この本を読みはじめて、読み続けることが苦しくなってページを閉じてしまったこともありました。娘の命が関わっている内容であるだけに知識としての内容を受け入れるより先に後悔のような思いが突き上げてくるのです。
先に目を通した第4章は年齢故に「我が事」の知識として受け止められますが、がんの進行に伴う「浸潤」とか「転移」という言葉はそのまま私の心に突き刺さって来ます。
それだけに受けとめるべき理解を私ごとの水準から、「国民病がん」に対応した水準に相応しい認識を自分のものにする思いを持て読んでいかねばと考えます。
この本の「はじめに」のなかで『がんは「国民病」』として触れている部分を引用しておきます(一部変更)
日本のがん罹患者数は年々増加し、最近では年間約100万人が新たにがんを発症し、死亡者の3人に1人にあたる約37万人ががんで亡くなっています。近年の統計からは、日本人の2人に1人が生涯に一度はがんにかかり、男性の4人に1人、女性の6人に1人ががんで死亡するもの推計されています。同時に、がんの診断及び治療技術も近年急速に改善してきました。直近の統計では、がん患者全体の5年相対生存率は60 %を超えており、がんの経験者やがん治療を継続されている「がんサバイバー」の数はすでに数百万人、日本対がん協会によると七百万人を数えているとされています。正に「がんは国民病」と言える時代になったと言えます。一方で、国民にとっては、がんは依然として死と直結す 「不治の病」というイメージがあるように思います。がんは「今や不治の病ではない」ことをわかっていただくためにも、まずは、がんがどのような病気なのかについて知ってもらう必要があります。
この本『「がん」はなぜできるのか』は次のような章立てになっています。
第1章 がんとは何か?
第2章 どうして生じるのか?
第3章 がんがしぶとく生き残る術
第4章 がんと老化の複雑な関係
第5章 再発と転移
第6章 がんを見つける、見極める
第7章 予防できるのか?
第8章 ゲノムが拓く新しいがん医療