国語屋稼業の戯言

国語の記事、多数あり。国語屋を営むこと三〇余年。趣味記事(手品)多し。

今さらながら

2021-04-29 20:45:22 | 日記

●最近はまっている(=歴が浅いということだね)ブログに村上暢様の『ロック探偵のMY GENERATION』があるのだが、そこでの「クイーンの名曲を振り返る」を読み、刺激を受けたので、映画『ボヘミアン・ラプソディ』を観た。

 今さらだなあ。

●とは言うものの、いい映画だった。観てよかった。詳しくは言いますまい。というか、資格がないと言うべきか。

●今ならアマゾンプライムで見られるので未見の方には良い機会かと。

 

●今さらながら、テンヨーの『マジックトランプ』の良さを知る。

 いっぺんにマトラ(マトラって業界ではマジックトランプのことを意味するんですって。マトラを1ダースとか)を紹介しようと思っていたが、テンヨーの『マジックトランプ』だけで一記事になりそう。

 写真は下手だし、どないして紹介しようかと思案中。

 妻にはマトラばかり集めてどうするの? と聞かれたし(間接的に注意だと思う)。

 

 

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いっぺいちゃんねるより「FAKE CARDISTRY」

2021-04-27 13:22:31 | マジック
●若き友人、いっぺい氏の動画。かっこいい。コメント欄には外注とある。

●トランプの高級感も良いですね。

●さあ、みんなで自作して、街に出よう。

●動画付きでスマホから初投稿。
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空・雨・鞄・傘

2021-04-26 15:00:00 | その他・雑文

●昨日、思考などのフレームワークを紹介した。その中でもお気に入りが「空・雨・傘」である。空(事実を確認)、雨(状況を予測、解釈)、傘(解決策を選定)というシンプルにしてわかりやすいものだ。親しみやすくて、いいことづくめ。実際の生活にも組み込みやすいものだと思う。

●だが、だ。

●これに蛇足とわかっているのだが、「鞄」を足したい。

●もちろん、状況によっては鞄を必要なしに「傘」を持っていく場合がある。明らかに、確実に「雨」が降る場合などである。しかし、「空」だけで「雨」を100%予測できないことがある。「傘」が折りたたみ式の場合である。意外と多いのではないか。

そこで必要なのが「鞄」である。

●「鞄」というのは、まず、「傘」への過程に必要なのこと・ものなどである。人脈、手段、道具などの類である。

他とのバランスもある。例えば、鞄の容量。キャリアケースなのか、ミニバッグなのか。つまり、自分が持っている鞄の種類は何か。「空・雨・傘」に自分の能力などの要素を入れるわけだ。さらにTPOに応じた「鞄」選びもある。「傘」も「鞄」によって変化するであろう。

●単純に「傘」を選ぶだけで済む場合も多いが、折りたたみ「傘」に備えて「鞄」を考慮しても良いのではないかと思う。

「傘」の負担を多くしないで「鞄」。を間にいれると「傘」=解決策も自分相応かを考えるいい機会になると思うのである。

 

 

 

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マジック、小論文関連のフレームワークなど

2021-04-25 18:15:54 | マジック

マジック及び隣接した分野(マネジメント・音楽・演劇)などの原理、原則、要素、フレームワークなどを集めてみました。そうしているうちに小論文にも使える要素がふえてしまい、表題を「マジック、小論文」という表記にしてしまいました。意外と両者は似ているのかもしれません。なお、これらは客観的な基準に基づいて選んだものではありません。私が気になったもの、目にしたものをあげていっているだけです。

本当は各項目について詳しく書くべきなのですが、ここでは項目だけをあげています。

50音順(だいたいですが)に並べてみただけですが、マジシャンや小論文ユーザーでなくても眺めているだけで多くのヒントや刺激が得られると思います。

今回は以前の記事「2021-01-06」の記事に少々加筆したものです。

いっぺい氏のパフォーマンス3原則

・質問し過ぎない

・説明し過ぎない

・嘘をつかない

OODA(ウーダ)

