まず、ここで述べておきたいのはこれは2015年に書かれたものであるということだ。当然、情報としては古いし、状況も変わっていること(例;中央大学法学部の移転など)だろう。このあたりを割り引いて読んでいただきたい。
次にこれは西日本の地方に住んでいる高校生向けに書かれたものである。それも子どもを近畿圏や首都圏に出したくない親御さんが多い地域の高校生向けである。したがって、首都圏の大学の情報に疎い。そういう生徒さんたちに関東の私大について偏見を植え付けるだけでも良いから、名前を一度は目にしたことがある程度で良いから書いてほしいと依頼されたのである。首都圏で予備校講師だったことで白羽の矢が立ったのである。もう10年以上経ったのにである。したがって、各大学に対するイメージも古い。
だが、ここで公開するのは、読んでくれた高校生の方から面白かったですと言われたので愛着があり、忘れがたい文章であること、西日本の地方に住んでいる生徒さんにはいまだに有効な面もあるではないかと思っていることなどがあるからである。
言い訳もこの辺にしておいて以下、記事になります。
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東京近辺の難関私立大学案内
(2015当時)
この記事の目的
東京の私立大学と聞いていくつ思い浮かぶだろうか。東京周辺に進学するというのを選択肢にいれておいて損はない。東京周辺には、多くの職業があり、多くの仕事があるのだから。
今回の記事はせめて東京周辺の大学の名前だけでも知ってもらおう、そうすれば選択肢に出やすいだろうということを意図して書かれている。
常識として知っておく三つの言葉
「早慶上智」「GMARCH」「日東駒専」。
おおまかに言ってしまえば、この三つのランクにわかれる。これは大体偏差値ともリンクしているし、全国区の知名度を誇る大学群なのだ。これだけではわからんという人のために、以下、解説をしておこう。なお、( )内の数字は河合塾の偏差値を目安にしているが、学部学科コースによってまったく違う場合もあるので、詳しくは自分で調べるべし。たとえば、東京農業大学の応用生物科学部は57だが、同じ大学の農学部は49である。だから、あくまでも目安だ。ベネッセでも当然数値は違うぞ。
また、少しでも面白い情報を提供しようとしているあまり、非公式な話やイメージも入っている場合もあるので、あくまでも、参考か、とっかかりで。本気で志望するときは、もっと詳しく正しい情報を入手しよう。
「早慶上智」
日本の私大の最難関大学である。早稲田大学(偏差値67)、慶應義塾大学(偏差値66)、上智大学(偏差値65)の三つの大学である。スーパーグローバル大学創成支援(トップ型)を早稲田と慶応は受けている。
早稲田大学は政経学部を筆頭に文系学部が充実している。文化構想学部、社会科学部、人間科学部など、内容がすぐにわからなかったり、他の学部との区別がつきにくかったりする学部もあり、学生数も学部数も多いマンモス大学である。つまり、あちらこちらの会社に先輩がいる確率が高いということだ。理系も充実しており、基幹理工、先進理工、創造理工学部などがある。名前だけだとイメージがつかみにくいね。
慶應義塾大学は私大と言うものの意外と国立難関大学との相性がいい。というのも、かなりの記述力を必要とする学部が多いのである。国公立の個別試験と相性がいいと言ってもいい。具体的には小論文が多いのだ。また、色々な学部があり、日本を代表する経済学部、法学部、商学部などのほかに、SFCと言われるところに総合政策学部、環境情報学部(62)という新しい学問観に基づく学部もある。総合政策学部は英語と小論文だけで合格できるので、英語が確実にできる人には大逆転もある。話題のビリギャルもここね。理系は医学部がある上に、薬学部、看護医療学部などの医療系が充実している。理工学部も当然あり、真の総合私立大学だと、慶応の知人が言っていた。医学部がない某早稲田大学への皮肉らしい。それだけ早慶は互いをライバル視しているということだね。なお、SFCと同じレベル(62)で理系と文系のどちらも学べるリベラルアーツの代表的大学が国際基督教大学、通称ICU。入試科目に「総合教養」がある、特殊な大学である。私大は普通3教科なのである。AO入試などで講義形式の試験や総合的な入試を経験したことがあり、英語が得意な人は選択肢にいれるといいかもしれない。意外とセンター試験で5科目をバランスよくやっている人間も受けるといいかもしれないな。
