ごっとさんのブログ

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深刻な「クスリ不足」に至った現状

2022-07-03 09:48:41 | 
先日クリニックに行き喘息の吸入薬を処方してもらいましたが、かみさんのアレルギー性鼻炎の薬や胃薬も別に不足してはいないようでした。

ジェネリック医薬品メーカーの不正製造をきっかけに、昨年の夏ごろから全国的な薬供給の不足が始まり、現在も改善の気配はないようです。

ジェネリック医薬品は、先発医薬品(新薬)と同じ有効成分を含んでいて、同等の効能があると厚生労働省が認めた医薬品を指します。新薬のような開発費がかからないため、薬価が3〜5割ほど安くなり、患者の負担が軽減されるものです。

医療費を削減したい政府は、将来的に医療機関で処方されるクスリの8割をジェネリックに置き換える方針を出しています。実は私はこのジェネリック医薬品を嫌っています。

私は長年新薬開発に携わってきましたが、候補が見つかってからの膨大な動物実験から、莫大なコストがかかる臨床試験を経て、開始から10年以上の年月と手間暇をかけて実用化に至るものです。

こういった苦労を全くせず、特許切れとなった医薬品の製造法を少し変え、安価に発売するというジェネリックがどうも好きになれないのです。

さてジェネリックへの転換が急速に進むなか、2,020年12月にあるメーカーが製造する水虫治療薬に睡眠導入剤が混入し、全国で健康被害が出ていることが発覚しました。この件についてはこのブログでも取り上げ、同じ医薬品メーカーとしてあり得ない事態だと糾弾しました。

これを受けて全国で立ち入り調査や自主点検が実施された結果、複数のメーカーで製造工程の問題が見つかり、2021年から2022年にかけて9つの会社に相次いで業務停止命令が出る事態となりました。

この一連の不祥事によって、医薬品の出荷が次々にストップしました。あるクスリの出荷が停止すると同じ成分のクスリを製造しているメーカーに注文が殺到することになりますが、製造や供給量には限界があるため、全てに対応することは難しいのです。

さらに新型コロナの世界的流行やウクライナ侵攻などの影響で、バルクとよばれるクスリの原材料の確保や流通に支障が出ました。こうした様々な要因が重なって、全国的なクスリ不足が続いているようです。

日本ジェネリック製薬協会の調査では、今年5月末の時点で約2500品目の供給調整が行われているとしています。治療薬が不足している疾患は多岐にわたっているようですが、この問題がどの程度深刻なのかはよく分かりません。

若干負担が増えますが、ジェネリックから先発薬へ替えればそれなりの対応ができるようです。私としてはジェネリックを使うつもりはありませんので、身近な問題とはならないような気もします。


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