Observe(観察)

Orient(情勢判断)

Decide(意思決定)

Act(行動)

※「みる」「わかる」「きめる」「うごく」の順で循環させていく。PDCAサイクルより早く動ける。

演劇の3(4)要素

俳優

観客

劇場

(台本・戯曲)

AメロBメロサビAメロBメロサビCメロ(大)サビ

※マジックのショーではいくつかのマジックをつないでいくことが多いのですが、そのショーは直線的に盛り上がっていくのではなく、波のように徐々に盛り上がって下がり、それでいて次の波は前の波を越えていき、クライマックスへ向かっていくというというイメージがあります。その際、日本の歌謡曲の構成によくある「Cメロ」が重要な気がして載せました。

Cメロ(厳密には違うのでしょうが)のイメージとしては『天体観測』の2分40秒のあたりから。この項目は『絶対に楽器を弾かないミュージシャン ユータの公式Webサイト』の「Cメロとは?曲の中の役割や特徴・作り方を解説します。」を参考にさせていただきました。今では「Cメロ(Cmero)とは大サビの前にあるもの?曲の中でのAメロBメロとの関係・特徴・作り方を解説」の記事になったようです。

BUMP OF CHICKEN「天体観測」スペシャルMV

オタクの行動特性の3C

Collection(収集)

Creativity(創造)

Community」(コミュニティー)

漢詩の絶句を組み立てる型

気賀康夫氏

「奇術の心」(『トランプマジック』)

1「自分が幸福に生きるためには、他人の幸福のためにあらん限りの努力をつくべきだ」

2「奇術とは自然法則に反するがごとく見える技を見せて人を楽しませるものである」

3「一に定石、二に実戦」

4「1、種明かしをしてはいけない。

 2、演ずる前に何が起きるかを説明してはいけない。

 3、同じ奇術を同時に二度くりかえしてはいけない」(サーストンの3原則)

5「奇術は勝負ではない」

奇術の主要現象

移動 変化 消失 出現 変化

復元 貫通 浮遊 透視 念動

予言

※カップ&ボールの主要現象

  変化 交換 消失 出現 移動

クランボルツの「計画された偶発性の理論」(Planned Happenstance Theory

好奇心:新しい学習機会の模索

持続性:めげない努力

楽観性:新しい機会を「実現可能」と捉える

柔軟性:信念、概念、態度、行動を変える

リスク・テイキング:結果が不確実でも行動する

KPT(反省するときに考えるべき視点)

Keep(維持していくべきこと)

Problem(問題点)

Try(これからやっていきたいこと)

5W1H

Who(誰が)

When(いつ)

Where(どこで)

What(何を)

Why(なぜ)

How(どのように)

指原莉乃(HKT48)から学ぶ、ビジネスマンにも絶対役立つ!組織で勝ちぬく力10個

・1  自分が何をもとめられているかを考える(ポジショニング)

・2  失敗してもそこから立ち直る、メンタルの強さとリカバリー力

・3  後輩を徹底的にフォローする

・4  個人ではなく、組織にとって良いことを優先させる

・5  超コミュニケーション力

・6  環境によってキャラを変える

・7  先輩にも言いたいことは言う、ただし先輩をたてることを忘れない

・8  好きなことを仕事にする

・9  各環境・ステージにおいて結果をだす

・10 礼儀を忘れない

三大音楽行為

「作曲」「演奏」「鑑賞」

三幕構成

設定 (Set-up)

対立 (Confrontation)

解決 (Resolution)

  ※3つの幕の比は1:2:1

庄司タカヒト氏

クロースアップマジック秘密の心得(『クロースアップマジック秘密のネタ本』より)

