バイオベンチャーのティムスは、沖縄の西表島で見つかった黒カビを使った急性期脳梗塞の治療薬の開発に取り組んでいます。
黒カビを培養して取り出した化合物が、血栓を溶かす身体の動きを促進します。血管が詰まって起こる炎症を抑える効果もあるため、脳梗塞発症後4時間半に制限されている投薬の時間を延ばせると期待されています。
今回の黒カビは「スタキボトリスミクロスポラ」という種類で、大阪の発酵研究所が1973年に西表島の川岸で亜熱帯照葉樹の落ち葉から見つけたものです。ティムスが同研究所から譲り受けた1500株のカビの中から、2010年に脳梗塞の治療に生かせる効果のある化合物を見出しました。
これは自然界からの薬物探索ということになりますが、現在でも製薬メーカーが力を入れている探索研究の一つです。現在使用されている医薬品の3分の1は、こういった天然の微生物などの生産物となっており、まだまだ知られていない生理活性物質は多く存在すると考えられています。
私が勤務していた研究所もこういった分野に力を入れており、主に各地の土壌から新しい微生物を探索し、その生産物を調べていました。私もその協力として、出張や私用で地方に行ったりした時は、地表から5センチ程度のところの土をスプーン1杯ぐらい持ち帰るということをずいぶんやっていました。
海外からも持ち込んだりしていたようですが、本来これは禁止されており、やや気持ち悪いところもありましたので、私はやりませんでした。こういった天然物の探索研究の難しさや面白さは、また別な機会に書くかもしれません。
さて今回の薬剤ですが、脳梗塞の治療に使われる血栓の溶解剤は、発症による炎症で血管がもろくなり、出血リスクが高まるため発症後4時間半までしか使えないとされています。今回ティムスが開発する治療薬は、血栓の溶解に加え、炎症を抑える働きもあり、発症後12時間まで活用の幅が広がると期待されています。
同社は東京大学医学部で健常者を対象にした臨床試験で安全性を確認しています。発症後12時間の有効性などを調べる第2段階の臨床試験に着手しています。
本年6月には、アメリカ製薬大手のバイオジェンと契約し、一時金約4億円を受け取り、開発や販売が成功すればさらに資金が得られるようです。
共同研究者の東京農工大学は、創薬には時間がかかるが、早ければ5年後には実用化のめどがつけられると述べています。やはり新薬の開発には非常に長い時間と膨大な費用が掛かりますが、こういったベンチャー企業の挑戦的な取り組みには応援しながら期待したいと思っています。
黒カビを培養して取り出した化合物が、血栓を溶かす身体の動きを促進します。血管が詰まって起こる炎症を抑える効果もあるため、脳梗塞発症後4時間半に制限されている投薬の時間を延ばせると期待されています。
今回の黒カビは「スタキボトリスミクロスポラ」という種類で、大阪の発酵研究所が1973年に西表島の川岸で亜熱帯照葉樹の落ち葉から見つけたものです。ティムスが同研究所から譲り受けた1500株のカビの中から、2010年に脳梗塞の治療に生かせる効果のある化合物を見出しました。
これは自然界からの薬物探索ということになりますが、現在でも製薬メーカーが力を入れている探索研究の一つです。現在使用されている医薬品の3分の1は、こういった天然の微生物などの生産物となっており、まだまだ知られていない生理活性物質は多く存在すると考えられています。
私が勤務していた研究所もこういった分野に力を入れており、主に各地の土壌から新しい微生物を探索し、その生産物を調べていました。私もその協力として、出張や私用で地方に行ったりした時は、地表から5センチ程度のところの土をスプーン1杯ぐらい持ち帰るということをずいぶんやっていました。
海外からも持ち込んだりしていたようですが、本来これは禁止されており、やや気持ち悪いところもありましたので、私はやりませんでした。こういった天然物の探索研究の難しさや面白さは、また別な機会に書くかもしれません。
さて今回の薬剤ですが、脳梗塞の治療に使われる血栓の溶解剤は、発症による炎症で血管がもろくなり、出血リスクが高まるため発症後4時間半までしか使えないとされています。今回ティムスが開発する治療薬は、血栓の溶解に加え、炎症を抑える働きもあり、発症後12時間まで活用の幅が広がると期待されています。
同社は東京大学医学部で健常者を対象にした臨床試験で安全性を確認しています。発症後12時間の有効性などを調べる第2段階の臨床試験に着手しています。
本年6月には、アメリカ製薬大手のバイオジェンと契約し、一時金約4億円を受け取り、開発や販売が成功すればさらに資金が得られるようです。
共同研究者の東京農工大学は、創薬には時間がかかるが、早ければ5年後には実用化のめどがつけられると述べています。やはり新薬の開発には非常に長い時間と膨大な費用が掛かりますが、こういったベンチャー企業の挑戦的な取り組みには応援しながら期待したいと思っています。