上智大学はカソリックの総本山的な大学。なもんで、外国語に強い。英語だけでは職業の選択に限界があるが、英語+α(法律やら経済やら)を身に着けると人生の可能性はかなり広がる。似たような早稲田大学の国際教養学部やICUもいいけど、上智大学には伝統的な強さがある。理系学部に理工学部(62)もあるが、こことほぼ同じ偏差値の私大に東京理科大学があり、理系の名門校である。
GMARCH
学習院、明治、青山学院、立教、中央、法政の各大学の頭文字をならべて、通称GMARCHである。以下、この順序で紹介していこう。
学習院大学(57)、皇室と関係が深かったせいか、おぼっちゃまのイメージもあるやもしれぬが、最近は普通の学生さんもいらっしゃる。以前はMARCHと言われた中に食い込んできたのだからかなりの実力大学である。目白にあり、駅自体は小さいが、隣は池袋という大きい駅があり、遊ぶにもおしゃれにも便利。この大学と同じくらいの偏差値の大学に明治学院大学(56)があるが、西日本では無名に近い(明治大学と紛らわしいせいか)ので、逆に選択肢に入れておくのもいいと思うよ。
明治大学(62)は現在の関東で人気ナンバー1の大学である。キャンパスは都心に3つ、神奈川に1つあるので、自分の志望学部で確認を取ること。ま、いずれも都心に近いか、都心にあるので、就職活動のときも安心である。女子学生の数が上昇しているところ、就職力が高いところなどが人気の背景にあるが、人気校のために競争率があがり、安全思考の高校生には敬遠される傾向にある。
青山学院大学は文系学部(62)のキャンパスが渋谷区中心になり、駅伝効果もあって、人気がある。なお、神奈川の相模原キャンパスには理工学部、社会情報学部などの理系学部(59)がある。
立教大学(60)は文部科学省「スーパーグローバル大学創成支援(グローバル化牽引型)」で大学改革をやっている真っ最中。この牽引型は上智、明治、法政、ICU、芝浦工業、創価など他の私立大学でも実施されているが、危機感を感じての改革であり、真剣さをひしひしと感じる。なぜかというと、昔は立教大学を第一志望にしていた人間は明治大学に合格しても明治大学に進学する人は少なかったのだが、今は偏差値が上の明治大学にいくようになったのだ。昔は校風を重視して進む大学を決めていたんだが、最近は偏差値だけで選ぶなんて、つまらないことになったもんだ。しかし、現状をよしとしない立教大学は建学の基盤である聖公会(イギリス国教会系統)のネットワークなどを駆使して改革に挑むらしい。池袋にあるので、おしゃれも遊びも近くですむよ。オタクの女子にも優しい立地だが、比較的おしゃれな大学なので、意味はあまりないかも。
中央大学(58)は私立大学でかつてはかなりの人気を誇っていたが、八王子(東京の郊外)に移転した後に人気が下がっている。東京の郊外だと人気が下がるのは、遊び場がないだけの問題ではなく、バイトの種類が少なく、就職活動の移動の手間などが増えるためである。都心に戻る予定もあるらしいが、現時点では不明(2015年当時)。法曹界(弁護士さんとかの世界)にかなり強く、法学部は慶応早稲田上智の次(63)である。なお、東京の交通の便のよさは尋常ではなく、山手線の内側にあれば、大体の遊び場や学び場に安く速くいける。地下鉄も利用できればかなり生活が楽しい。その意味でも山手線から遠くはなれた八王子は痛いのだ。逆に言えば八王子でも便利さを感じる一部の地方の人には狙い目かもしれないね。
