛人形の片付けが遅れると、その人形の持ち主の女の子の婚期も遅れるのよ、と、私に教えてくれました。皆早くお嫁に行きたいのよ、との事でした。
 これには話を聞いた私もビックリ!、本当なの!?、と愕然としました。ましてや毎年の雛人形の片付けの遅延を思うと、私の婚期が相当の晩年になると察しられ、私は相当なショックを受けました。これが私にとって、世間一般の雛祭りの又の日を知った瞬間という物でした。就中、雛祭り当日、晩にはもう片付けるのよと言った、極めて用意周到な子のいた事には、私は呆気に取られて大きな口をぽかんと開けた儘でいました。
 当然その日の晩、私の両親は真っ赤になって怒れる私の口から、散々抗議を受けた物でした。まぁ、婿取りでしたからね、というのが向こうの釈明では有りました。
 お前を見ていると、フワンフワンとしていて、直ぐにもこの家を出て行きそうだ。お前はこの家にいてもらわないと困る。⋯じゃあ何か、お前そんなに早くに嫁に行きたいのか、と遂には父に逆ギレされました。こうなると子供は何も親に言い返せないのでした。
 さて、この雛云々の謂れとしては、お雛様を早く片付ける→その雛の女の子も早くに片付く→早くに嫁に行ける、という事になるようです。他愛も無い話ですね、この話も他愛の無い話です。