20階の窓辺から

児童文学作家 加藤純子のblog
毎日更新。児童文学情報・日々の暮らし・超高層からの眺望などニュース満載。

いよいよです!

2009年04月20日 | Weblog
 今日はこれから、某新聞社の社会部の記者の方が、子どものためのお仕事物語シリーズ、『ネイルでおまかせ!』(そうえん社刊)と、『家庭教師りん子さんが行く!』(ポプラ社刊)などの取材にお見えになります。
(記事が掲載されましたら、またこちらで・・・)
 
 
 また、子どもの本・九条の会の一周年の集いも、いよいよ今週末です。
 たくさんの皆さまのお越しをお待ちしております。
 4月25日の土曜日は、渋谷の児童会館でお会いいたしましょう!
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『幽霊屋敷の文化史』(加藤耕一著 講談社現代新書)

2009年04月19日 | Weblog
 本日の朝日新聞朝刊に、息子の新刊の広告が出ていました。
『幽霊屋敷の文化史』(講談社現代新書)です。
 まずは、「はじめに」からの抜粋を書いてみます。

「この不思議な魅力に満ちた幽霊屋敷について知るのは、まずその外観やインテリアに濃密に漂う妖しげな雰囲気について理解しなければなるまい。そもそもディズニーランドという、明るく清潔な夢の国のなかで、ホーンテッド・マンションという幽霊屋敷は本質的に異質なものとはいえまいか。だが、それにもかかわらずホーンテッド・マンションはディズニーランドというおとぎの国のなかで、誰もが求める要素でもあるように思われるのである。それはなぜなのか。ここまで考えたとき、もはや、たんなるトリックの説明だけですますわけにはいかないことをおわかりいただけるだろう。・・・」

 大学の研究者である、息子の専門は建築史です。
 しかし私の知る限りにおいて彼は、小学生のころから膨大な本を読む子どもでした。
 それは小学校の図書館・司書の先生のおかげという側面も大きかったような気がしますが。
 とにかくその読書遍歴たるや、ミステリーからファンタジー、ありとあらゆる領域にひろがっていきました。
 小・中・高と授業中にはいつも、教科書の下に本を入れて読んでいたというのは彼の友人たちが語る有名なエピソードです。
 そして大学生になったころには古本屋さんで時間をつぶすのが習慣になっていました。そのころから彼の書棚にはお気に入りの本に紛れて『ユリイカ』や幻想文学や澁澤達彦の本など、この本にでてくる幻想文学が並び始めたのです。
 今回この『幽霊屋敷の文化史』を読んでいて思ったのは、彼が人生をともに歩く『専門」(建築史)の、ゴシックという視点は、子どもの頃からの読書遍歴の流れのなかに原点があったのだということを、あらためて感じさせてくれました。
 
 とにかくおもしろかったです。
 我が息子ながら、その文章の上手さに感心しました。
 日ごろ考えている、私感で、彼の特徴をひとことでいうなら、「独自の発見を見つけ出す力」といったところでしょうか。
 とにかく、博士論文でも、あるいは2004年に日本建築学会賞の奨励賞(新人賞)を受賞した「ラン大聖堂」の柱の発見にしても、すべて彼の観察から生まれた新しい発見でした。
 今回は、この発見がホーンテッド・マンションのトリックのあたりにいかんなく発揮されています。
 
 専門性を入れつつ、一般のひとでも読みやすいとてもおもしろい本です。
 ぜひお読みいただければと思います。
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今、子どもたちと共有できる「おもしろさ」とは?