法政大学(58)はGMARCHの中では下の位置にあるとされることが多い。このランクの私大を明青立法中と言う場合もあるが、いずれにしても人気私大であり、難関であることに変わりはない。ネットだと下だから楽勝などという情報もあるが、それはデマだ。しかし、そのデマのために受験直前期に受験者が増える傾向がある。安全思考の生徒がいきなり受けるわけだ。受験者数は全国4位である。現代福祉学部(54)はねらい目で、一般入試以外の自己推薦入試でも、将来の目標が福祉関係であり、ボランティアや地域・NPOなど(まちづくり)での実績もあると喜ばれる傾向にある。
なお、このランクの人気大学は他に成城大学(新宿から15分)(54)、成蹊大学(吉祥寺=おしゃれ)(54)、文学部が有名な國學院大學(渋谷)(53)があるが、日東駒専ランクと考えてもいい。正確には間かな。國學院大學と国士舘大学(47)を間違わないようにしよう。
日東駒専
日本大学、東洋大学、駒澤大学、専修大学のことである。
日本大学(52)はマンモス大学であり、卒業生は100万人を越え、出身の社長さんも23000人もいらっしゃる。14学部87学科もあり、先ほど(52)などと書いたが、学部学科で全然違うよ。理系の生産工学部だと44前後である。文系でも国際関係学部が48である。ちなみに、48と入りやすいのは東京ではなく、静岡にあるからだよ。しかし、大きい大学であるがゆえに、学びたいことは必ずあるだろうし、コネも広い。なお、芸術学部は特殊な位置にあり、出身者も「日本大学です」と名乗るより「日芸です」と名乗ることが多い。
東洋大学(52)はスーパーグローバル大学創成支援(牽引型)を受けている大学で、「アジアのハブ大学」を目指している大学である。元々、「哲学」を在野(民間のことな)で教えることから始まった大学で、今も「キャリア教育」「国際化」などの普通の大学でも言いそうなこと以外に「哲学教育」を重要なこととしてあげているところに個性がある。個性がある大学は非常に大事だと私見だが思う。
駒澤大学(52)は渋谷から7分ほどの駒澤大学駅のそばである。元は曹洞宗の大学であったが、仏教以外の学部も当然充実している。研究所だけをあげても「禅、仏教経済、仏教文学」に加え、「経理、マスコミュニケーション」などもあり、多くの分野が学べることがわかるだろう。
専修大学(50)は歴史が古い。経済学部は日本で最初にできたくらいである。法学部も私立では最初に法学部ができており、この二つが看板学部である。OBの愛校心が強いとされる大学だと聞いたことがあるが、あくまでもこれは伝聞。でも、愛校心の持てる大学っていいよなと思う。
この前後の偏差値の大学だと二松学舎大学の文学部(51)もある。国語の教員を多く輩出してきた大学である。また、武蔵野大学(51)、武蔵大学(51)大学も関東では有名。大学名が似ているがまったく違うよ。
このあたりで、有名私立女子大学も軽く紹介しておこう。
津田塾、日本女子、東京女子が56ぐらいだが、津田塾大学は国公立大学の個別試験と相性がよい。論述問題が多いのだ。
聖心女子大学(52)は美智子皇后さまや国連弁務官緒方貞子さんらを輩出した名門女子大学である。
白百合女子大学(50)はお嬢様のイメージを持っている人も多い(名前が白百合だし)が、それほどでもないと言う話も聞く。ただ、内部進学の学生とは差があるかもしれない。
どの私立大学でもそうだが、付属高校を持っている場合、内部進学生と外部進学者との間に溝があることが多いよ。
関東に限らないが、私大は多様な入試方法があるので、注意してほしい。全学部統一入試(複数学部を一度の試験で受けられる)やら、センター利用やら、地方入試やらである。その結果として、何度も志望学部を受験できる場合もある。もっとも、学力がない場合、お布施になってしまうことが多いが。「下手な鉄砲数打ちゃ当たる」とは言うが、鉄砲には射程距離があるということを忘れてはいけないぞ。
また、偏差値も、推薦、AO入試で多くの生徒を入学させている大学学部学科は高めに出るので、注意されたし。
この記事を最後まで読んでくれた君は、30以上の大学名を知ったことになる。諸君の目が関東に行くきっかけになれば幸いである。