「おまじない」は本気で

必ずリハーサルを

極めて謙虚に

セリフに嘘は厳禁

ストーリーの4要素

キャラクター

世界観

ストーリー構成

テーマ

3S主義(原則)

Standardization(標準化)

Simplification(単純化)

Specialization(専門化、差別化)

※チェーンストアの原則

儒教の五徳(五常)

仁(人を思いやること)

義(利欲にとらわれず、なすべきことをすること)(反対語;利)

礼(「仁」を具体的な行動として表したもの)

智(道理をよく知り得ていること。知識豊富なこと)

信(友情に厚く、言明をたがえないこと、真実を告げること、約束を守ること、誠実であること)

  ※孟子は「仁義礼智」を四徳としている。

西洋音楽の3要素

リズム

メロディー

ハーモニー

ソナタ形式

序奏

提示部

展開部

再現部

結尾部

空・雨・窓

空(事実を確認)

雨(状況を予測)

傘(解決策を選定

ダーウィン・オーティスによる明確化のためのポイント

① 要素を複雑にしない

② 観客の記憶に負担をかけない

③ レイアウトを明確にする

④ 余分な挿入を避ける

TPO

Time(時間)

Place(場所)

Occasion(場合)

  ※「時と場所、場合に応じた方法・態度・服装等の使い分け」

TNPREP(テンプレップ)の法則

THEME(主題。テーマ。一番伝えたいこと)

NUMBER(伝えたいことはいくつあるか)

POINT(それぞれの要点)

REASON(その要点を伝えたい理由)

EXAMPLE(具体例)

POINT(最後に要点をもう一度言う)

  ※論文を書くときの順番

南部信昭氏の(個人的に)規定するマジックの三大側面

『マジックカードA.M.A.(復刻版)』より

トリック

パフォーマンス

コミュニケーション

野島伸幸氏のパフォーマンスで意識している三大注意事項(野島伸幸氏のFantiaより)

フレーム=枠を作る

リスクを負う

装飾を活かす

※野島氏のFantiaは刺激が多くおすすめです。

土佐尚子氏京大教授のアート思考のフレームワーク

「発見」

「調査」

「開発」

「創出」

「意味づけ」

舞楽・能楽の構成形式

序  破  急

PDCAサイクル

Plan(計画)

Do(実行)

Check(評価)

Action(改善)

  ※Planでは数値化が重要

PDDSサイクル

Plan(計画)

Decide(絞り込む)

Do(実行)

See(振り返る)

4P・7P・4C

Product(商品、製品)

Price(価格)

Place(流通)

Promotion(プロモーション、販促活動) 以上4P

People (or Personal)(人)

Process(過程)

Physical Evidence(物的証拠) 計7P

Customer Value(価値)

Customer Cost(負担)

Convenience(利便性)

Communication(コミュニケーション) 以上4C

※4Cは顧客からの視点。

弁証法

正  反  合

  ※「合」には「正」「反」の両要素が含まれている

松田道弘氏による奇術の一般的原則(『マジック大全』より)

①意外性を大切に

②シンプル・イズ・ベストは鉄則です。

③effect is everything(効果がすべて)です

④十分に練習してから客に見せること。

⑤「追われていないのに逃げてはならない」

⑥客に挑戦してはならない。

⑦奇術の嫌いな人がいることを忘れてはいけません。

⑧自分自身のパーソナリティに忠実であること。

⑨奇術をはじめるとき、奇術をやめるときの判断が大切です。

⑩奇術をやりすぎないこと。

松田道弘氏の「トリックカード作戦要務令」(『トリックカード事典』より)

1 やさしいトリックというのはない

2 トリック・カードで失敗するな

3 追いかけられてもいないのに走りだしてはいけない

4 メソッドにおぼれるな

5 現象を単純化せよ

6 演者が自信をもって演じないと観客に感銘を与えることはできない

7 トリック・カード・ファラシーにご用心

8 パケット・トリックを独立させた方が現象がはっきりする

9 優秀なトリックに手を加えるな

10 イニシアチブは演者の手に

ゆうきとも師によるマジック3原則

1、つまらない種明かしはしない。

2、説明はシンプルに、短めに。

3、お互いの幸せを考える。

ユージン・バーガーの「人々の欲する三つの事柄

1.自分の存在を認めてもらうこと(APPRECIATION)