2009年04月18日 | Weblog
 5月24日(日)に行われる、日本児童文学者協会総会附設研究会・公開シンポジウムの詳細が決まりました。
 雑誌やチラシよりひとあし早く、こちらでお知らせいたします。
 
「おもしろさ」とはなんでしょう?楽しいエンターテインメントだけではない、子どもたちを魅了する「おもしろさ」とは、いったいどんなものなのでしょう。また子ども読者が受け止める「おもしろさ」と、書き手が考える「おもしろさ」の関わりとは?
 今回は、改めて児童文学の「おもしろさ」をめぐって、考え合いたいと思います。

 パネラーは『小さなスズナ姫』シリーズや『菜の子先生がやってきた』などで子どもたちに人気の作家、富安陽子さん。
 『京のかざぐるま』など歴史小説の名手で、近年はYA『凛九郎』で新境地を開拓されている作家の吉橋通夫さん。
 『ティーン・パワーをよろしく』や『デルトラ・クエスト』シリーズなどで絶大な支持を得ているエミリー・ロッダの翻訳者である岡田好恵さん。
 3人の方々に、創作、翻訳を通して、いま子ども読者とどんなふうに「おもしろさ」を共有しようとされているかを語っていただきます。
 司会・聞き手は、作家の赤羽じゅんこさんと、評論家の濱崎桂子さんです。
 会員・会員外、どなたでもご参加できます。(参加費無料)
 多数のみなさまのご参加をお待ち申し上げております。

         
    ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

 今、子どもたちと共有できる「おもしろさ」とは? 
 日時  5月24日(日)午後1;30~4;30(1時開場)
 会場 日本教育会館 9階(地下鉄神保町または竹橋駅下車)
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神楽坂とフランス人

2009年04月17日 | Weblog
 今日はお昼から夜まで会議です。
 
 お昼からは、神楽坂の児文協事務局で5月に行われる総会・附設研究会の準備委員会。
 その前に、近くのイタリアンのお店でランチを。
 
 神楽坂には、おしゃれなお店が点在しています。
 フランス人が多いのも特徴です。
 その理由は、神楽坂には日仏学院があり、おまけに坂がたくさんあって・・・(袖摺坂<そですりざか>なんていう、粋なネーミングの坂もあるくらいです)。
 その光景がパリのモンマルトルに似ているから、という説もあるらしいです。はたしてどうなのでしょうか。

 そういえば、もうずいぶん昔に、その日仏学院の敷地内にあるフレンチレストランに、友人と行ったことがあります。
 爽やかな五月の風に吹かれ、テラス席でランチをいただきました。
 そこはフレンチといっても、南フランスの家庭料理のようなお料理が出てくる、とてもリーズナブルなお店だったことを記憶しています。

 ランチが済んで附設研の準備委員会が終わったら、その足で牛込の会場へ移り、3時からは運営委員会です。
 総会も近づき、いろいろ慌ただしくなってきました。
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日本人の美意識

2009年04月16日 | Weblog
 楚々としたうつくしさを誇っていたソメイヨシノも、すっかり葉桜になってしまいました。
 気がついたら、青葉の季節へと、雑木林がすがたを変えています。
 
 そんな青葉の道を歩いていて、目に飛び込んでくるのが八重桜。
 八重桜は深い紅いろで、濃密な色香を漂わせています。
 花びらだけみると、とってもゴージャスで、うつくしいです。
 
 けれど日本人はどうやら、この八重桜の挑発的でゴージャスなうつくしさより、ソメイヨシノの儚げで控えめなうつくしさのほうに、より心を奪われるもののようです。
 
 そんなことを思ってしまうのは、いま読んでいる、作家の高橋源一郎氏と翻訳家の柴田元幸氏、おふたりの対談集のせいかもしれません。
「Look at me」感、(自我)を消し去っているという、近代文学の起源あたりについてのくだりを・・・。

 今夜は北句会にお邪魔します。
 今月の兼題は「ひかりorきらきら」です。
 あとは自由句。
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『SHOGI Kids! 将棋キッズ!』(川北亮司著 そうえん社刊)

2009年04月15日 | Weblog
 作家の川北亮司さんが新刊を出版されました。
 
 川北亮司さんと言えば、『マリア探偵社シリーズ』(フォア文庫・理論社)など、いくつものシリーズもので子どもたちに絶大な人気を誇る作家です。
 その川北さんが今度は「将棋」物語にチャレンジ。
 そう、川北亮司さんは、実は将棋の専門家でもあるのです。

