国語屋稼業の戯言

国語の記事、多数あり。国語屋を営むこと三〇余年。趣味記事(手品)多し。

二次元彼女でもデートDVは可能(救出版)

2020-09-28 15:26:50 | 戯言

デートDVという言葉がある。

●専門家による講演会で生徒らと学んだんだが、その後、ある生徒が深刻な顔でやってきて言った。

●「先生、僕、デートDVされています」

 「え? 君はスマホの中に彼女がいるんだろ。君の発言でスマホの温かさは彼女の温度という言葉は忘れられないよ」

 「もう知らないんだからとか、バッカじゃないのとか言われるんです。これって心理的虐待ですよね。

  しかも、課金をしないとダメなんです。これって経済的暴力ですよ」

 「落ち着け」

 「しかも、リアルで友人が減るくらいスマホを見ないといけないんです。これって社会的隔離にあたりますよね」

 「お前が大変なのはわかったから、落ち着け」






●生徒から聞いた話が原型だから、元ネタはあるのかもしれない。

●たぶん、フィクション。事実でないことを祈る。

●2014/07/12の記事に加筆。

 

 

 

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祝!雑貨屋ワザト【YouTube上にしか存在しないお店】開店!

2020-09-27 15:46:16 | 戯言

雑貨屋ワザト【YouTube上にしか存在しないお店】

●ひさしぶりのいっぺいちゃんねるの更新である。だよね、少なくともうちのブログでは最近、紹介していないよね。

●で、だ。

 ここがYou Tubeでのいっぺい氏の発信拠点になるのか。

●いっぺいちゃんねるの紹介してくれるグッズ類は私のようなマジシャン(ゆるい・演じるのが下手・片付けるのが下手・ジョーク好きなど)には非常に参考になる。

 たとえば、スキマ型ワゴンの紹介などはありがたかった。部屋の一部が雑貨屋さん気分♪

 また、パイの実名前入れ作り方は親戚様の出産祝いに贈ったところ、非常に喜ばれた。

 さらに【宴会芸】ミスターマリック 割り箸スプーンは出すだけで笑いが起きる。

●今回の部屋の紹介でもところどころ、くすりとしてしまうところがある。

 部屋の電気をつけるところとか。

●マジック好きの方も、そうかやはりきちんとマジックをされている方なんだなと思えるシーンもある。飾り方がかっこいい。

雑貨屋ワザトのネットショップがあることにも気づいた。なかなかユニークなショップではないか。

●「代表取乱役・猫ミー(たまに出勤)」(動画紹介文より)の活躍も含めて期待大だ。

 

 

※動画への高評価、コメント、またチャンネル登録など、よろしくお願いします。

 

 

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マジックのリハビリと日記105

2020-09-26 21:00:52 | マジックのリハビリと日記

●某日。

 リンクを賜る。『MY WAVE(マイ・ウェーブ)DVD+「おまけ原稿」解説書』(ショップページへ)のレビュー記事にである。

 マンスリーマジックレッスンショッパーズからのリンクである。

 そこにはこうあった。

 【ニュース!】2020/9/23
 奇術研究家国語屋さんのブログで紹介されました!
 国語屋さんの商品レビューはこちら!→「国語屋稼業の戯言」

 そうか、おいらは「奇術研究家」だったのか。自覚していなかったぞい。永遠の初級者だと思っていた。

●某日。

 『映像研には出すな』のドラマ版DVDを本編だけだが、見終わる。面白かったが、原作もアニメも見ていないのだが、原作ファンやアニメファンの評価は厳しいんだろうなと思ったり。おいらは実写化が苦手だったからなあ。

 映画は県内で一か所、それも遠いところでの上映なので映画館で見るのは諦める。

 早く映画版のDVD出ないもんかね。気が早すぎるか。

●本日。

 マジックを趣味とする友人と会う。

 他人様に会うのが久しぶり。況やマジックを見せるをや。

 見せたマジック。

 『まぜまぜフォアエース』。混ぜさせるのが不思議とのこと。ですよねえ。

 『MY WAVE(マイ・ウェーブ)DVD』より「J-WAVE」「β-WAVE2」を演じる。これはDVDも渡した。

 『シックス・セブン』(リンク先は動画)。驚かれた。種明かしは我慢。友人は必死に追って考えていたが、諦めていただく。ちなみに一度しか見せていない。サーストンの三原則をわりと守るタイプ。