2.自分が誰であるかわかってもらえること(RECOGNITION)

3.称賛されること(PRAISE)

吉田豪(プロインタビュアー)の「インタビューの極意3か条」

本人より本人に詳しくなる

サプライズを持参する

敵じゃないことを伝える

ロジェ・カイヨワによる遊びの4要素

アゴン(競争)

アレア(偶然)

ミミクリ(模倣)

イリンクス(めまい)

※その他にもこのような要素、原則もの(マジックあるいはマジックに隣接した分野のもの)がありましたら、教えてください。

 当ブログの読者の方によるオリジナルのものでも結構です。

※今後も項目をこつこつと増やしていくと思います。

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マジックのリハビリと日記119

2021-04-24 19:45:39 | マジックのリハビリと日記

●某日。

 「マトラ」に興味を持つ。気軽な気分で収集することにする。

●某日。

 首都圏時代の知り合い(マジック関係)にメールを久しぶりにする。「マトラ」の話をすると奥深さを学ぶ。

 当方の地元の名産と知り合いの「マトラ」のいくつかと交換することにする。知り合い自身も「マトラ」をどこにいたか自信がなく、五月雨式で送ってくることになる。

 当方は一発で。

●某日。

 国語関係に手を入れる。

 特に「多様性についてのメモ」は自信作。小論文などに応用がきくし、自分自身の確認作業になった。そう、俺って生きていても良いのだな。

 あ。「中高生のための内田樹(さま)その47」にも愛着が。苦労したもので。

 どちらもいいリハビリ。

●某日。

 自分でも「マトラ」を複数、購入する。

 マジックを趣味とする友人のために『ゆうきとものカードミラクルズ』第1~7集を見始める。選定のため。

 これもリハビリ。

●某日。

 佐藤大輔コレクション集結しつつあり。その中からラノベを読む。リハビリリハビリ。

●某日。

 マジックの練習が来た。

●某日。

 マジックの練習が来た。

●某日。

 マジックの練習が来た。

●某日。

 マジックの練習が来た。

●某日。

 マジックの練習が来た。

●本日。

 マジックの練習が帰った。

 マジックを趣味とする友人と会う。

 冒頭はmMLのスタッフである木下氏の『メッセージ・フォー・ユー!!』。ここでの私のメッセージは「y」「pp」「a」と出して相手に「?」と思わせてから「H」を出して「HAPPY」にして、「ハッピーバースデー。おめでとうございます」というスタート。

 そして、ここからが本番。

 まず、『ゆうきとものカードミラクルズ・第4集』から「オイル&ジェントルメン」。フラッシュカウントを見せたかった。

 次に『ゆうきとものカードミラクルズ・第5集』から「ジャパニーズ・モンテトリック」。彼はオイル&ウォーターが好きなので上記二つを演じた。

 ここでオムライスタイム。

 続いて『ゆうきとものカードミラクルズ・第7集』から「スードゥ21カードトリック」。デックの半分近くを使ったマジックをしたかったので。普通の21カードトリックでのゆうきとも師の考えた演出にも感心していた。むろん、クライマックスにも感動をしていた。

 最後に『ゆうきとものカードミラクルズ第2集』から「アフター・サービス」。マジックを趣味とする友人は声をあげ、悩んだ。これをトリに持ってきてよかった、よかった。

 その後、マジックを趣味とする友人に『ゆうきとものカードミラクルズ』の第7集までを全部プレゼント。GWをおウチ時間する予定のマジックを趣味とする友人は大いに喜ぶ。

 ところで『ゆうきとものカードミラクルズ』の第8集って出ないのかしらん。

 ちなみに、どの巻から買っても面白いシリーズですよ。お薦め。

 

