kaeruのつぶやき

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1862年6月18日付、マルクスからエンゲルスへの手紙

2023-11-11 22:12:34 | kaeruの『資本論』

手紙文の写真だけ貼って文字移しをしておきます、少し他のことに手をとらえますので、「つぶやき」は明日以降で……。

 『親愛なエンゲルス!
 またも自分の窮状をきみにうったえなければならないのは、ぼくとしてはじつにいやなのだが、しかしどうしようもない。妻はこどもたちといっしょに死んでしまいたいと毎日言っている。ぼくは彼女が悪いんだなんてとても言えない。現状でわれわれが耐えなければならない屈辱、苦痛、恐怖は、実際、筆舌に尽くしがたいのだから。きみも知るとおり、五十ポンドはすっかり借金の支弁にあてたのだが、そうしても借金の半分も支払えなかった。七週間ものあいだ無一文でいなければならないという、

そのロンドンではほんとに危険な状態については、なにも言いたくはない。わが家ではそれは慢性的にくりかえされているのでね。でもきみも自分の経験でよくよくご承知のとおり、現金で払わなければならないきまりきった出費というものがあるのだ。そのため、四月末に質屋から出してきた物を、またもお蔵入りさせることになってしまった。 ……それが博覧会のひらかれている最中であるだけに、なおのことこどもたちがかわいそうだ。この子たちの友だちが博覧会をみて楽しんでいるというのにね。この子たちは、だれかが訪ねてきてこのみじめな状態を見なければよいがと、ただそればかり恐れているんだ。

 それはそうと、ぼくはいましゃにむに仕事をしている。妙なことに、ひどい貧乏にとりつかれながら、いまほどぼくの頭がよく働いているときは、この数年来なかったことだ。……ついでにいえば、いまやついにぼくはあの不愉快な地代論もかたづけた。……ぼくはっと前からリカードの理論が完全に正しいということには疑いをもっていたが、ついにそのごまかしを摘発した。そのほか、ぼくたちが別れてから、さらにいくつかの相当なめざましい新しい発見をした。……

 ダーウィンをもう一度読んでみたが、彼がマルサス理論を動植物にも適用すると言っているのはおもしろい。マルサス理論は、動植物にではなく、人間だけに、動植物と反対に幾何級数的に適用されるということが、マルサス氏の味噌だったのではないみたいに言っているのでね。ダーウィンが、動植物界のなかに、分業や競争や新市場の開拓や《新発明》やマルサス的《生存競争》やがおこなわれている、自分のイギリス社会を再認識しているのは、注目すべきことだ」 

 エンゲルスはすぐに親友とその家族に援助の手をさしのべ、送金した。それによってしばらく、グラーフトン・テラス九番地の小さな家に住んでいる人たちの生活は楽になった。

(ここにはマルクス家の住まいが昨日アップした所と違っています、何か分かりましたらコメントします)