 『J(ジャック)はペンキ屋さん』。解説書がよく読めなかったので、友人と一緒に解読する。ちなみにこれもプレゼントした作品。しかし、読解力がなくなったもんだ。

 『J(ジャック)はペンキ屋さん』は面白い作品だねえ。カラーチェンジ好きの友人の好みにもあったようだ。

 ちなみにこちらがもらったもの。リンゴ、梨、喫茶店代。なによりも友人が会いに来てくれたことかな(キラリ)。

 友人に見せてもらったマジック。キングの出現からのキングの裏のカラーチェンジからのエースの出現。カラーチェンジから始まるのは良くなさそうですよねえ。エンディングにカラーチェンジにしたいですよねえと友人は話していた。

 雑談の中で『映像研には出すな』の話をしたところ、面白そうな話ですねとのこと。来月、友人に貸すことにする。

●来月はテンヨーの新製品とキューブマジックを見せる&共有する予定。

テンヨー 2020 MAGIC NEWS ONLINE

 新製品は来月入手できるはず。キューブマジックはダブっているやつをプレゼント。

●人と会ったり手品やったりして疲労した。しかし、楽しかった。来月も機会があると良いなあ。

 

 

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MY WAVE(マイ・ウェーブ)DVD+「おまけ原稿」解説書(mML特別サービス)

2020-09-22 18:16:45 | マジック

●先日、B'waveへのトリビュートである『MY WAVE』(ショップページへ)が来た。「ウェーブ系」(ショップページにて詳述)だけを扱った珍しいDVDである。

大きく分けると「J-WAVE」「β(ベータ)-WAVE」「R-WAVE」と三種の系統のマジックが入っている。「ウェーブ系」の3色パンというわけだ。細かく分けると5作品(※)である。

MyWave

●以下、感想など。

●まずは「J-WAVE」から。なにせ、「ある意味(制作側の意図としては)、これが今回のDVD制作の主目的となります」と書かれている作品だから、重要なのかな。

 私はmMLオリジナル製品『コットンコインシデンス』の「ボーナス原稿」としてついている頃から楽しんで演じていた。

 初めて解説書を読んだときは、「こうくるかあ!」と驚いた。とある高名なマジシャンの方がバランスがいいよねとおっしゃっていたとか、いないとか。

 しかも易しい。話術にしてもカードの扱い方にしても、易しい。

 DVDと違う演じ方としては、初めの語りの間に机の下でナニをアレしておくと、仕事が半分で済む。ま、普通に演じていた方がいいけど。とにかく易しいので、初心者、入門者にも向いている。

 また、南部信昭氏の<導入部の付加ハンドリング>を使用すれば中上級者の方も楽しめるのではないだろうか。

 なお、このDVDの「おまけ原稿」解説書(mML特別サービス)はとても重要。重要なセリフや演じ方が書いてある。「J-WAVE」とか読んでいるといないとでは大分違うんじゃないかな。

 ちなみに私はたまに「へこんでますよねえ」などと言いながら演じることがあるが、それが正しいかどうかは、DVDおよび「おまけ原稿」をご覧になった方の感想に任せることにする。買おう。

 そういえば、この作品には欠陥がある。それは「タネあかし」をしたくなるのだ。特にマジシャン相手に演技してしまった後に。サーストンの三原則の原則3「タネ明かしをしてはならない」を持ち出すことなく、やってはいけない。「秘すれば花」というやつである(っけ?)。

 

●次に「β(ベータ)-WAVE」だが、現象はとてもわかりやすい。

 商品紹介のページから引用すると「想像力をテーマにした演出で、選ばれたマークのカードだけが
存在する、という方向性のトリック」である。例えば観客がスペードを選んだとするとスペードだけが存在し他は別のカードになっているわけだ。そして、さらに現象が加わって終わる。

 「β(ベータ)-WAVE1」は「おまけ原稿」によると「入門者に近い方にも演じやすい形になっている秀作」とのことだが、私もそう思う。

 そう思うというのは「秀作」であることと「入門者に近い方にも演じやすい形」であることという意味である。マンスリーマジックレッスンの初期の号の技法だけで演じられるのではないだろうか。