 

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マトラコレクター

2021-04-22 19:43:20 | マジック
⚫マジック道具をコレクションする癖があるのですが、最近、あるものを集めはじめました。
⚫といっても数が多いわけでなく、国産品は来週までに揃うかと。
⚫この話をあるプロマジシャンに伝えたところ、「マトラコレクターですね」と言われました。
⚫さて、私は何を集めはじめたでしょうか。
⚫ヒントは初心者向きの道具として有名です。
⚫マジックをやる人なら一度は手にしたことがあるのでは? というくらいメジャーです。

⚫近く記事にします。



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【好きだから】魔法のマスターキー【ご紹介】

2021-04-21 19:45:00 | マジック

●好きなテンヨーのマジック製品だから、絶版回避のためにも売れてほしいシリーズ。別名、持っていない方は購入してねシリーズ。

Zone Infinity | 魔法のマスターキー

●初心者でもできる。説明書の図が10個しかなかった。練習は少なくてもできる。どんどん人に見せてコツをつかむことで上手くなっていくタイプの製品だと思う。

●箱の表紙を見ると平成七年の500円玉であった。時代を感じることよ。それだけ生き残っているのは名作の証拠。

●実際にみせてもらった、いろいろな人の演じ方。

 ・上↑の動画は参考になる。特に後半。

 ・貸した500円玉で演じてもらったのだが、最後に500円玉がはまったまま手渡され、自分で外した。きっちりとはまっていることが確認できた。

 ・人差し指で軽く鍵を押すように指示されるが鍵は突き刺さってくれない。演者におまじないをかけられると(「逆に気を楽にしてください」と言われたか)、ゆっくりと通っていく。その突き抜けていくときの感触も抵抗感があって驚いた。

 ・突き刺さった状態で鍵を回す動作をしていた人がいた。購入すると都合がいいことが起こるということがわかってもらえると思う。

●観客に一か所は参加させた方が面白いと思う。多く参加させてしまうのは避けた方が良いけれど。




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中高生のための内田樹(さま)その47

2021-04-19 20:30:02 | 中高生のための内田樹(さま)

2012年度(一橋大学)

次の文章を読んで後の問いに答えなさい。

 先日、「外国語教育と異文化理解」というテーマでのシンポジウムで、「目標文化」というあまりなじみのない言葉を聞いた。「目標文化」というのは、私たちがある外国語を学ぶとき、その学習を通じてめざす文化のことである。フランス語を学ぶ場合、フランス語は「目標言語」、フランス文化は「目標文化」と呼ばれる。

 という説明を聞いたとき、何か強い違和感を覚えた。発生者は「目標文化に到達するためには、目標言語による教育が必須である」というネイティブの教師が強く主張する教育観を取り上げて、それに対する疑念を語っていた。

 私もそれに頷(うなず)いた。苦い経験があるからである。二十年ほど前、ある語学学校で、フランスのテレビの「お笑い番組」のビデオを見せられて、早口のギャグの聞き取りを命じられた。私がその課題を拒否して、「私はこのような聞き取り能力の習得には関心がない」と告げたところ、教師は激怒して、「市井のフランス人が現に話しているコロキアル(注:口語的)な言葉理解できない人間はフランス文化について理解できないだろう」と述べた。彼女の予言は正しかったことが後にわかるのだけれど、そのとき私がこのフランス人教師と意見が対立したのは、私と彼女が「フランス文化とはこういうものだ」と思い込んでいたのが同じではなかったからである。

