こころとからだがかたちんば

YMOエイジに愛を込めて。

2011年6月2日 木曜日 Style Council「Paris Match (Tracey Thorn Version)」'84

2011-06-02 19:58:14 | 音楽帳
パンクを発火点とした自らの人気バンド=ザ・ジャムを捨て去り、もっと自分がやりたい音楽をやるんだと、1983年にスタイル・カウンシルをミック・タルボットと2人で結成したポール・ウェラー。

彼にとってのザ・ジャムは、1982年の段階で、束縛されたバンドでしかなかった。

テクノの反動で起きたニュー・アコースティック・ムーヴメント。
1983年には多くのそういった音楽が出てくる。

スタイル・カウンシルの最初の頃のシングルを集めたミニ・アルバム「スピーク・ライク・ア・チャイルド」が日本で発売されたのは、1983年9月。



この夏には、このミニ・アルバムが発売される前から彼らのシングルをよく聴いた。
ペイル・ファウンテンズなどと混じりながら。

ザ・ジャムの束縛から放たれたポール・ウェラーの新しい音楽を創るヨロコビが音に満ちていた。

その後、多くの女子大生及び「表層的オシャレ主義者」に誤解を招く問題作「カフェ・ブリュ」が1984年3月に発売される。



ミニ・アルバム「スピーク・ライク・ア・チャイルド」に入っていた、ポール・ウェラーの真剣な悲惨なバラード「パリス・マッチ」が、「カフェ・ブリュ」に再度収録されている。

但し、歌うは80年代の産み出した天才ヴォーカリスト=トレイシー・ソーン。
原曲にあった真剣さも悲惨さもみじんも無い。
ただ美しく、聴いているとうっとり酔ってしまいそうな別世界へのいざない。

原曲も良いが、生きるチカラの薄い今の自分には、トレイシー・ソーンのヴァージョンの方が、カラダに沁み込んで来る。

素晴らしいの一言に尽きる。

コメント (1)
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2011年6月2日 木曜日 ニーチェ「神の死」

2011-06-02 06:45:54 | 詩、セリフ・・・そして、コトバ

【フランシス・ベーコンの好きな絵 「トリプティック」】

狂気の人。
君たちはあの狂気の人のことを聞かなかったか?

真昼間、提灯をつけて広場に出てきて、ひっきりなしに、
「俺は神を探している!
俺は神を探している!」
と叫んだ人のことを。
広場にはちょうど神を信じない人たちが大勢集まっていたので、彼はたちまちひどい物笑いの種になった。

神様が行方不明になったのか?
と或る者は言った。
神様が子どものように迷子になったのか?
と他の者は言った。
それとも隠れん坊をしているのか?
我々が怖いのか?
船に乗ったのか?
移民というわけか?
彼等は口々に叫び笑った。

狂気の人は彼等の中に飛びこみ、鋭い目つきで睨みつけた。
「神が何処へ行ったかって?」
と彼は叫んだ。
「お前たちに言ってやろう。
我々が神を殺したのだ。
お前たちと俺が!
我々はみんな神の殺害者だ。
だが、どうしてそんなことができたのだ?
地球を太陽から切り離すようなことを、どうしてやってしまったのか?
我々はどっちへ動いているのか?
我々は無限の虚無の中を、さ迷って行くのではないか?
寒くなってきたのではないか?
絶えず夜が、
ますます暗い夜がやって来るのではないか?
真昼間から提灯をつけなければならないのではないか?
神を埋葬する墓掘り人たちの騒ぎは、未だ聞こえてこないか?
神の腐る匂いが未だしてこないか?
神は死んだ。
神は死んだままだ。
そして我々が神を殺したのだ。
世界がこれまで持った、
最も神聖な、
最も強力な存在、
それが我々のナイフによって血を流したのだ。
この所業は、
我々には偉大過ぎはしないか?
こんなことが出来るためには、
我々自身が神々にならなければならないのではないか?」

ここで狂気の人は口をつぐみ、改めて聴衆の顔を見た。
聴衆もまた押し黙って、いぶかしげに彼を見つめた。

ついに彼は、提灯を地面に投げつけた。
提灯は壊れて消えた。
「俺は早く来すぎた」
と彼は言った。

「まだその時ではなかった。
この恐るべき出来事は目下進行中なのだ。
まだ人間たちの耳には達していないのだ。
電光と雷鳴は時を要する。
実際に起こった後でやっと、人の目に入り耳に入る。
この所業は、人間たちには最も遠い星よりもまだ遠いのだ。
…にもかかわらず、彼等はこの所業をやってのけたのだ。」

なお人々の話では、この狂気の人は、その日あちこちの教会に押し入り、そこで、神のレクイエムを歌った、という。

外に引きずり出され詰問されると、彼はいつもこう答えたということだ。
「教会とはいったい何だろう?
神の墓穴、その墓碑でなければ?」(ニーチェ)
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