 対して「β(ベータ)-WAVE2」も基礎的な技法だけで演じられるシンプルな作品。先の作品「β(ベータ)-WAVE1」と違うエンディングになっているところも良い。

「β(ベータ)-WAVE1&2」はそれぞれ入門者、初心者さんが中級者になるために演じると良いのではなかろうか。

 β版ってほぼ完成したバージョンっていう意味でいいんですかね。それと「B'Wave」と「β-WAVE」をかけて命名されたのだろう。

 中上級者の方はこの作品を知り、「工夫・改良・進歩」(「おまけ原稿」より)させていけばより楽しめるのではなかろうか。

 というか中上級者の方でこそ易しく効果的なマジックを大切にしていると思ふ。

 それに中上級者の方なら「今回収録した3種・4作品は、本家の『B'wave』とは異なり、すべて観客の選択はフリーチョイスとなっています。マジシャンズチョイスが苦手、または嫌いな方にもオススメいたします」(ショップページより)が気になるのではないかと愚考。

 で、だ。

 「おまけ原稿」の「β-WAVE(南部ハンドリング)」には片倉雄一氏の技法(でいいのかな)の解説が載っているのだ。

 ほら、これで中上級者の方も、ますます欲しくなったのではないか。

●そして、「R-WAVE」は「逆転、逆転、また逆転」という感じのマジックである。わかりにくいか。

 まあ、購入して見ていただければわかると思う。

 特にカードの色が一瞬で変化するのは観客にウケるのではないか。

 「R-WAVE」用ギミックリフィル 1枚がついてくることから推理できると思うが、特殊なカードを使う。それだけに鮮やかな変化と結末が待っている。

●どれも1分から2分弱と短いマジックなので、「何かちょっと見せてくださいよ」というときにも便利だし、ショーのどこにでも挟める作品集となっている。

●購入してよかったよ。

 

 

 

 

※細かくわけると5作品というのは「おまけ原稿」に準じて書くと「J-WAVE」「β-WAVE1」「β-WAVE(南部ハンドリング)」「β-WAVE2」で4作品とし、それに「R-WAVE」を加えて5作品ということである。「β-WAVE(南部ハンドリング)」を除いてはどの作品もDVDに演技・解説が入っている。

 

 

 

 

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マジックのリハビリと日記104

2020-09-21 15:33:42 | マジックのリハビリと日記

●以下、順不同。

●某日。

 ゆうきともオンライン一周年記念プレゼントのマジック『シックス・セブン』の復習。

「シックス・セブン」

 初めて見た人は驚くことまちだいなし。

 少なくとも私は驚いた、かなり。

 それが私にもできるっていうんだから嬉しいじゃございませんか。

 「まぜまぜフォアエース」の復習。

 「J(ジャック)はペンキ屋さん」の練習を開始。ペンキ屋さんは練習に入ったばかり。

●某日。

 今度の土曜日にマジックを趣味とする友人と会うことが決定。

 見せる予定の手品の練習をしなくては。

●某日。俳句投稿。

 これにまでなくいい加減な句である。案外、考えすぎないのがよいやもしれぬではないか。

●某日。

 『映像研には出すな』のドラマ版DVDを到着。

 ちまちまと見ている。

 何故にちまちまとかというとベッドに横たわらないとTVが見られないからである。

 そうすると寝てしまうのだ。目が覚めてからでないともったいなくて見られない。

 「ゆうきともオンライン」の基礎講座を見る。とある技法について知りたくてのことである。

 非常に勉強になる。練習しあくては。

●某日。

 『MY WAVE(マイ・ウェーブ)DVD』を予約したが、到着。明日、レビューする予定。

 マジックを趣味とする友人には『Jはペンキ屋さん』『ダブルフェイスプリディクション』『シックス・セブン』『まずまぜフォアエース』、そして『MY WAVE』から2作品ほど演じようかと。

 さて、練習。練習。

 あ。その前に横たわるや。

 

 

 

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MY WAVE(マイ・ウェーブ)が発売だ

2020-09-18 21:47:19 | マジック

●トリビュートの意味を初めて知りました(挨拶)。

 今まで雰囲気で使っていました。だいたい間違っていませんでした。

●どうしてトリビュートを調べたかと言うと 【B'waveへのトリビュート!】MY WAVE(マイ・ウェーブ)DVD という作品集が出たからである。

●以前も書いたやもしれないが、「B'wave(ブェーブ/ビーウェーブ)」が大好きである。たった4枚で奇跡的なマジックができるのだから。

 その「B'wave(ブェーブ/ビーウェーブ)」に対するオマージュのDVDだそうである。

 あ。オマージュの意味も初めて知りました。

 今まで雰囲気で使っていました。だいたい間違っていませんでした。

ビー・ウェーブ(B' Wave)

