◆ 値上げは今後も続くのか? 6/6 2013/04/23 エネルギー関係、食品、日用品、高級ブランド品など、幅広い分野で値上げのニュースが、相次いでいます。NHKの番組で「相次ぐ値上げ 今後は?」というタイトルで今井純子解説委員のお話に皆さんも関心があるのではないでしょうか。 ◇第1回目 電力値上げ ◇第2回目 食料品の値上がり ◇第3回目 いつまで値上げが続くのか? ◇第4回目 アベノミクスで浮かれた物価上昇 ◇第5回目 値上げと収入停滞の板挟み ◇6 善循環が日本を活気づける 前回、仕入れコストが上がっても、小売価格に転嫁できない旨をお話しましたが、これは、中小製造業でも言えます。原材料が上がっても、親会社や関連企業にそのまま販売価格に転嫁できないのです。 このように、しわ寄せは、企業にきます。大手はまだいいとしても、体力のない中小、零細の企業にとっては、非常に厳しい状況です。 仕入価格が増えているだけでなく、電気代やガソリン代も上がっています。運送費の負担も増えています。今後、値上げができなければ、経営が一段と厳しくなる心配もあります。 暗いニュースばかりですが、明るい兆しがないわけではありません。 今年の春闘では、一部、賃金やボーナスを増やす企業がでてきました。その動きを、さらに広げていくしかありません。また、円安で、潤う企業もあります。 輸出企業では、円安のメリットを大きく得られます。 例えば海外で1億ドル利益が出たとします。一ドル80円が100円になっただけで、日本円に換算した利益が、80億円から、100億円に増えます。 海外旅行を中心とする旅行業界も、代金が割り増しになり、日本人が海外へ行きづらくなります。逆に、海外の旅行者が日本にくるには、代金が割安になります。 海外からの旅行客が増えれば、ホテルや旅館だけでなく、そこで食べるものをつくる農家や、移動のための交通、おみやげものをつくる工場や、売るお店など、幅広い恩恵があります。 このように円安メリットを受ける業界が、いち早く業績回復に繋がるとアベノミクス理論のように善循環が始まります。 このような起業や業界が、まず賃金や雇用を増やし、おカネが国内に回るようになると善循環してきます。それにより物価が多少上がっても、家計は耐えられます。賃金・そして雇用をいかに増やせるかが、景気回復を支えるカギになると思います。 悪い状況がいつまでも続かないようにするのが、政府の仕事であり、われわれ経営コンサルタントも、企業のグローバル展開の支援をしていく必要があります。 <完>
◆ 値上げは今後も続くのか? 5/6 2013/04/22 エネルギー関係、食品、日用品、高級ブランド品など、幅広い分野で値上げのニュースが、相次いでいます。NHKの番組で「相次ぐ値上げ 今後は?」というタイトルで今井純子解説委員のお話に皆さんも関心があるのではないでしょうか。 ◇第1回目 電力値上げ ◇第2回目 食料品の値上がり ◇第3回目 いつまで値上げが続くのか? ◇第4回目 アベノミクスで浮かれた物価上昇 ◇5 値上げと収入停滞の板挟み 日本は、貿易黒字国というイメージがありますが、今やその構造は大きく変わり、構造的に貿易赤字国になっています。輸入額の方が、輸出額より大幅に多いで、円安による影響は大きいのです。 輸入価格が上がりますと、上がった分、それが価格に転嫁され、値上げとなると痛いです。 ところが、現実には、全国展開のスーパーマーケットのような大手でさえ、仕入れ価格が上がっても、値上げできないという悲鳴が聞こえてきます。 では、なぜ仕入が上がっても、小売価格への転嫁が難しいのでしょうか? 答えは、前回お話したとおりです。 アベノミクスの影響から株高で、資産が潤っている一部の人を除くと、多くの消費者は、まだ収入が増えているわけではありません。昨年冬のボーナスも、4年連続の減少でした。 一方で、社会保障費の負担や復興増税などの負担は増えています。電気代も上がっている。ということで、日用品については、節約志向が続いているからです。大手スーパーや量販店などの間では、一部の商品の値下げに踏み切ったり、割安なプライベート商品を増やしたりする動きさえ、みられる状況で、物価は、まだ下がり続けています。
◆ 値上げは今後も続くのか? 4/6 2013/04/21 エネルギー関係、食品、日用品、高級ブランド品など、幅広い分野で値上げのニュースが、相次いでいます。NHKの番組で「相次ぐ値上げ 今後は?」というタイトルで今井純子解説委員のお話に皆さんも関心があるのではないでしょうか。 ◇第1回目 電力値上げ ◇第2回目 食料品の値上がり ◇第3回目 いつまで値上げが続くのか? ◇4 アベノミクスで浮かれた物価上昇 円安については、海外からも批判の声が出てきています。デフレ脱却を主張していたアメリカでも、ベージュブックに円安誘導という厳しい指摘が出てきました。 これらのことを勘案しますと、そろそろ円安も調整が必要となってきたと考えます。 私は為替の専門家ではないのでキチンとした意見を持てませんが、輸出入関係者の利害分岐点は1ドル=100円前後のような気がします。 少々脱線をしますが、私がアメリカにいた1970年代前半のころの話です。それほど多くはありませんが、アメリカ国内でも日本食料品が手に入り始めました。そのころの換算レートが1ドル=100円でした。日本で1000円の物がアメリカでは10ドルで手に入りました。 その時に感じたのは、1ドル=100円というのは換算が簡単であり、デノミもしやすいと個人的には思いました。 さて、話を修正し、値上げの話に戻しましょう。値上げは、円安以外の要因もあります。実は、これは私が安倍総理-黒田総裁の2%ターゲットで最も懸念をすることでもあります。 おそらく夏ごろから、本格的な輸入品の値上げラッシュとなると思います。これが大豆やトウモロコシの輸入価格としても顕著に表れてくるでしょう。それを食べる家畜等の肉類・乳製品類が、値上がりしていく可能性もあります。 値上げがあちらこちらで起こると、消費者マインドが麻痺してきて、便乗値上げをしやすくしてしまいます。 政府は、便乗値上げをチェックすると言っても、全てに目が届くわけではなく、どうしてもその傾向が出て来るでしょう。 一方で、庶民の給与や所得は急には上昇しません。我々のような職業では、顧問契約料を簡単に上げることはできないし、年金生活者は、金額が変わらないどころか、さげられてしまいます。 消費者マインドは、ムード的には高まってきているようですが、一方で、現実問題としては、財布の中は厳しい状態がしばらく続くでしょう。 |