病気は遺伝がどこまで関係する

ＡＩがゲノム情報を解析すれば、将来罹る病気が予測できるようになるといわれています。しかし当然遺伝子だけが病気の原因ではありません。

ここでは一卵性双生児を研究した医師の意見を紹介します。この医師は基本的に生活因子が占める割合が非常に高いという意見のようです。

一卵性双生児ではゲノム（遺伝子）も生育環境もほとんど同じですが、両親に「性格や行動パターンは似ているか、と問えば「全く違っている」と帰ってくるようです。ここでは双子に起こる色々な経験差を示していますが、遺伝子は同じでも微妙な経験が重要といいたいようです。

偶然起こった経験の違いが積み重なり、積極的な性格や消極的な性格を作り出します。この性格の違いは、好みや人間関係、行動パターンに影響し、同じゲノムを持つ双子の人生も全く別なものにしていきます。

これらの違いは食生活や運動習慣にも影響し、生活習慣病のリスクも変えていきます。その結果、60歳で一卵性双生児の1人はガンになり、もう1人はガンにならないということが起こりうるとしています。

北欧で4万5000組の双子を対象に調査が行われ、「一部を除きほとんどのガンにおいて遺伝の影響はないか、合ったとしてもごく僅かである」と結論されています。

私にしてみればこれは当然で、ガンが遺伝子のコピーミスによって生ずるとすれば、このミスはあくまで偶然起きるものであり、遺伝子が同じかどうかは関係ないはずです。ただしこのミスを修復したりしてガン化を妨げる遺伝子が弱いといったことは遺伝しますので、ある種のガンは遺伝子によってなりやすくなるはずです。

ここではガンよりも心筋梗塞や脳卒中の方が遺伝性は低く、多くの病気は性格や好みの違いで発生するとしています。この医師は日々の行動パターンをほんのわずか変えるだけで、逆に偶然をも制御できると仮定しています。

そのため偶然の連鎖で方向づけられる将来も変えることができるはずで、この部分では小児科の役割が多いとしています。

こういう話を紹介しておいてややおかしいのですが、私は病気になりやすいかどうかのかなりの部分は、遺伝子によって決定されている気がします。例えば体質というなかなか説明できないものですが、これはほぼ遺伝子によって決まると思われます。

ですから太りやすいとかは遺伝子が同じ双子であれば共通しており、一方が太って片方が痩せている等という例は聞いたことがありません。ここでは双子の差を強調していますが、私の知る限りでは性格は違っていても（大きく見れば似ていると思います）、体質はほぼ同じで病気の罹り易さなども似ているというのが、一卵性双生児のような気がしています。