●で、だ。

 「B'wave(ブェーブ/ビーウェーブ)」に対する「B'wave(ブェーブ/ビーウェーブ)」へのオマージュだりトリビュートであるMY WAVE(マイ・ウェーブ)を購入することを決意。

●4作品入っていて、2作品分のカードもついてくるなんてお得である。1作品500円弱である。4種類、ウェーブ系マジックを演じられると、きっと便利だと思う。

 ただし4作品連続で見せちゃだめだぞ。サーストンの三原則の「同じマジックを繰り返してはならない」に準じたことになってしまう。

 届いたら別にレビューすると思う。そういえば「レビュー」の意味も正確には知らないや。雰囲気で使っています。だいたいあっていると予想。

 

 

 

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リンクを賜る&リンクする

2020-09-16 20:18:35 | マジック

●ゆうきとも師からリンクを賜る。

●私が体感したマジック(「まぜまぜフォアエース」など)を体感なさりたい方、また、いくつかのマジックを見たい方は下↓の動画をぜひぜひ。

 途中、マジックをなさらない方にはわかりにくい話も出てくるが、そこは魔法使い同士の内輪話だと思っていただければ、それはそれで楽しめるのではないだろうか。だよね、きっと。

 トランプを一つ用意してから見ると感動すると思う。

●ついでにマジックを趣味としていない方がマジックを趣味とするきっかけになるとよいなあ。

ゆうきともLIVE特別編その7

 

 

 

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まぜまぜフォアエース(藤原邦恭)を体験した!

2020-09-15 20:00:00 | マジック

●昨日、「ゆうきともLIVE特別編7」をYou Tubeにて生(LIVEだから当たり前か)で観る。

●そこで驚愕したのが藤原邦恭氏の『まぜまぜフォアエース』。

●マジックを趣味とする友人も驚いていた。理系の先生なのでセルフワーキングトリックには強い方なのだが。

手品・マジック [mML Live-94]本格的な「3ボールトリック」!

 3分50秒前後でエースを使ったマジックが『まぜまぜフォアエース』

 そこだけではなくて全部の鑑賞を推奨するけど。

●観客がいくら混ぜても現象が起きる。不思議不思議。

 昨日は画面越しに自分の手で混ぜて配ったので、不思議不思議。

 まさに「まぜまぜ」である。

●本日、マンスリーマジックレッスンの94号を見る。

 まずはこれを覚えて、マジックを趣味とする友人に見せたいと思う。いつ会えるかはわからないんだけれど。

 こちらの体調もね。

●さて、的確な指示をしたりさりげなく動作をしたりするための練習をしなくてはいけないな。

 

 

 

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蟷螂の句

2020-09-11 13:45:31 | その他・雑文

残酷に

 蟷螂とともに

  飯を食ふ

 

※蟷螂(「とうろう」・歴史的仮名遣い「たうらう」、「かまきり」のこと)

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中高生のための内田樹(さま)その43

2020-09-09 19:48:26 | 中高生のための内田樹(さま)

某有名私立大学Wの問題である。さすがに中学生には難しいか。「中高生のための」なのにね。

 

次の文章を読んで、あとの問いに答えよ。

 

 私たちの人生はある意味で一種の「物語」として展開している。「私」はいわば「私という物語」の読者である。読者が本を読むように、私は「私という物語」を読んでいる。すべての物語がそうであるように、この物語においても、その個々の断片の意味は文脈依存的であって、物語に終止符が打たれるまでは、その断片が「ほんとうに意味していること」は読者には分からない。

 それは「犯人がなかなか分からない推理小説」を読んでいる経験に似ている。怪しい人間が何人も登場するが、どれが犯人かさっぱり見当がつかず、プロットはますます錯綜(さくそう)してきて、こんな調子で果たして残された紙数でちゃんと犯人は言い当てられ、不可解な密室トリックのすべては明かされるのか、読者は不安になる。しかし、その不安は本を読む楽しみを(A)ゲンサイするものではない。それは、どれほど容疑者がひしめきあい、どれほど密室トリックが複雑怪奇であっても、「探偵が最後には犯人がみごとに言い当てること」についてだけは、読者は満腔(まんこう)の確信を持って物語を読んでいるからである。

