内的自己対話-川の畔のささめごと

日々考えていることをフランスから発信しています。自分の研究生活に関わる話題が多いですが、時に日常生活雑記も含まれます。

いつまで続くの、大学封鎖

2018-04-18 20:57:44 | 雑感

 結局、今日も一日、大学の主要な建物は封鎖されたままだった。午前8時半に大学からその旨連絡がメールで入った。封鎖されている建物のリストの中に、私が担当している近世文学史が行われる建物も入っている。これじゃあ、今日も授業はできないなぁ、これで2週続けて休講にせざるをえないだろう。そう思いつつも、先週の轍を踏まないために、ぎりぎりまで大学からのメールを待った。しかし、なんの連絡もなし。
 授業開始2時間前の午後2時になって、その授業を受けている学生の一人から、「先生、今日の授業あるんですか。鉄道ストもあるし、クラスの皆、どうすればいいか、わからないで困っています」と問い合わせメールが入る。これはもうしかたがない。「わかった。今日も休講にするから、すぐにクラスの皆に伝えて」と返事し、その直後に、クラスのメーリングリストで同内容のメールを送信。
 それでも、やはりこの眼で大学の様子を確かめようと、ほとんど初夏のような陽気の中、自転車でキャンパスに向かった。
 春陽煌めく青空の下、キャンパスの芝生には、寝そべってダベっているペア、胡座をかいて車座になって楽しげにおしゃべりしているグループ、眩しさをサングラスで避けながら個々それぞれにパソコンをいじっている学生たちが、まるで現に進行中の反対闘争などどこ吹く風といった風情で、楽園的な気分を醸し出している一方、閉鎖された建物の前には、民間の警備員たちがものものしい出立ちで緊張感を漲らせている。
 そんな奇妙なコントラストに彩られたキャンパスを自転車でぐるっとひと回りして、主要な建物が閉鎖されていることを確認してから、帰路につく。
 今日の記事の右上に貼り付けた写真は、封鎖された大学宮殿正面玄関。横断幕には、「選抜反対!」「君の学部を封鎖せよ!」とある。
 改革案を集団闘争で潰すという戦術は、近代フランスのお家芸である。現況を相撲に喩えて言えば、アッという間に土俵際まで追い詰められた学生・教職員組合側がかろうじて俵をつたい、差し手を巻きかえ、体制側を土俵中央に押し戻しかけようとしているといったところか。今週末の春のヴァカンスの水入り(そう、何があろうとヴァカンスはあるのである)前が勝負どころであろう。
 私はといえば、審判員の脇の砂かぶり席で固唾を飲んで勝負の行方を追いながら、自分に課せられた仕事は、これを「明鏡止水」の心境で「粛々と」行なっているんである。