 私がフランス語の習得を志したのは、六〇年代の知的なイノベーション(注;刷新)の過半がフランス語話者によってなされているように見えたからである。サルトル、カミュ、レヴィ=ストロース、フーコー、ラカン、バルト、デリダ、レヴィナスたちの仕事はこの時期に集中しており、彼らの最新の知見にアクセスするためにフランス語運用能力は必須だと思われた。私はこの「知的饗宴(きょうえん)」を欲望してフランス語を学び始めたのであって、市井のフランス人に特段興味があったわけではない(今もない)。

 だから、目標文化は、必ずしもある国語を母語とする人たちの「国民文化」を意味しない。例えば、聖書の原典はヘブライ語やアラム語やコイネー(注:現代ギリシャ語の祖)で書かれているが、それらを母語とする話者たちはもう存在しない。だからといって、聖書を生み出した文化について真の理解に達することはもはや誰にもできないと主張する人はいない。誰もそれを母語としない言語にも固有の文化というものがありうる。

 私は実は今の世界における英語というものが「誰もそれを母語としない言語」ではないかと思っている。それは英語が国際共有語、リンガ・フランカ(注:共通語)だという意味ではない。国際共通語というのは「いかなる国民文化からも自立した、中立的なコミュニケーション・ツール」というふうに定義されるのだろうが、英語はそうではない。英語話者たちもまたある文化の「種族の文化」をめざしてはいるのである。ただ、その「種族」は近代国家的な枠組みでの国民国家ではないということである。

 「英語ができる人」がアメリカ文化やイギリス文化やカナダ文化やニュージーランド文化について造詣(ぞうけい)が深いということはない。大学の英文学科に進学する高校生たちが書く志望理由のほとんどは「英語を生かした職業に就きたい」というものである。彼らは卒業後に例えば香港の航空会社やドバイのホテルに就職する。中国文化やアラビア文化やアラビア半島の文化に興味があってそうしたと言う人はいないだろう。

 少し似た状況が六〇-七〇年代にもあった。この時期、理系で履修者が一番多かった第二外国語は意外なことにロシア語である。それは一九五〇-六〇年代にソ連が宇宙開発や原子力工学でアメリカをしばしば凌駕(りょうが)していたという科学史的事実を映し出している。そののち、ご案内の通り、ソ連崩壊とともに、ロシア語を選ぶ学生は潮を引くようにいなくなった。理系の学生をロシア語に惹きつけたのは、ロシア語運用能力が彼らにもたらすであろう学術上の、あるいは生活上の「利便性」、にべもない言い方をすれば「利益」であったから、その保証がなくなれば、ロシア語を習得する動機は消失する。一方、チェーホフやドフトエフスキーを読むために露文に進む学生たちのロシア語学習動機は、東西冷戦構造や宇宙開発競争とはかかわりがない。

 私たちに言えるのは、どの外国語を学習するかということと、学習者がどのような目標文化を標的にしているかということの間には一意的には相関はないということである。

 私自身はまず英語と漢文を学び、それからフランス語を学び、少しだけヘブライ語を齧(かじ)った。どれも中途半端に終わったが、それらの外国語を習得しようと決意して辞書や教則本を買い込んだときの浮き立つような気分は今でも忘れない。私の場合、それはいつも同じ気分だった。「今の自分でしか思考できない、表現できない、対話できない」という息苦しさから離脱することを期待したのである。私はどこか他の種族の文化を血肉化したかったのではない。種族の文化そのものから離脱したかったのである。「こことは違う場所、今とは違う時間、私とは別の人」に出会うことを切望していたのである。フランスの知識人たちの「知的饗宴」を欲望したのは、それが母語的現実から隔たること最も遠いものに思えたからである。

 その後、私が母語的現実から少しでも身を引き剥(は)がすことができたかどうか、わからない。わかるのは、私が母語を含めてあらゆる言語の「不器用な遣い手」になってしまったということだけである。

___内田樹『目標文化を持たない言語』

問い 上の文章を要約しなさい(二〇〇字以内)。

★寝ぼけ要約(※全文入力した夜に目が覚め、スマホに目もしたもの)

