碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
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新垣結衣「逃げ恥」の不思議なリアリティーとドキドキ感

2016年11月03日 | 「日刊ゲンダイ」連載中の番組時評



日刊ゲンダイに連載しているコラム「TV見るべきものは!!」。

今週は、TBSのドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」を取り上げました。


TBS系「逃げるは恥だが役に立つ」
ガッキーが反則技的に可愛い

ドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」の津崎(星野源、適役)とみくり(新垣結衣)は、ごく普通の夫婦に見えるが実は契約結婚だ。夫が雇用主で妻は従業員。「仕事としての結婚」という設定がこのドラマのキモである。

ヒロインのみくりは、学部と大学院、2度の就職活動に失敗。派遣社員となるが契約を切られて求職中だった。家事代行のバイトで津崎と出会い、契約結婚(事実婚)する。戸籍はそのままだが、住民票を提出することで健康保険や扶養手当もOKとなる。業務・給料・休暇などを決め、家賃・食費・光熱費は折半。もちろん性的関係は契約外だ。

「こんなの、あり得ねー」と言う人も、「あるかもしれない」と思う人も、気づけば、ガッキーと星野の奇妙な同居生活から目が離せなくなっている。2人が見せてくれる「誰かと暮らすこと」の面倒と楽しさに、不思議なリアリティーとドキドキ感があるからだ。

そして何より、このドラマのガッキーが反則技的に可愛い。自分が美人であることの自覚がなく、また高学歴女子の知性も嫌みにならず、性格の良さと相まって天然風ユーモアへと昇華している。

今後の見どころは、津崎とみくりの“距離感”だ。相手に対する気持ちや意識が変化すれば、快適だった結婚生活も危機を迎える。どんな展開も受け入れるが、ガッキーだけは泣かせないでね。

(日刊ゲンダイ 2016.11.02)