 主人公は、負けず嫌いで、将棋の才能の可能性を秘めた少年。
 その少年がチームを組んで将棋大会で団体戦を争うことになります。
 対戦相手としてあらわれたのが、なんと全員がサングラスをかけた、謎の3人組グラサン・レディス。
 なぜグラサン・レディスは、試合を挑んできたのか。
 緊張感のあるシーンを読んでいて、私が思わずにたっと笑ってしまったのは、グラサン・レディースのリーダーである少女の名前。
「ん?どこかで聞いたことがあるぞ」
(どんなお名前かは、読んでいただいてのお楽しみ!)
 ミステリーであっても、どこかに遊び心を潜ませている川北さんのセンスに、思わずクスリと笑ってしまいました。
 
 そして送られてきた「ラブレター」に指名されたとおりにいった病院で対局した、寝たきりの老人とは?
 物語はミステリータッチで進んでいきます。
 
 その折々にはさまれてくる、将棋の戦法。
 うしろには、将棋についての雑学も書かれています。
 読んでいると、将棋について興味がふつふつと湧いてきて、将棋をしてみたくなります。
「詰み」「金矢倉」「四間飛車」「一手詰め」など、将棋の専門知識が、物語を読みながらわかってきます。
 
 ちなみに私は、はさみ将棋しかできません。
 いつだったか川北亮司さんに、私が性急になにかをやろうとしていたとき、こういわれたことがあります。
「カトウさん、王手飛車取りじゃ、うまくいかないよ。歩でこつこつ行かなくちゃ」
 将棋は、人生をも教えてくれるゲームなのかもしれません。
 皆さま、ぜひお読みになってください。
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YO-YO MA

2009年04月14日 | Weblog
 ヨーヨー・マのCDをパソコンにインストールしました。
 近頃、仕事しながら聴くのはもっぱら、このヨーヨー・マの「シンプリー・バロック」です。
 
 ヨーヨー・マは、有名なチェリストですが、この「シンプリー・バロック」は、バロック・チェロを弾いて新境地を拓いた記念すべきCDです。

 ヨーヨー・マのチェロの音色はとても深く、聴いていて、こころが落ち着きます。
 バッハの「G線上のアリア」や、ポッケリーニの「チェロ協奏曲」など、バロック好きにはたまらない曲がセレクトされています。
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春の日の花と輝く

2009年04月13日 | Weblog
 アイルランド民謡の、この「春の日の花と輝く」
 春になると、必ずいちどは、口ずさむ歌です。

 それにしても、この歌のタイトル。
 なんてうつくしいのでしょう。
 春の日は、花のようにうつくしくかがやき・・・。

 ベランダに立って花々にお水をあげながら、我が家のささやかなガーデニングをながめていると、そんな気持ちに満ちあふれてきます。
 
 寒い冬を、このベランダでひっそりと越してくれた花々。
 つい先日、あたらしくここにやってきた花々。
 さまざまな花たちで、ささやかなガーデニングコーナーは、いままさに百花繚乱です。

 木槿も何年目かの冬を越し、みどりの芽吹きがはじまっています。
 ベランダガーデニングは、いま、春のひかりにかがやきを増しています。
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日曜日。

2009年04月12日 | Weblog
 このところずっと、悩まされていた肩こりと首こり。
 パソコンにむかっている時間が長すぎるのかもしれません。
 とうとう今日は、数年前からときど通っている鍼治療に行ってきました。
 この鍼灸院。とってもお上手な中国人の女性の先生が鍼やお灸やマッサージの施術してくださいます。近頃は夜も10時まで営業。日曜日だってやっています。

 ご近所なのに、もとはといえば当時はまだ独身で、品川区に住んでいらした作家のKさんに教えていただいた鍼灸院です。
 数年前、彼女はときどきこちらに通っていたそうです。
「鍼灸をやっていただくと、しばらく楽でした」と。
 いまはご結婚され、さらにママにもなられ、作家活動もお忙しいので、きっとそれどころではないでしょう。
 
 それにしても、灯台もと暗しとは、このことです。
 こんな目の前にあったのに、彼女に教えていただくまで知らなかったのですから。
 おかげさまで、だいぶ肩や首が軽くなりました。
 