言語を学ぶ際に到達したい目標文化という言葉があるが、違和感がある。それはネイティブの文化とは限らないからである。外国の言語の習得は人の求める利益により、決まるものである。筆者の場合、自分の日常と異なる思考を知るためである。

★本文を消去、省略をしてみた

(題名は『目標文化を持たない言語』であることを意識する)

 「外国語教育と異文化理解」「目標文化」外国語を学ぶとき、その学習を通じてめざす文化。

 強い違和感を覚えた。

 私たちに言えるのは、どの外国語を学習するかということと、学習者がどのような目標文化を標的にしているかということの間には一意的には相関はないということである。

 他の種族の文化を血肉化したかったのではない。種族の文化そのものから離脱したかったのである。「こことは違う場所、今とは違う時間、私とは別の人」に出会うことを切望していたのである。母語的現実から隔たること最も遠いものに思えたからである。

【短い解答例】
外国語を学ぶ際にその学習を通して到達すべき文化である目標文化という言葉があるが、違和感がある。なぜなら言語を学ぶ理由はネイティブによる文化という一意的なものであるとは限らない、多様な理由があるからである。外国の言語の習得は人の求める利益により、決まるものである。筆者の場合、自分の日常と異なる文化、思考を知るためである。

★解答例

【上の要約に肉付けをしたもの】
外国語を学ぶ際にその学習を通して到達すべきネイティブの文化を表す「目標文化」という言葉があるが、その目標文化という言葉に筆者は違和感を覚えた。なぜなら他言語を学ぶ理由はネイティブによる文化の習得という一意的なものであるとは限らず、人によって多様な理由があるからである。そもそも現存する近代国家と無関係なネイティブのいない言語もある。つまり、外国の言語の習得はその人が求める知的関心や就職、最新の知見などの利益により決まるものであり、「目標文化」とは関係がないことがあるのである。筆者の場合、自らが学ぶ言語を血肉化するためでなく、自分の母語の日常、現実と異なる文化、思考を知るためである。


多様 一意の反対語

ネイティブのいない言語・・・作者がこだわっている言語の例を抽象化

近代国家と無関係・・・注に「現代ギリシャ語の祖」とあるから「近代国家と無関係」

「目標文化を持たない言語」という題名に注意

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佐藤大輔諸作品を読んでいる

2021-04-19 15:04:20 | Books
●亡くなった佐藤大輔氏(仮想戦記やファンタジーを中心に書かれた作家。重厚にして緻密な作風の作家だと私は思っている)の諸作品と佐藤大輔氏が書いたのではないかとされる書籍たちの写真。
●『レッドサンブラッククロス(一部の通は「赤丸黒ペケ」と呼ぶ)』『征途(数少ない佐藤大輔氏の完結作品)』『皇国の守護者』以外の作品が1冊完結本を除いて並んでいる。
●絶版本は古本を購入。今はネットでも古本を購入できるとは便利になったものだ。
●写真の諸作品はどれも未完結。佐藤大輔氏は罪なことをする。
●今は読書のリハビリとして佐藤大輔氏が書いたのではないかと噂される『A君(17)の戦争』を読む。ライトノベルなので読みやすい。佐藤大輔入門とでも言えるのではないか。
●佐藤大輔氏が書いたか、豪屋大介氏が書いたのかを考えながら読むのも面白い。
●次は『信長新記』か。名前を変えて3回出版された本である。その都度読んだので最低でも3回読んだ。これもまたリハビリに良いか。


●基本、今日は臥せているので、スマホからの更新。スマホからの更新に慣れつつあるか。


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ゆうきともLIVE特別編13

2021-04-18 14:00:08 | マジック

ゆうきともLIVE特別編13

●無料でマジックのLIVEです。

●トランプを一組用意するとリモートでマジックを経験できます。

●一緒に楽しみましょう!

 

 

 

 

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