この本のp36です、
「人類がこの病気に苦しめられるようになったのは、いつからなのでしょうか。少し歴史を振り返ってみましょう。」
人類最古のがん=160万〜180万年前のヒトの化石でみいだされた骨肉腫。
南アフリカの研究者が、洞窟で発掘された化石の足の指のCT画像を撮影したところ、現代の骨肉腫の生検標本とよく似た特徴が見られたそうです。この化石の人類は、ホモ・サピエンスとは違う種類のようですが、がんは驚くほど昔からあったのです。
【時代はぐーと下がり】
4200年前のエジプトの女性ミイラの骨から乳がんの証拠を発見しました。2015年にスペインの研究チームの報告です。乳がんの原発巣はやわらかい乳房のなかにありますから、ミイラ化した状態で確認することは困難でしょうが、乳がんが骨に移転し、骨のなかに腫瘍のあとが残っていたのです。
エジプトで発見された2250年前の男性ミイラの調査で、前立腺がんが骨転移してできたと解釈できる球状の腫瘍のあとがたくさん発見されたという報告もあります。
がんはいつから記録されているのか
最古の記録=紀元前2600年頃の古代エジプトの医師イムホテブが残した症例のなかに、
「乳房の隆起するしこり」「冷たく固く、血液でできた果実のように実が詰まっており、皮膚の下をひそかに広がっていく」との表現があります。
次の記録はそれから2000年以上も経った紀元前440年頃の古代ギリシャの歴史家ヘロドトスの『歴史』のなかに出てくる話です。ペルシャの王妃の乳房に出血のしこりげでき、それをギリシャ人の医師が摘出したというのです。
【 病名「がん」の登場 】
紀元前400年頃、古代ギリシャの医学者ピポクラテスが、がんを表すのに、ギリシャ語で「カニ」を意味する「カルキノス」という言葉をもちいたと言われています。
この本の該当図です、
このあと本の方は がん遺伝子の発見 の小見出しで1775年の話に移っていくのですが、それに触れる前に私が誠に短い記述ですがヒトとがんとの関わりの歴史について関心を持ち、紹介したいわけを2つ記しておきます。
一つは、現在のがん治療は標準治療と代替治療も含めて長いヒトとがんとの関わりの結果であり、到達点だと思います。結果とか到達点とか表現されますが日々変化発展している進行中のそれです。娘が罹患し治療法を選択する時なぜ標準治療を拒否したのか、かなり個人的な状況のもとでの判断だったと思われます。その判断についていま評価をする積りはありません。
それだけに自分の認識のなかに「がん」についての基本的な知見を得ておきたいのです。そのなかには歴史的視点が欠かせないと考えています。その立場からこれを記しています。
もう一つは、この本には触れられていませんが「がんについての聖書の記述」です、それはこちらの本からでした、
実は明日、こちらの本の著者・高橋享医師の診察を受けに娘と共に娘の兄の運転で向かいます。久しぶりに両親と子供2人というメンバーで……。
こちらの本の該当見出しは、
第1章 ヒントは旧約聖書にあった イチジクから発見された驚異の抗がん物質
この内容については明日触れたいと思います。