 午後からは、高田馬場で行われている、日本児童文学者協会主催の「童話作家になる講座」にお邪魔する予定です。
 今期から学校開催が日曜日になったようです。
 中途からの受講。あるいは一回限りのビジターも受付けているそうです。
 お気軽に児文協事務局まで、お問い合わせください。
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「佐藤友哉は拒絶する」

2009年04月11日 | Weblog
 昔からの作家の友人、原のぶ子改め、原りんりさんから、同人誌「文学横浜」(文学横浜の会刊)をご恵贈いただきました。

 原のぶ子といえば、青森の、いわゆる北限の猿を取材して書かれた『シゲちゃんが猿になった』(新日本出版社刊)で、日本児童文学者協会新人賞を受賞された作家です。
 重厚なリアリズムの文体で対象から目をそらさず、ぎしぎしと書いていくタイプの作家です。
 けれど残念なことに、その後、原のぶ子は病にかかりしばらく書くことから遠ざかっていました。
 それでも体調がいいときには、ぶらりと「Be-子どもと本」という友人たちでやっている研究会に現れ、鋭い意見をのべて帰るといった、友だちとしてのつながりはその後もずっと続いています。
 その彼女の興味は闘病中、どうやら児童文学から大人の文学に移行していったようで、今回この「文学横浜」に書かれているエッセイも佐藤友哉論を中心にした、いまのラノベのわからなさについてです。
 タイトルは「佐藤友哉は拒絶する」なんとも刺激的です。
 
 このなかで、原りんりが書いているのは、主にライトノベルの作家(メフィスト賞の周辺)についてです。
 彼女の書かれたものに私はとても合点がいって、おもわず「うん、そうそう」とうなずきながら 読んでいました。
 この難解さを支持する中心に、いまをときめく、あの『動物化するポストモダン』(講談社現代新書)の著者である東浩紀がいて、彼は昨年出版した『コンテンツの思想』のなかで、「戦後日本が作り出してきたサブカルチャーの分析において、伝統的な「批評」「研究」の蓄積がほとんど役立たない・・・」と書いているそうです。
 東浩紀といったら、いまや、ポストモダン時代の浅田彰をしのぐカリスマ性を持った批評家です。
 その彼らがやろうとしている「ブンガク」の方向が、この「わからなさ」を含め、いずれ十年くらいしたら主流の流れになっていくのではないかと、原りんりは書いているのです。

 先日、「日曜美術館」で江戸時代の絵師、曾我簫白を取り上げていました。彼は「破壊と闇の絵師」と呼ばれ、当時はその難解さと前衛性ゆえに、まったく評価されていなかった絵師だったようです。
 その曾我簫白を論じていたのが、現代美術の旗手・村上隆です。
 欧米を中心に、村上隆はすごい人気を博している現代美術のカリスマですが、正直言って私は、彼から曾我簫白論を聞くまで、彼のよさ、すごさがわかっていませんでした。(ヴィトンとコラボしたあの目玉のデザインをみたら、まさに「私は拒絶する」です。あのポップさがいいと、人は言うのかも知れませんが)
 細かい言葉ひとつひとつは忘れてしまいましたが、そのとき、私はたしかに、村上隆を「すごい!」と思いました。「そうか、そういった思いの延長線上に、あの目玉はあったのか」と。
 理路整然とした彼の、説得力のある論理に。

 原りんりが書いた、メフィスト系のラノベ作家たちはなぜここまで評価されるのか。佐藤友哉にしても、同じく三島賞をとった中原昌也にしても、この「難解さ」を紐解く手段、あるいは方法を見つけ出さない限り、私たちの世代と彼らとは、ずっとパラレルな思考回路のままでいくことになるのかもしれません。(ちなみに、あの浅田彰さえ、中原昌也は難解だといってるくらいですから)
 
 その点、児童文学のライトノベルはまだわかりやすいです。けれどいずれ、児童文学の「佐藤友哉」「中原昌也」といった若い作家が台頭してくるのは時間の問題かも知れません。
 原りんりから、鋭い問題提起をもらったような気がしました。
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