碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
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土曜ドラマ「パーセント」 NHK大阪が手掛ける野心作

2024年05月15日 | 「日刊ゲンダイ」連載中の番組時評

 

 

 

土曜ドラマ「パーセント」NHK

NHK大阪が手掛ける野心作

 

土曜ドラマ「パーセント」(NHK)の舞台は、ローカルテレビ局の「Pテレ」。主人公はバラエティ班で働く吉澤未来(伊藤万理華)だ。

ある日、提案していた学園ドラマの企画が採用される。念願のドラマ班に異動し、自分の企画を実現できると喜ぶ未来。

しかし、編成部長は条件を付ける。それはドラマの主人公を障害者の設定にすること。局が進めるキャンペーン「多様性月間」の一環だった。

やがて未来は、劇団に所属する車椅子の女子高生・ハル(和合由衣)と出会う。

障害の当事者である彼女に障害者の役を演じてもらおうとするが、「障害にめげずとか、乗り越えてとか、好きじゃない」と拒否される。

「障害者が何かしら壁を感じる時、社会のほうに問題がある。それは障害者が乗り越えることじゃない」と言い切った。

このドラマは、単なる「お仕事ドラマ」でも「障害者ドラマ」でもない。

管理職の30%に女性を登用する「クオータ制」や、従業員に占める障害者の割合を定めた「障害者雇用促進法」の意義は大きい。

だが、数値の設定だけでは解決しない問題があることを、物語に取り込もうとする野心作だ。

脚本は劇作家で演出家の大池容子によるオリジナル。制作統括は「カムカムエヴリバディ」などの安達もじり。

「バリバラ」を制作している、NHK大阪が手掛けるドラマであることも注目だ。

(日刊ゲンダイ「TV見るべきものは!!」2024.05.14)