最近、IL Volo のジャンルーカの歌で久々にイル・ポスティーノの映画音楽を聞いて、懐かしく思い出しています。
最初に曲に詩をつけて歌ったのはアメリカの歌手、ジョシュ・グローバンのようです。
映画は詩人と郵便配達人の友情を描いたものですが、歌では友人はamicaで女性になっています。
主人公郵便配達人のマリオがチリから亡命した詩人、パブロ・ネルーダによって、詩の世界に目覚めて行きます。
詩によって人とつながり、言葉は力を持つ。詩によって社会的にも目覚めたマリオは共産党の集会で詩を読むことに
なり、その時起こった暴動で命を落としますが、何とも言えない、しみじみとしたものが残る映画でした。
なにかトロイージが命よりも大切にして、遺したい映画だったのがわかるような映画でした。
辻邦生の映画評が「婦人之友」に載っていました。図書館で検索したら、辻邦生全集の中に音楽や映画の評論を載せたものが
あったのでネットで予約しておきました。
イタリア映画「イル ポスティーノ」の主題歌に、後からイタリア語の詩を付けたもので、ジョシュ・グローバンの「持ち歌」
として有名な曲の一つだそうです。
@Mi Mancherai (Il Postino) 君がいないと
(日本語題名は村田ナオミさんの訳)
Mi mancherai se te ne vai
Mi mancherá la tua serenita
Le tue parole come canzoni al vento
E l'amore che ora porti via
君がいなくなると僕はさびしい
君の静かさがないとさびしい
風の中の歌のような君の言葉が
そして君が持ち去る愛が
Mi mancherai se te ne vai
Ora per sempre non so come vivrei
E l'allegria, amica mia
Va via con te
君がいなくなると僕はさびしい
これからずっとどうやって生きていけばいいのか
喜びは 友よ
君とともに去る
Mi mancherai, mi mancherai
Perché vai via?
Perché l'amore in te si é spento
Perché, perché?
Non cambierà niente lo so
E dentro sento te
さびしいよ どうして行ってしまうの
君の愛が消えたから?
なぜ、なぜ?
何も変わっていないとわかっている
ぼくは自分の中に君を感じる
Mi mancherà l'immensita
Dei nostri giorni e notti insieme noi
I tuoi sorrisi quando si fa buio
La tua ingenuita da bambina, tu
永遠に失った
ぼくたちの昼も夜もともに
暗がりの中の君のほほえみ
子供のような君の純真さ
Mi mancherai amore mio
Mi guardo e trovo un vuoto
dentro me
E l'allegria, amica mia
Va via con te
ぼくはさびしい 愛する人
僕の中には何もない
喜びは 愛する人
君とともに去る
ナポリ沖合の小さな小島を舞台に、貧しい純朴な青年が、島を訪れた詩人との友情を通して次第に自己に目覚め、愛を知り、
人間として成長していく姿を、温かくユーモラスに描いた感動編。実在したチリの偉大な詩人パブロ・ネルーダ(1904~73)
をモデルに、同じチリの作家アントニオ・スカルメタが書いた小説『バーニング・ペイシェンス(燃える忍耐)』(本邦未訳)を、
「スプレンドール」などに主演したイタリアの喜劇俳優マッシモ・トロイージが映画化した作品。10年来の親友であるイギリスの
マイケル・ラドフォード(「白い炎の女」)に監督を依頼し、予定していた心臓移植の手術を延期してまで撮影に臨んだが日に日に
極度に体力が衰えて、クランク・アップの12時間後、95年6月4日に41歳の若さで夭折した。アメリカではジュリア・ロバーツ、
スティング、マドンナら、この映画に感動した人々がサントラ盤用に、ネルーダの詩の朗読に参加したのも話題となった。
脚本はトロイージとラドフォード、トロイージの全監督作に協力した脚本家アンナ・パヴィニャーノ、「続・夕陽のガンマン」など
のベテラン、フリオ・スカルペッリとその子ジャコモ・スカルペッリの5人。撮影は「サン・ロレンツォの夜」のフランコ・ディ・
ジャコモが担当。哀愁に満ちた鎮魂のピアノ演奏が印象的な音楽はルイス・エンリケ・バカロフ。共演は「ニュー・シネマ・パラダイス」
のフィリップ・ノワレ、イタリアの映画、TV界で活躍するモデル出身のマリア・グラッツィア・クチノッタほか。
第98回アカデミー賞オリジナル作曲賞(ドラマ部門)受賞。96年度キネマ旬報外国映画ベストテン第1位。
チリを舞台にした小説が、“伝説”のイタリア映画になるまで〜『イル・ポスティーノ』〜
マイケル・ラドフォードは「ベニスの商人」も作った監督だったのですね。
今、図書館から館野泉のCDを4枚借りていて、2つは2枚組。両手で弾けていた時代のと、片手で音楽を伝える今のと
両方あります。昔のフィンランドの小品に魅かれています。「澄み切った満天の夜空の星に似た清冽なピアノの調べ」と
帯に書いてありましたが、聞いた後にこのフレーズに気がつき、本当にキラキラとしてぴったりの表現だと思いました。
館野泉のフィンランドの曲を聴くと、自然の中にいるようなそんな清浄感があります。星の輝き、森の中・・館野が求めたのは
伝統的なドイツ音楽でなく、環境音楽のようなこういうものだったのだと思いました。
お元気ですか? ブログを中止したり、休止している方が増えて寂しいです。
南イタリアの美しい風景と共に、詩の持つ力について感じられる素晴らしい映画でしたね。もう昔のことになってしまいました。