遺伝子操作した免疫細胞を体内へ戻してガンを治療する「CAR-T細胞療法」の開発が進み、実用化研究がスタートしました。
名古屋大学病院で、2018年2月から急性リンパ性白血病に対して臨床試験が始まっています。
急性リンパ性白血病は、骨髄で作られる血液細胞の内、リンパ球が幼い段階でガン化し無制限に増殖する白血病です。成人では比較的まれで10万人に1人程度発症率ですが、2~4歳の小児で最も頻度が高く10万人に7~8人発症し、小児では最も多い病気です。
このなかで骨髄移植をしても再発してしまうような難治性の症例に対して、この「CAR-T細胞療法(キメラ抗原受容体遺伝子導入T細胞療法)」が有効とされています。
この治療法は、免疫に関与する治療ですが、免疫チェックポイント阻害薬とは異なり、患者自身の免疫細胞を体外に取り出して、遺伝子操作で加工したものを体内へ戻して、ガンを攻撃するという治療です。
CAR-T細胞とは、キメラ抗原受容体(CAR)の遺伝子を導入したT細胞という意味で、免疫細胞の一つです。白血病細胞の表面にあるCD19という抗原を認識できる抗体とT細胞を合体させ、ガンを敵として認識する力と攻撃力を併せ持った細胞にします。
体内に入れると、標的とするガン細胞を見つけて攻撃し、同時に自らも増えていくメカニズムを持っています。この細胞療法は。2017年8月アメリカで0~25歳の患者に対して承認され、臨床試験では骨髄移植も駄目であった患者の80~90%で、治療後ガン細胞が検出されない完全寛解に至りました。
ただしアメリカで承認されたこの治療法は、安全対策や施設整備にかなりの費用が掛かり、薬価のみで5300万円と高額になっています。名古屋大学で開発した酵素ベクター法では、遺伝子導入のコストは10分の1程度に抑えられる見込みです。
既に始まっている臨床試験では、16~60歳の骨髄移植後に再発した人、3人を対象に行い、安全性が示せたらさらに3人、次にCAR-T細胞を3倍に増やして3人と順次評価していきます。この方法では再検証を入れても24人で終了する予定です。次が第2相試験と進み、数年後には新薬として保険承認を目指しています。
ただしこの治療はサイトカイン放出症候群という副作用があり、高熱や血圧低下、ショック症状などが起こる可能性があるため、ICUで管理する必要があるようです。
この治療法はさまざまなガンの抗原を認識できる抗体を見つけて使えるようになれば、他の血液ガンや固形ガンでの実用化も可能になると期待されています。こういった新たな免疫療法も徐々にではありますが、確実に進展しているようです。
名古屋大学病院で、2018年2月から急性リンパ性白血病に対して臨床試験が始まっています。
急性リンパ性白血病は、骨髄で作られる血液細胞の内、リンパ球が幼い段階でガン化し無制限に増殖する白血病です。成人では比較的まれで10万人に1人程度発症率ですが、2~4歳の小児で最も頻度が高く10万人に7~8人発症し、小児では最も多い病気です。
このなかで骨髄移植をしても再発してしまうような難治性の症例に対して、この「CAR-T細胞療法(キメラ抗原受容体遺伝子導入T細胞療法)」が有効とされています。
この治療法は、免疫に関与する治療ですが、免疫チェックポイント阻害薬とは異なり、患者自身の免疫細胞を体外に取り出して、遺伝子操作で加工したものを体内へ戻して、ガンを攻撃するという治療です。
CAR-T細胞とは、キメラ抗原受容体(CAR)の遺伝子を導入したT細胞という意味で、免疫細胞の一つです。白血病細胞の表面にあるCD19という抗原を認識できる抗体とT細胞を合体させ、ガンを敵として認識する力と攻撃力を併せ持った細胞にします。
体内に入れると、標的とするガン細胞を見つけて攻撃し、同時に自らも増えていくメカニズムを持っています。この細胞療法は。2017年8月アメリカで0~25歳の患者に対して承認され、臨床試験では骨髄移植も駄目であった患者の80~90%で、治療後ガン細胞が検出されない完全寛解に至りました。
ただしアメリカで承認されたこの治療法は、安全対策や施設整備にかなりの費用が掛かり、薬価のみで5300万円と高額になっています。名古屋大学で開発した酵素ベクター法では、遺伝子導入のコストは10分の1程度に抑えられる見込みです。
既に始まっている臨床試験では、16~60歳の骨髄移植後に再発した人、3人を対象に行い、安全性が示せたらさらに3人、次にCAR-T細胞を3倍に増やして3人と順次評価していきます。この方法では再検証を入れても24人で終了する予定です。次が第2相試験と進み、数年後には新薬として保険承認を目指しています。
ただしこの治療はサイトカイン放出症候群という副作用があり、高熱や血圧低下、ショック症状などが起こる可能性があるため、ICUで管理する必要があるようです。
この治療法はさまざまなガンの抗原を認識できる抗体を見つけて使えるようになれば、他の血液ガンや固形ガンでの実用化も可能になると期待されています。こういった新たな免疫療法も徐々にではありますが、確実に進展しているようです。