庭戸を出でずして(Nature seldom hurries)

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国民投票法案

2007-03-30 23:56:33 | 政治
自民と公明がたぶん強行採決するであろう「日本国憲法の改正手続に関する法律案」に、こないだざっと目を通した。150条を超えるずいぶん仰山なものだ。

これについては、幾つか言いたいことがあるが、ます最低得票率についての条項がどこにもないということ。これは一体どういうことだ。これだと、例えば得票率が50%だった場合の過半数で25%以上・・・つまり有権者のたった4分の1ほどで、国家の基本法・根本法が変更されてしまうことになるではないか。もし20%なら10%だ。

憲法改正は単なる議案の議決はもとより、最高の裁判官の国民審査や地方特別法の住民投票とは訳が違うだろう。この法案を考え作り出した人間や、法律にしようとしている議員の皆さんは、「国民主権」の意義を知らないでやっているのか、それとも知りながらやっているのか。どちらにしても、国民を馬鹿にするにもほどがある。

そもそも、憲法は、国民つまり日本という国家に生きる「私のもの」であって、権力の中枢部分にいる「彼らのもの」ではない。頼んでもないのに、人が本当に大切にしているものを勝手に触って汚すな!・・・とまず言っておく。

それから、この改正運動は、私はもとより国民多数の中から生まれたものではない。明らかに、現在の憲法の条項の幾つかが(その本星が9条であることは明白だが)、鬱陶しくてしかたのない連中が、自分たちの都合のいいように変えたくて仕方がない、というところから始まっている。それも当然だ。彼らにとっては、押し付けられて鬱陶しいのが、まさに立憲主義の本質なんだから。だから99条でも彼らを選んで縛りをかけているのだ。

国民の中から始まらない憲法改正運動のどこに肯定すべき意味があるというのか。否定すべき意味は山のようにある。仮に、国民の中から起こった運動であるとして、国家ではなく国民に主権があり、その主権者の過半数が、現行憲法に不満があり改正やむなしとするなら、民主主義の正道としてそれはまさにやむなしであろう。しかしそうなら、過半数規定の分母を有効投票総数ではなく、少なくとも「有権者総数」にしなければならない。