●マジックバーでチップを払ったことはない。
なんだろう、見るのが当たり前の空間だからか。
払う方が良いんですかね、マジックバーでチップ。
まあ、マジックバーに行った経験は少ないんですが。
( ゚д゚)ハッ!
あれか、「一杯、どうぞ」ってドリンクを飲んでもらうのがチップの代わりなのか。
それなら都々さんに二度ほど、したことがあるなあ。
●赤坂にあった忍者レストランで外国人のマジシャンに500円のチップを渡したことがあった。
たしか、他の店員を呼んで、さっきのマジシャンに渡してほしいと言ったはずである。
レッドホットママ(シカゴオープナーだったやもしれん)をハートのQでやったこと、チョップカップ(ワンカップだったやもしれん)で最後にショットグラスを出したことぐらいしか覚えていない。
たった、500円だったが、チップを支払う観客はいないらしく、その後、支配人が来て、VIPカードをくれた。
そこで働いていた人間によると、VIPカードを持っている人は少ないらしい。「え。すごぉい」と言われたものだ。
そのレストランに連れていってくれた友人は何度も通っていたが、VIPカードをもらえなかったそうだし。
実際にどれくらい貴重なものかはわからないが、まぁ、VIP待遇を受けたことのない身としては貴重な経験だった。
●私が払った理由は「雰囲気」である。マジシャンが無理に作った「雰囲気」ではなく、レストランの「雰囲気」である。
「品格」と言ってもいい。「品格」のあるレストランで「品格」相応のマジシャンが出てきた。
後はお店の品格に相応のふるまいをしただけである。マジックを愛する者としての行動が皆無であるとは言えないが、ハビトゥスとでも言おうか、私はそうふるまいたかったのである。
●新宿の路上でこんなことがあった。
マジックというよりジャグリングが中心の方だったが、ターベルコースに載っていたシルクマジックを演じていたり、伸びるスプーンをなさったりしていた。
●見ていて楽しかった。この方はエンターティナーだと感じた。しかも、マジックを嗜むものである私には学ぶところあった。伸びるスプーンは今でもこの方の演出(オリジナルな見せ方であるとは言えないが)で行っている。
●私が払ったのは1000円。私が1000円入れた時、「みなさぁん、これが何だか知っていますかぁ、お札って言います」と大声を出し、笑いを取っていらっしゃった。エンターティナーやなあ。
●出した理由は楽しめた、学べた、などがあるが、何より「健気さ」をその方から感じたからだった。
新宿の歩行者天国で笑いを取ること、歓声を出させること、そして、他人を前に怯まないこと。
精一杯を出し切ったがゆえの笑顔も良かった。
これがチップをもらうためだけの演技だったら、萎えたであろう。
ぃゃ、チップのためだけだったかもしれない。しかし、それを感じさせないエンターティナーだったのだ、彼は。
「健気さ」。
これにはチップを渡す価値がある。
私に一番欠けているものだからだ。
●つまり、私は場の「品格」「雰囲気」とマジシャンの「健気さ」にチップを払うのだ。
●恐らくは、店の「品格」を感じなければチップは出さないだろうし、「健気さ」を感じないマジシャンにチップを渡すことはないのだろう。
私はケチなのだ。
●それにしても、初めて来店した客に、しかも、たった500円のチップを出しただけの客にVIPカードを渡したのは、なぜだったんだろう。
当時、ポニーテールにしているデブだったから、何かの業界人と間違えられたのかしら。
※なお、チップではなく尊敬しているあまりに目の前でパフォーマンスをしてくださったら、お布施を渡したくなるマジシャンが数人います。