 結末がまだ分からないにもかかわらず、私たちは「いかにも結末らしい結末」が物語の最後に私たちを待っているであろうということについては、いささかの不安も感じていない。私たちが物語を楽しむことができるのは、仮想的に想定された「物語を読み終えた私」が未来において、現在の(1)読書の愉悦を担保してくれるからである。もし、終章で探偵が犯人を名指しして、すべての伏線の意味を明らかにすることなしに小説が終わってしまう「かもしれない」と思っていたら、私たちは推理小説が愉しむことはできないだろうし、そもそも、そんな小説を手に取りさえしないだろう。

 私たちの人生もそれと同じく、「犯人がまだ分からない推理小説」のように構造化されている。けれども、それにもかかわらず私たちが日々のどうということもない些末(さまつ)な出来事をわくわく楽しめるのは、それが「(2)巨大なドラマの伏線」であったことを事後的に知って「なるほど、あれはそういうことであったのか」と腑に落ちている「未来の私」を想定しているからである。私たちの日々の散文的な、繰り返しの多い生活に厚みと奥行きを与えるのは、今生きている生活そのもののリアリティではない。そうではなくて、「私の人生」という物語を読み終えた私である。

 ジャック・ラカンはこのような人間のあり方を「人間は前未来形で自分の過去を回想する」という言い方で説明したことがある。「前未来形」というのは、「明日の三時に私はこの仕事を終えているだろう」というような文型に見られるような、未来のある時点においてすでに完了した動作や状態を指示する時制のことである。

 私たちが自分の過去を思い出すとき、私たちはむろん「過去に起きた事実」をありのままに語っていない。私たちが過去の思い出話を語るとき、私たちは聴衆の反応に無関心であることはできないからだ。ある(B)逸話について聴き手の反応がよければ「おお、この種の話は受けがいいな。では、この線で行こう」ということになるし、ある逸話についての反応がかんばしくなければ「おっと、この手の自慢話はかえって人間の価値を下げるな」と軌道修正を行う。私たちが自分の過去として思い出す話は。要するにその話を聞き終わったときに、聴き手が私のことを「どういう人間だと思うようになるか」をめざしてなされるのである。話を聴き終わった未来の時点で、聴き手から獲得されるであろう【 X 】をめざして、私は自分の過去を思い出す。このような人間の記憶のあり方をラカンは「前未来形で語られる記憶」と称したのである。

 それと同じことが、私たちが私たち自身の現在を物語として「読む」ときも起きている。私たちは、今自分の身に起きているある出来事(人間関係であれ、恋愛事件であれ、仕事であれ)が「何を意味するのか」ということは、今の時点で言うことはできない。それらの事件が「何を意味するのか」は一〇〇%文脈依存的だからである。

 「その事件が原因で私はやがてアメリカに旅立つことを(C)ヨギなくされたのであった」とか「その恋愛事件がやがて私の身に思いもよらぬ悲劇を引き起こそうとは、そのときは誰一人知るよしもなかった」とか「【 Y 】」とかいうナレーションは、物語を最後まで「読んだ私」にしか付けることができない。

 私たちはその「ナレーション」をリアルタイムでは聞くことができない。

 しかし、それにもかかわらず、私たち自身が恋愛事件のクライマックスや喧嘩(けんか)の修羅場を迎えているときに、その場の登場人物の全体を(D)俯瞰(ふかん)するカメラアイから自分を含む風景を見おろし、そこに「ナレーション」がかかり、BGMが聞こえてくるような「既視感」にとらわれることがある。というか、そのような既視感にとらわれることがなければ、私たちはそもそも自分が「クライマックス」に立ち会っているとか、「修羅場」に向かっているというような文脈的な位置づけをすることさえできないはずである。

(内田樹『街場の現代思想』)

