与野市という市があった。
今はない。さいたま市に飲み込まれてしまった。
しかし、多くの伝説を持った、いい市だった。
与野市は非常に小さい市だった。
地図に針を刺すと消えてしまうくらいの大きさだった。
よく幹線道路などで、市境を越えると「ここは××市です」とかいう表示がある。
与野市の場合は市役所に大きく「ここは与野市です」と書いてあった。
与野市民の60%が自分のところの市長の名を知らないが、70%の人は浦和市の市長の名が言えたらしい。
そんな小さな与野市に住んでいる人にも、楽しいことがあった。
新聞の一面に「与野党」という言葉が出るたびに「与野」が天下を取ったんだと思い、ほくそえんだという。
そんな伝説があったのを思い出してここに記してみた。
多分、「嘘」だと思う。
あくまでも「多分、嘘」。