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札幌に来ている。
昨日(19日)の夕方、千歳の空港から札幌へと向かう途中では雪も舞って、さすがに寒い。
本日も、午前中の「トークDE北海道」、午後の「イチオシ!」でコメンテーター。
札幌に着いたら、まずは例によって古書の石川書店で宝探しだ。
我が“お宝ワゴン”の中に、高橋和己の初版本や手塚治虫全集の何冊かを見つけた。
選んでいったら、あっという間に10数冊になったので、宅配便の手配をお願いし、「キネマ旬報」のみを宿に持ち帰る。
入手した3冊の「キネ旬」は、いずれも1977年のもの。
2月上旬号の特集の一つに『ネットワーク』があった。シドニー・ルメット監督がテレビ界の内幕、というか視聴率競争の行きつく先を描いた作品だ。
何しろ、ニュース番組のアンカーマンが、生放送中に自分の自殺予告をしたりするのだから大変。
公開当時、私も劇場で観たのだが、基本的には、“狂気の視聴率競争”に奔走するテレビ界を批判する内容だった。
びっくりしたのは、この特集のために書かれた批評文のうちの1編が、村木良彦さんによるものだったことだ。
1981年、私がテレビマンユニオンに参加した当時の社長である。
残念ながら、昨年の1月に亡くなってしまったが、優れた制作者であり、稀有な経営者であり、鋭い理論家だった。
その村木さんが32年前に書いた文章に、札幌で出会うとは思いもしなかった。
批評文のタイトルは「有効性の薄い単眼すぎるテレビ批判」。
たとえば、映画が軸に据えた“視聴率”に関して、「私が言えるただひとつのことは、絶対視して信仰することもなく、馬鹿にして蔑むこともなく、ごく普通につきあうこと、それと対応する己の論理をきちんと持つということに尽きる」という一文があったりする。
やはり村木さんらしいなあ、と何だか嬉しくなった。
そうそう、3冊の「キネ旬」のうちの1冊、3月下旬号には、別の発見があった。
読者の投稿を掲載する「読者の映画評」のページだ。
映画『キングコング』をめぐって、コングが美女(ジェシカ・ラング)を掴んでいた“手の感触”を滔々と語る文章があった。
当時は個人情報に今ほどうるさくなかったため、文末に、投稿者の住所として三鷹市の所番地が載っている。
そして、21歳の学生の氏名が「金子修介」なのだ。そう、あの金子修介監督である。
1977年に『キングコング』を語っていた21歳の大学生(三鷹高校→東京学芸大)が、18年後の1995年に『ガメラ 大怪獣空中決戦』を監督することになるのだ。
これまた、とても嬉しくなった。