内的自己対話-川の畔のささめごと

日々考えていることをフランスから発信しています。自分の研究生活に関わる話題が多いですが、時に日常生活雑記も含まれます。

フランスの大学に歴史上初めて全面的に導入される事実上の選抜制度

2018-04-15 18:03:50 | 雑感

 昨日土曜日は、自宅で一日、日本学科入学希望願書の順位づけ作業に明け暮れた。
 ある一定のパラメーターをコンピューターに入力しては順位を計算させ、出力の結果にどう見ても不整合な順位づけがあるのを見つけては、該当する願書の内容を確認して、原因がどこにあるのかを突き止め、それに応じてパラメーターを変更し、新たに順位を出力して、順位の変化を見るという作業を十数回繰り返した。
 この作業過程で、相矛盾する二つの操作を繰り返し行う。一方で、機械に数値を入力して「客観的に」計算させる。他方、その結果を確認する過程で、必要に応じて志願者の高校の各科目の成績を調べ、志望動機書を読み、他の志願者のそれらと比較して、どちらの志願者を上位に置くか「主観的に」判断する。そして、その判断が反映されるように、パラメーターの数値を変更し、機械に「客観的に」計算させる。これら一連の作業を「主観的に」見て整合的な順位づけに落ち着くまで繰り返すわけである。
 夕方、一応その作業を終え、結果を同僚たちに送信し、確認を依頼した。おそらく、これから一ヶ月間、この一連の作業を数回繰り返すことになるだろう。審査委員長である私と審査員である同僚三人とが全員合意に達した順位づけを、この審査のために国家教育省によって今年度初めて開設されたサイト上で5月半ばの締切りまでに確定するまでそれは続く。
 そして、その直後には、「条件付き合格者」を何位からにするか、それらの合格者にどのような補助的カリキュラムを提供するか等々を検討する話し合いが続く。
 これらすべての作業は、フランスの大学では過去にまったく前例がない複雑で神経を使う作業である。もっとも、これには一つ注記が必要である。というのも、書類選考による選抜は、フランスの大学でも、一部ではすでに導入されていた。事実、私自身は、前任校で責任者をしていた学科が途中から選抜システムを導入したので、書類選考の経験がある。4年間、毎年5月半ばに300通以上の願書を5日間で全部読み、自分で作ったExcelの表計算式で順位づけしていた。
 今年、事実上の選抜制度がフランス全大学に史上初めて全面的に導入されるのである。それに最初に携わる「名誉」を与えられことを心から誇りに思う……わけねーだろ!