暑中お見舞い申し上げます
朝起きて空が曇っていたら喜べ。
山ではどんなに晴れていても雨具を忘れるな。海ではどんなに船酔いに強くても酔い止め薬を忘れるな。
鉤先はつねにどんな魚をどう釣ろう瀬戸物に刺さるぐらい研ぎあげておけ。
情報は徹底的に謙虚に聞きこめ。しかし釣れるまでは信ずるな。 にこやかにハイハイといいながら、頑なに信じこむな。
広い川では狭い所を釣れ。狭い川では広い所を釣れ。
自分より先に友達に釣れたら電光石火、ホメてあげるべし。これはラッキーで釣れたんじゃないとホメてあげる。一拍遅れると嫉妬で苦しめられ、イライラしていよいよ釣れなくなるゾ。
運・勘・根の三位一体と知るべし。
悠々として、かつ急げ。
これは「雨の日の釣り師のために」という35人の作者による釣り文学集の序文に「雨も愉し」として開高 健が釣り師の金科玉条として書いたものです
あらゆることに通じます
酷暑の折柄ご自愛ご健勝のほどお祈り申し上げます
LS HAGAKI Vol.63 ≪悠々として、かつ急げ≫