問一 傍線部A・Cを漢字に直せ。

問二 傍線部B「逸話」・D「俯瞰」の意味として最も適当なものを、次のイ~ニの中から一つずつ選び、記号で答えよ。

B イ 皮肉な言い回しを含んだ批評的な話

ロ おもしろおかしい荒唐無稽(むけい)な空想話

ハ そのものの特色を最もよく現すたとえ話

ニ 世間にあまり知られていない興味深い話

D イ 全体を上から見る

  ロ 定期的に一点から見る

  ハ さまざまな角度から総合して見る

  ニ 中心点を決めて前後を見る

問三 傍線部(1)「読書の愉悦を担保してくれる」の内容として最も適当なものを、次のイ~ニの中から一つ選び、記号で答えよ。

 イ 読書すること自体で学べる内容を娯楽に優先して確保してくれる

 ロ 読書することにより必要な情報を効果的に摂取する

 ハ 読書することで感じる快感をすべてのものに優先する

 ニ 読書すること自体で得られる楽しみを保証してくれる

問四 傍線部(2)「巨大なドラマの伏線」の内容として最も適当なものを、次のイ~ニの中から一つ選び、記号で答えよ。

 イ 人の一生において後に起こる出来事をあらかじめほのめかしておくこと。

 ロ 人の一生においてすでに起こった出来事をすべて肯定的にとらえること。

 ハ 人の一生においてすでに起こったことと今後起こることを並列すること。

 ニ 人の一生において起こることはすべて予想不可能であると達観すること。

問五 空欄【 X 】に入る最も適当なものを、次のイ~ニの中から一つ選び、記号で答えよ。

 イ 先験的な洞察や直感や配慮  ロ 網羅的な管理や指導や経営

 ハ 人間的な信頼や尊敬や愛情  ニ 社会的な賞賛や評価や報酬

問六 空欄冒頭【 Y 】に入る最も適当なものを、次のイ~ニの中から一つ選び、記号で答えよ。

 イ 私は常に賞賛と喝采とを期待して、一瞬たりとも努力を惜しまない勤勉な役者であ   る

 ロ いったいどれくらいこの会社に投資したら、その傾いた経営状態を改善させることになるのだろうか

 ハ 結婚式が滞りなく進行するために大切なのは、司会者の人選を間違えないことである

 ニ 結果的にはそのとき病気になって転地したことが幸いして私は震災を免れたのである

問七 本文が述べている内容と合致するものが次のイ~ニの中に一つある。それはどれか。記号で答えよ。

 イ 人生の途上では、将来についての予測をすることは極めて困難である。私たちは、新たな局面を切り開いていこうとしながらも、結局は「文脈依存的」な選択に陥りがちなので、常に自分をはげましてくれる周囲の意見を参照しなければならない。

 ロ 私たちは、人生の結末をともすれば悲観的にとらえがちである。しかし、人生は「犯人がまだ分からない推理小説」のように構造化されているので、先々のことに思いわずらうよりも、繰り返しの多い生活に日々努力して厚みと奥行きを与える方がよい。

 ハ 私たちは、自分の人生を振り返るとき、とるにたりないような小さなできごとや重大なことがらを、自身の意識の中で組み合わせて、独自の「物語」を構成している。そして、現実に人生を生きつつ、同時にその「物語」を味わってもいるのである。

 ニ 恋愛や喧嘩の際に、その先、それらがどのような展開を見せるかについては全く予想不可能である。にもかかわらず、私たちの中に「ナレーション」が聞こえてくるとすれば、それらは「既視感」にとらわれた恣意(しい)的なものなので、信じてはいけない。

 

 

 

 

問一 A 減殺  C 余儀(他の方法のこと)

問二 B ニ  D イ

問三 ニ  愉悦・・・楽しみ  現在読書をしているのは後で犯人がわかるという保証があるから。

問四 それ=些末な出来事=巨大なドラマの伏線

 未来の私=巨大なドラマ=×今生きている生活そのもののリアリティ

すでに起こった× ロ・ハ

予想不可能×

あらかじめほのめかしておくこと=伏線  ○イ

問五 自慢話は値打ちを下げる  聴き手(社会×)  ○ハ

問六 問四・・・伏線   とか(並列  恋愛事件が原因で悲劇

 解答 ニ 病気によって転地が原因で震災を免れた

問七 イ 文脈依存・・・将来を予測している  ×

ロ 悲観的? 日々努力

ハ ○ 構造化=「物語」を構成

ニ 信じてはいけない×

 

 

「中高生のための内田樹(さま) その31」も参照のこと

 

 

 

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